《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》レオンの奇襲
衝撃がベルトたちを襲う。
しかも、そのタイミングは壁に対して曲がろうと橫になった瞬間。
「レオン! お前、わざと接を!」
「その通りだ、ベルト! 今……ここでお前を倒す!」
プラテノドンの當たり。 それも、カーブの瞬間を狙って來た。
「義兄さん、このままでは壁に挾まれます!」
「わかっているさ」とベルトは、杖を構えてる。
レオン達のプラテノドンは接し続けている。
超至近距離と言っても良い。どうやっても外す距離ではない。
立て続けにベルトは杖から重力魔法を撃ち込んだ。
「レオンさんたち、離れていきます。 でも、それでも、間に合いません」
「――――ッ!」とベルトは苦い顔をした。
「これは、やりたくなかったのだが……仕方ないか!」
杖を手の中で回し、逆手持ちに――――自分に重力魔法を撃ち込んだ。
重力魔法に包まれるのはベルトだけではなく、メイルと騎乗しているワイバーンも共にだ。
急減速。 なんせ重力魔法だ。
重力がベルトたちに作用してブレーキとなり――――
「この速度のままなら……ぬ、抜けれます!」とメイル。
大きく曲がった天然の道をベルトたち飛んで行く。
2人には安堵の息が出た。
もしも、このまま減速を許されず、崖に衝突したとすれば……
ベルトとメイルは怪我もしないだろうが、ワイバーンのタロウは無事ではすまないだろう。
だが、真に狙われていたのは、この時――――この瞬間だった。
「行け! キング・レオン! ここで因縁ってのは晴らしなさい!」
プリエの聲。 それもびに似た――――
ベルトたちは信じられない瞬間を見た。
それは、レオンの飛ぶ姿だった。
ベルトたち……いや、ベルトだけに狙いを定めてレオンが飛んでいた。
重力魔法によって減速した瞬間、プラテノドンを足場にして、空中でのタックル敢行。
予想外の攻撃。橫から組み付かれ、ベルトはワイバーンから落下していく。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
プリエは思い出す。 それはレオンとの約。
「なんですって? ベルトの倒し方? ――――いえ、斷言しましょう。そんな方法は存在しません」
プリエとレオンは、私人ではなく公人。
要するに権力者であり、多くの部下と強い影響力を有する立場にある。
そんな2人が非公式ながら、會話をわせる機會はなくない。
そんな時だ。長距離ワイバーン競技の話が持ち出されたのは……
「彼……ベルト・グリム本人は気づいていないかもしれません。あの人は、私たちと旅をしていた時よりも遙かに――――いえ、それどころか。今でも長を続けています」
「あぁ、わかっているさ。俺は、今のアイツと闘技場で戦う直前まで行ったんだぜ?」
「……」と無言のプリエ。 彼もそれは知っていた。
魔王討伐後の後癥。それが原因で勇者パーティから追放されたはずのベルトが冒険者として復帰した。
その知らせは、彼も驚かせた。
なんせ、復帰した彼がパートナーと選んだ存在が、プリエが後継者として指名したはずの『聖』メイル・アイシュだったのだ。
ベルトとメイルの向は、最優先でプリエに知らせるように指示を出すほどに……
「いいかい? この俺、キング・レオンとオリガスの闘技場で戦う。 つまり、アイツは――――暗殺者のでありながら、闘技者である俺と闘技者の流儀で勝てる。なくとも、そう思っていたんだぜ?」
レオンはおどけた様子で言う。
しかし、それは冗談ではない。なくともレオンは本気でそう思っているのはプリエにも伝わった。
ベルトは十分に勝機をもってキング・レオンに挑戦してきたのだ。
「それは、いえ……そんなことは……」と否定の言葉を続けようとしたがうまく言葉にならない。 そんな彼にレオンは――――
「そんな強い強いベルトさん。 でも、倒す方法は0じゃないのさ」
「――――」とプリエは無言。 まるで真偽を疑うような表だった。
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