《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第92話 その曲線は人類の未來②

そんな僕を、前を歩くみんなが一斉に振り返った。

「決斷早いね。暖斗くん。‥‥‥‥なんか、男の子ってじの顔。出航した頃と別人だね」

依が僕を見てにっこり笑う。

「ベイビーが、妊婦さんとそのベイビーのために、か。まあ、ぬっくんが積極的に関わろうとするなら、ウチが言う事は無い! 全力サポートしてやるゼ☆」

麻妃もサムズアップして笑う。でもいつもの、僕をからかうじの顔だ。

「‥‥‥‥おおう。いつも最後まで様子見の暖斗くんが。じゃ、いいかな。進めるよ、あの話。草稿は私に任せて。渚學生は添削。紅葉ヶ丘學生は全員分のアバター製作。あと最終戦略詰めるわよ! こっから附屬中は戦時モードだからね!」

さんは暗黒微笑でガッツポーズをした。何か絶対企んでるよね。

「よかったね。莉。最ッ高にカッコいいのぶちかましちゃお! あと私は必勝戦型考えるか~。出現仮想敵數算定して、地形やって、」

渚さんは、戦型考えてる時はどこか楽しげ。もう「ふんふんふん♪」って鼻うた歌ってる。

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「あ~~。それはこっちでやっとくけど。私にはまだ課題が‥‥‥‥。あとあの謎バグだけなんだよ。そうすれば最強なのに。何で取れな‥‥‥‥っとゲフンゲフン!」

紅葉ヶ丘さんは、艦からのクルーザーに同乗してない。どうやってこの病院まで移したのか? 通手段が相変わらず不明なんだよね。

今附屬中3人娘が言ってるのは、このオリシャさん、ひいてはこの病院の警護の話。

またツヌとか機構軍がいた時のために、この病院の南部に防陣地を築いて、戦する構えだけでも見せてはどうか、という考えだ。オリシャさんの手時の、萬が一を無くす作戦。渚さんはもうガッツリ戦う算段をしてるけど。

機構軍の主軸であるツヌ國が事実上いないから、もしガンジス島にまた來ても島の各都市や紘國軍の基地を攻撃するだけで、このまほろ市は放置されるはずだって。攻めるなら市の西にあるベースキャンプを狙うハズ。

でも萬が一、ないかもだけど敵が來る事を想定して、僕らが形だけでも戦する準備と姿勢を見せておけばオリシャさんも安心して手けれるよね、という話。

「戦ってもいいけどよ。頼むから壊すなよ? う~む、それを言うのは酷か? ‥‥‥‥いや、やっぱり壊したら処す。な? 暖斗くん」

七道さんが僕の背中をばっちん叩こうと近づくので、バックステップで回避した。

「あ~~。でも出撃ってダルいなあ。整備班の仕事激増イベだし。あ~~。ダルい。今の寢とくかあ」

網代さんは両手をだらん。いつもの調子。けど彼の仕事って実は緻でケアレスミスが異様にないんだよね。

「‥‥‥‥。ちーちゃん。そんな事言って実は仕事大好きだから。でもあの彼とは別れなよ。この旅で気持ちの整理ついてるんでしょ?」

多賀さん。相変わらずの帽子深めの謎。あ、帽子越しに意味ありげに視線送ってくるのやめて。

「でも、ちなみにちなみも赤ちゃんほしいしぃ。ちなみと赤ちゃん作りたい人募しゅ‥‥痛い! 痛い! やめてえ七道さん! ぐえ!」

‥‥‥‥コメントなし。僕は何も見なかった。

「で、でも私もいつか母親になる? とか。‥‥‥‥あ、そ、その前に結婚? ‥‥い、いや際が先か? ‥‥‥‥何言ってんだろ私」

あ、浜さんと目があった。そうだね。いい人と巡り逢いたいね。

「そうねえ。憧れちゃうね。結婚、出産。いつか経験するライフステージ。え? 私? 私はなるべく學生やOL時代を謳歌する予定よ? ね。みんながんばろう!」

そうなんだ桃山さん。でも案外學生時代にいい人が見つかったりして、ね。

「ちょっと! ちょっと! 燃えてキタ! 櫻(さくら)。艦に戻ってシミュやろ! 撃墜數で勝負よ!」

おお。初島さん。フェンシング部の育會系魂炸裂だ!

む所っス。ちょうどいいから、あの彼そろそろも引っ張り出しましょ? あれ以來ゲームで引き籠り過ぎっス。パイセン、ライドヒさんを気にしすぎっスから。わかりやすすぎる」

‥‥‥‥ええっ! そうなんだ來宮さん鋭い。全然気づかなかった‥‥‥‥。

「うふふ。皆さんやる気ね。私は艦橋で、3人娘の悪だくみを盜み聞きするわ。またどんな権謀數が飛び出すか‥‥‥‥今からが楽しみよ。あ、ラポルトの舵は任せてね?」

‥‥‥‥って泉さん。あの3人って附屬中3人娘の事でしょ‥‥‥‥。戦闘中艦橋でどんな會話してんの? 率直に言って怖い。

「皆さんご心配なく。ええ。この選択はきっと上手くいきます。いきますとも。より良い因果律へと続く道です。だって秋(とき)がそう言っているのですから。私と姫‥‥‥‥ゲフンゲフン。‥‥‥‥いえ。何でもありません」

んんん? えっと仲谷さん。味しいご飯作りは任せたよ!

「暖斗くん。‥‥‥‥あの、このあと時間ある?」

え? あ、依か。うん、時間はあるけど‥‥‥‥?

*****

「へええ。病院の地下ってこんなじなんだ」

一旦みんなと別れた僕と依は、病院の地下1Fを歩いている。

「一応、ここも戦場になるかもだから、暖斗くんに病院の構造を知ってもらうため、って名目で子さんに時間をもらってるよ」

「そうなんだ。って、病院の構造?」

「うん。この病院、この前の上陸許可日にも言ってたけど、元々は戦爭用のトーチカなんだって。その設備を一部流用して、リフォームして病院を建てたと。だから、バリアシールドとか発電機とかは軍事用のスゴいのなんだって」

言いながら依は、右右、左、とスムーズに通路を曲がっていく。‥‥‥‥あ、今通った部屋、「リネン室」と「霊安室」!? って書いて無かった? 病院の地下怖(こわ)!

依、道憶えてるの?」

「うん。病院の構造はもう記憶しちゃった。オリシャさんが院する病院だし、わたしも彼をケアする醫療チームにれてもらったし。‥‥‥‥あ、あのね。れんげ市に海軍病院あるでしょ? わたしのバイト先。そこのわたしの指導醫師(メンター)がこっちに來るかもなんだって」

暗い廊下を歩いた先が、明るくなっていた。階段を上ると、地上に出た。病院の北側、裏手だ。

「ここがエネルギー棟。災害時に病院をかす心臓部よ。さっき言った重子力エンジンもここにあるの。バリアシールド発生裝置もね」

巨大な病院の本棟の隣に、育館くらいの大きさの白くて四角い建があった。中からは「フィ~~ン」と聞き慣れた音が。重力子エンジンの重低音だ。

「へえ。病院の裏側ってこんな風になってるんだ。普段、っていうか普通絶対來ないから知らないよね。あ、守衛さんがいる」

「うん。テロとかの標的になりやすいし。あと戦爭になってインフラ狙うとしたら、ここもターゲットでしょ?」

「確かに」

その、守衛さんの目の屆かない死角に依がると、彼が僕の右手を両手で握ってきた。

「‥‥‥‥今日は艦には戻るから、これでお別れじゃあないけど」

「うん」

「どうか。ご武運を」

夕日が差し込んできた。依の大きな黒瞳に、オレンジが映り込んで。

ちょうど僕には、赤く輝いているように見えた。

※「しかしあらためて登場人多いな」と思ったそこのアナタ!!

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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