《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第2部 第16話 私が私であること。①
「春(やよい)、まだ姫の沢さんに【リンク】をお教えしていないのですね?」
私のつぶやきに、姫様が反応して、春さんが「はッ」って返事をした。
ヘクトスキロス、って言ってた大き目魔獣を倒した、遠征の帰り道だよ。
「‥‥‥‥ではいい機會です。帰りながら、この世界の魔法の特徴、【リンク】について語りましょう。麻妃さん、暖斗さんにも」
そう言って、街道をてくてく村へと歩きつつ、姫様は説明をしてくれた。
「基本、この世界の魔法は、あなた方が知っているゲームの世界と同じです。者の魔法力――神的エネルギーを消費して、現実世界に理現象などをもたらすです。あの重子力エンジンがグラビトン、という素粒子の作用だったように、魔法にも、【魔素】という素粒子が関與していると考えられています」
「なんかマジカルカレントと魔法って、使う覚が似てるんだよね」
とは、ぬっくんの所。
「そうかもですね。そして、【エンチャント】って、あちらの世界のゲームでもある概念ですよね。に魔法効果を付與する。それを、この世界では人間にも付與できるのです。それが【リンク】。春の固有能力である【催眠】は、何度か私が借りています」
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驚いた。そんな事できるんだ。姫様は右手の人差し指を立てた。
「質問されるでしょうから全部ご説明します。概略ですが、【リンク】では、大抵の能力は借りる事が可能です。貸した方が使えなくなったり能力値が下がったりはしません。借りる事ができるのは、基本ひとりから1個まで。その能力の基本能力値のおよそ70~80%で行使できます。一定期間が過ぎると、借りた能力は消失しますので、また者に逢って『借りる』行為をします。こうです」
エイリア姫が春さんと見つめあうと、姫様の眼が赤く輝いた。
「その人差し指立てる仕草。依にそっくりなんだよな~」
とまきっちが言って。
「あ‥‥‥‥! その瞳!」
となりで姫様を見つめるぬっくんが、何か思い出したみたいだった。
*****
「うふふ。やば~い。かわいい。うふふふ。なんでこんなかわいいの? ね? なんで?」
「ひめっち」
「は~~い」
「うっせえ」
「だあって~~」
あれから數日。相変わらずミナトゥ村のぬっくんハウス住み。私と春さんは「ラポルト16」の仲間探しにすぐ出立する予定だったのけれど、ある知らせがってまだここでお世話になっている。
「もういいから。ぬっくんパス」
「い・や・だ! ちょっと引っぱらないでよ。ああ~~」
私はドラゴン形態も解除されてずっと人間の姿だし、ちょいちょいみんなで魔討伐に向かってる。今はその帰り道。イキったぬっくんが「男の子ムーブ」して。魔力切らして無事赤ちゃん形態になりまして。
すかさず私がキャッチ!
ぬっくんベビー出現のたびに、ずっと抱かせてもらってるのです。あ~~。至福。
エイリア姫様がこの時の為にあらかじめ用意していた裝備、【魔法のおくるみ】、【魔法のほ瓶】、【魔法のおしゃぶり】が行き屆きすぎている。うむ。私が解説しよう!
【魔法のおくるみ】 らかく上質なオーガニックマジカルコットン配合の魔法生地でできたおくるみ。恒溫に優れており、赤ちゃんのを冷やさず、汗なども素早く吸収するから、いつでも素さらさら、赤ちゃん笑顔。また、下(しも)のも瞬時にアイテムボックスに転送し、そちらで処理、消去される。超魔力全面通気シート、超魔力背中れギャザー付き。浮遊能力あり。
※ぬっくんベビーは「本のスリープモードで、魔法結晶」であるため、下のは出さない模様だよ。
【魔法のほ瓶】 周囲の人間、もしくはエイリアの魔法力を消費して、明のに換える魔法アイテム。明のはぬっくんベビーが摂取し、本回復を早める仕様。本を自で殺菌洗浄する、「超魔力オートミヌトン」という機能がある。
【魔法のおしゃぶり】 謎の魔道。ぬっくんベビーがほ瓶を使用していない時は大抵口に含んでいる。エイリア姫も「『あっち』の世界で依さんがおしゃぶりを用意してたんだけど、咲見さんが怒るだろうから、ってお蔵りしてたのよね。‥‥‥‥まあ、寢てる間にこっそり含ませて遊んでたりしてたのだけど。その無念が私に伝播して、この魔道誕生につながったかも、ね。ふふ。いいじゃない? 【3種の魔法アイテム】の方が耳ざわりが良いでしょう? ふふ」とのこと。
‥‥‥‥ちょっと不安要素もあるけど、とにかく赤ちゃんにありがちな手がかかる要素を消してくれていて、後はもう、ぬっくんをでるだけの仕様なのですよ。姫様は私達の世界に転移する前に、この【3種の魔法アイテム】を発注してたみたいだよ。
私があまりにうるさすぎたので、まきっちにぬっくんを取られそうになって。そしたら一瞬手が離れたぬっくんは満面の笑みでふわふわと木立の高さまで浮いていってしまった。
「え? ちょっ? 鳥の魔とか來たらどうするの?」
「大丈夫です。すぐ降りて來ますから」
「あ。ほんとだ。今度も私がキャッチするわよ。‥‥てちょっと! 邪魔しないでよまきっち! ジャンプボールじゃないんだからスクリーンアウトしないの! 『勝負だ! ひめ!』じゃないわよもう! ぐぎぎ」
そんなじで討伐は、子4名と赤子1名でわちゃわちゃ騒ぎながら帰っていった。――ちょっと學校の帰り道。放課後の雰囲気に近いかな。
姫様と春さんはギルドに寄っていくって。今回も大仕留めたからね! よそ者の私やまきっちだと魔石が安く換金されるかも、だからって。
*****
家について、ふたりと赤ちゃんでお留守番。まきっちが、「ウチが夕飯の下ごしらえするから、ぬっくん看とくんだゾ☆」って言ってくれた。おお、我が心の友よ!
と、そこで異変は唐突に起きた。
ぬっくんベビーが紫にりだした。突然だよ。私は軽くパニックになる。
まきっちはギルドへと走ってくれた。どうもコレは私達では対処できない事態みたいだよ?
「やっぱり。発癥しましたか!?」
玄関先での聲がした。すごくハキハキしたきれいな聲だ。
「ま、間に合ったし。よ、良かった」
その後から、ややくぐもったの聲。すごく慌てた様子。
「あなた達は‥‥‥‥!!」
訪れたは旅裝のふたりだった。私はこの人達を知ってる。個別には何度か會ってるし、あの、「港の見える丘公園」で、落ち合うハズだった人達だ。
そう。そのふたりは。
浜一華さん、と。
桃山詩さん、だった。
※ やっと本題の戦爭モードに突か! と思ったらまさかの第2部!
‥‥‥‥‥‥ああ! を投げないでください!
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