《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》164.アンチ、大勝利

王立學園、帝國學園、神聖皇國、東部連邦。

この四校で行われていた、対校戦。

優勝校には、莫大な魔力をめた星杯《せいはい》が與えられる。

東部連邦は四位、神聖皇國は俺たち王立に負けたので3位。

殘りは俺たち王立學園と、アンチたち帝國學園のみ。

しかし、俺はリタイアを宣言した。

「ちょ、ちょ、ちょっとまちたまえ! ユリウス!」

真っ先に抗議したのは帝國學園のリーダー、アンチ=ディ=マデューカスだ。

彼は皇帝の息子、つまり、皇子である。

客席から急いで降りてきたアンチは、俺に尋ねてくる。

「り、リタイア!? 君は今、そういったのかい?」

「ああ。俺らはリタイアするよ」

「なぜ!?」

俺は後ろを指さす。

「みんな皇國との戦いでボロボロなんだ。とてもじゃあないが、もう一回戦うのは無理だよ」

ガイアスは、皇國の主將カズマとの戦いで甚大なダメージをけている。

ミカも、エリーゼたちもそうだ。

戦うだけの力が殘っていない、【ということにしてある】。

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「つーわけで、うちは2位。1位は帝國。それでいい」

「ユリウス……」

アンチは一瞬、怒りの表を浮かべる。

だがすぐに、何かに気づいたような表になった。

「……君、ぼくらに勝ちを譲ろうとしてるだろう?」

ありゃま、さすがにばれるか。

「……回復魔法を使えばいい。いや、もし回復を使わなくても、手負いの君ら化けにぼくらは、勝てない」

アンチは悔しそうに、実に、悔しそうに言う。

「……わかっているさ。ぼくらが、いや、ぼくが弱いことくらい。君らに遠く及ばないことくらい」

アンチは、皇國の學園長や、うちの気悪い學園長《ルシフェル》と違って、実にまっすぐなやつだ。

そして、賢いやつだ。おのれの部をわきまえている。

「……それでも、辭退したのには、君なりの理由がある。そうだろう?」

ほんと、頭いいやつだなこいつ。

理由は単純だ。

もう、俺たちはこの対校戦でのやるべきことを、終えているからだ。

そもそも発端は、星杯《せいはい》を悪用されないようにすることだった。

莫大な魔力をめたこのアイテムを、皇國のくそ學園長と、悪魔使いの東部連邦の學園長の手に渡らなければそれでOKなのだ。

東部連邦、皇國の2校がリタイアした時點で、もう目的は達している。

そんで、うちの王立にはルシフェルっつー、何考えてるのかさっぱりわからない、敵か味方わからないやつがいる。

なら、うちが星杯を持っているよりも、アンチたち帝國が所有しているほうがいい。

「それ使って、帝國をより良い國にしてくれよ。アンチ時期皇帝」

「……ユリウス」

ガイアスから聞いたんだけど、帝國って結構新しい國らしい。

他國に負けないように、いろいろ頑張ってるんだけど、うまくいってないのが現狀だそうだ。

きっとアンチなら、この星杯を使って、帝國をもっともっと強い國にしてくれる。

俺はそう信じてる。

「ありがとう、わが友よ。……しかし! このアンチ=ディ=マデューカス! けた恩をあだで返すような真似は、しない!」

びしっ、とアンチが俺に指をさす。

「このぼくが皇帝になったら、そのときは! この恩を10倍……いや、100倍にして返す! この名前とこのに流れるにかけて、そう誓おう!」

ほらね。

こういう、いいやつなんだよ。

きっとアンチはいい皇帝になる。

帝國も、より良い國に絶対してくれる。

『話は終わりましたかぁ?』

「舊あにうえ、だまるかしぬかするです? あにうえが大事な話し合いしてるのわからないですか?」

ミカがぴきってた。

ほんとルシフェルのこと嫌いなんだなぁ。

まあ、俺も信用ならないけどさ。

だから帝國に価値を譲るまであるし。

「ルシフェル學園長、話はきちんとつきました!」

アンチが長い髪のを払って、かっこいいポーズをとる。

「わが友ユリウスとその仲間たちはケガで辭退するとのこと。ぼくとしても、傷ついた友をこれ以上傷つけたくはありません!」

『わかりましたぁ。では今回の対校戦は、帝國學園の優勝ということになりまぁす』

わっ! と観客たちが歓聲をあげる。

俺たちも惜しみない拍手を送った。

「さすがアンチ様!」「まさかあの圧倒的な強さの王立が辭退するなんて!」「まって、これももしかして」「そうよ! すべては、アンチ様の策略では?」

なんかこれまでも、帝國はなんだかんだラッキーでいい順位にきていた。

そのすべてがアンチの策略みたいな扱いになっていた。

そして、今回も。

きらん、とアンチが白い歯をのぞかせていう。

「そう! すべてはこの! アンチ=ディ=マデューカスの、手のひらの上!」

「「「すげええ! さすがアンチ様ぁあああああああ!」」」

帝國民たちが泣きながら拍手してる。

あいつほんと、民にされてるなぁ。

うん、まあ。

いろいろあったけど、これにて対校戦、無事終了ってことで。

【★☆新連載スタート!】

先日の短編が好評のため、新連載はじめました!

タイトルは――

『伝説の鍛冶師は無自覚に伝説を作りまくる~弟に婚約者と店を奪われた俺、技を磨く旅に出る。実は副業で勇者の聖剣や町の結界をメンテする仕事も楽々こなしてたと、今更気づいて土下座されても戻りません』

ページ下部↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!

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