《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第93話 布陣Ⅰ③

「現在アマリア港の沿岸に敵部隊が展開中。アマリア軍が上陸を阻んでいる。たぶんフェロポ國とウンダノア朝だ。そしてベース・カタフニアには3軍。ベロノウ連邦とボタニメ、王政リアシだ。さすがにこれは數が多い。あの基地からのヘルプは當てにはできないな」

紅葉ヶ丘さんの聲がインカムに響く。――始まった。敵國がこの島に攻めて來たんだ。

「紅葉ヶ丘學生。あとの國は?」

渚さんが確認する。コンギラトは全部で10國。あと3國あるハズだ。

「アーシタリルイは、あをに市に現れた。現地の守備隊と戦してる。あとは、ぬばた市だね。消去法でピペイ公國が來ると思う。‥‥ハシリュー村とクズリュー村へは侵攻無し。私達がツヌ國を追い出したのが効いてる」

「これで10國だね。じゃあ紅葉ヶ丘學生が捉えた後方の揚陸艦は? そっちも調べてくれ」

「ごめん澪。隠蔽(コンシール)中は艦のレーダー使いにくいから。澪の索敵が頼りよ」

こんな、ブリッジの附屬中3人娘の會話を聞いていた。僕らパイロット組はまだ食堂にいる。

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初島さんがみんなにコーヒーを淹れてくれた。コーヒー。実はブラックとかは飲んだ事ないんだよなあ。同級生で毎日3杯飲んでる奴いるけど。

僕の前のテーブルに黒いったマグカップを置きながら、初島さんに話しかけられた。

「まほろ市は平和都市だから紘國軍も駐屯してないし、敵も攻めて來ないんだよね?」

僕も答える。

「平和都市だけど、非武裝とかじゃあないんだよね? ただ単に終戦條約結んだ場所だから、世界中から『平和の象徴』って認知されてるだけで」

「そうさ。正式に非武裝だったらあの南部更地にラポルト停泊できないっしょ」

「そっスよ。ただ単に軍関係が近づいてはいけない空気をかもしてるだけっス」

麻妃と來宮さんの意見だけど、僕も同意だ。そこにコーラが。

「本土オトコは呑気だねえ。島じゃあ侵攻されてんのがデフォだから、そんなふわっとした理由で敵が攻め込んでこない、なんて夢想だよ?」

「だから、そうコーラ達も言うから、こうやって萬が一の為にラポルトが備えてんじゃんか。あの妊婦さん見たら、みんな『守らなきゃ』って思ったし」

「ありがとう暖斗さん。みなさんも。ラポルトは『戦爭回避して離する』って選択肢を取らずに、こうして居てくれてるのよ。それなのにコーラは」

「‥‥いや、それは言いっこ無しだよソーラさん。僕らは、僕は、自分で決めたんだ。ここに殘るって」

こんなじでパイロットの7人で、々と意見換したり、ちょっと言い合ったりした。――黙って待ってても気まずいからね。

でも、初めて飲んだブラックのコーヒーは、やっぱり苦かったなあ。

*****

僕らの食堂ブレイクタイムは、唐突に終わりを告げた。

紅葉ヶ丘さんのインカム実況が続いていて、予想通りに、ぬばた市にピペイ公國の軍が現われて、「ああ、ハシリューが侵攻されなくて良かったね」、「やっぱりあそこは兵隊いないから、後回しなんだよ」とか、みんなで言いあってた時だった。

島のはるか西にいた後段部隊、コンギラトの集積艦隊から、曲砲撃があった。僕が対ゼノス戦で食らったみたいなヤツだった。

このまほろ市方面、その西15kmにある紘國軍のベースキャンプへだ。

そして、風雲急を告げる、紅葉ヶ丘さんの観測。

「隕石(メテオリティス)!! 層圏からの揚陸艦突撃だ。たぶんDMTを出してる。コンギラトじゃ無い! どこの國だ!!」

「澪! その裝備持ってるのは先進國だけ! つまり!」

「鳴(めい)國か歐圏の國、って事か‥‥‥‥! ごめんみんな。聞いてる? ちょっと全員ブリッジに集まってくれないかな? ‥‥今すぐ」

さんの張りの無い聲音。今まで聞いた事がない聲だった。

僕らパイロット組は固まって中央エレベーターを上がった。みんな無言だった。ブリッジにると、依がいた。遅れてメンテ班が來て、最後に電脳戦闘室(エンケパロス)のドアが開いて、紅葉ヶ丘さんがよろよろと出てきた。

「‥‥‥‥みんな揃ったね。戦況を説明させて。‥‥それから、みんなの意見を聞きたい」

やっぱりだ。いつも自信満々に話す子さんが、元気がない。‥‥相當不味い事になってるって事か?

「敵の數が多いんだ。參加した國も。まさか同盟國の鳴(めい)國が敵に回る訳は無いハズだけど、同等の技力を持った國、歐圏の國が參戦してると思う。‥‥今算定できる狀況は」

さんが渚さんの方を見て、視線をけた渚さんがこくりと頷く。

「ええ。恐らく歐圏の急進左派の國。そこが參戦してるわ。ここガンジス島の主要都市をけ持って攻めて來てるっぽいの。さっき紅葉ヶ丘學生が言ったみたいに、それで手が空いたミロースイ連邦と東トゥマーレ共和國の軍がまほろベースキャンプに侵攻してるわ。‥‥そのままここにも來るかもしれない」

東トゥマーレとミロースイ。コンギラト條約機構軍では、ツヌ國の次に軍事力があるよ、とデータを丸暗記してる依が小聲で言う。そうだ。どっちかの國はおととし軍事クーデターがあったんだよね。確か。

「‥‥‥‥逃げよう。みんなを危険に曬す訳にはいかない。ここに本の軍隊がくる。DMT戦闘にもなる。退避すべきだ」

‥‥‥‥あれ? みんなの意見を聞く目的で全員ブリッジに集まったハズじゃ? なのに子さんが先に結論からしゃべり始めてる。‥‥でもそれだけ狀況が切迫してる、ヤバい狀況だ、って事か。

みんな無言だった。僕も艦橋の空気が重くて発言どころじゃない。「どうしよう?」で思考が止まってる。いっそ、學校みたいに先生とかが決めてくれた方がいい。そんな空気だったよ。

「‥‥うっ‥‥うっ‥‥‥‥ぐすん」

依が泣き出した。そうか、今からオリシャさんのオペで、病院へ向かう時間じゃ無かったか? 僕のパイロットスーツの袖を、片手の指で小さく握りしめて。

「‥‥‥‥ごめんなさい。‥‥わたしのせい」

僕は「何で?」と問い返す。

「‥‥‥‥捕まったりしたから」

ああそうかと思い出す。妊婦のオリシャさんはハシリューの病気の人とかと病院に向かっていて、そこをツヌの軍隊に見つかったんだ。

それに依も乗っていた。醫療関係者として。ツヌ軍の報將校ゼノスに執著されて、すぐに開放されず、結果的にオリシャさんの一行は大幅に遅延した――その時の事を言ってるんだ。そのせいで、今日ぎりぎりで手しないといけない狀況になってしまっている、と。

でもそれは違うよ。悪いのはツヌ軍やゼノスで、依は悪くない。

「わたしが捕まらなければ、わたしが、オペができれば」

依は、自分ばかりを責めていた。

※「依さん責任じるタイプか。確か第一子長だよな」と思った そこのアナタ!!

そうです!!

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