《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第4章 1963年 プラスマイナス0 - すべての始まり 〜 5 常連客と「おかえり」(2)
5 常連客と「おかえり」(2)
それからはまさに大宴會だ。ご近所連中は皆それぞれ、惣菜やら缶詰などを持ち寄っていた。だから正一がやきとりを焼こうとすると、「そんなことしなくていい」やら、「自分も飲め飲め」などと言ってくる。
それでもこの日の正一は、剛志の顔を見るまで飲まないんだと決めていた。だから何を言ってこようとけ付けない。ところがそんな頑張りも、今宵も長くは続かなかった。
「俺はさ、剛志が優しいやつだって知ってんだ! あいつはさ、じいさんばあさんにだってちゃんと挨拶するし、この前なんて、裏のばあさんの荷を持ってあげてさ、急坂の階段を一緒に上がってやったりさ……」
「そうなんだって! それにだいたい、あいつが智子ちゃんをどうこうするはずがないんだ。あそこまで〝ほ〟の字のの子をだぞ、そんなこと絶対にありえないし、そもそもさ、智子ちゃんの方がよっぽどしっかりしてるしな」
いつもボソッとした口調のフナだったが、この時は妙に自信たっぷりだ。そして続いたスーさんの聲にも、誰もがそうだという顔をした。
――ちょっと待ってくれ? それじゃあ、あれか、俺が智子を好きだって、みんな知ってたってことなのか?
そんな心の聲に応えるように、さらにエビちゃんが続けて言った。
「そうだよね、智子ちゃんはいい子だもん、剛志が惚れちゃうのも無理ないって。だからさ、早く元気に戻ってきてほしいよ……じゃないとさ、僕だって困っちゃうよ」
「何しんみりしてんのさ、だいたいさ、あんたが最初に、正一を盛り上げようって言い出したんだろ? 大丈夫だって、剛志は釈放で、智子って子もすぐに見つかって、いよいよ萬々歳ってことになるさ!」
その聲の主は初めて見る顔で、その後自分からスナック「夢振舞」の由子と名乗った。
兎にも角にも、剛志の気持ちはバレバレだ。その後もさんざん二人についての言葉が続いて、店の客がどうしてここまで? というくらいに剛志のことをよく知っている。
さらに彼の釈放を本當に喜んで、同時に智子の安否を心の底から心配していた。
――どうして俺はこの人たちを、あの頃あれほど嫌っていたんだろうか?
顔も見たくないと思った常連客が、こうなってみればなんともおしいとじてしまう。
「僕はさ、剛志がこの店を継いで一丁前になるまで、ずっと通い続けるからね。だから正一、おまえさんはいつ死んでも大丈夫だよ!」
さらに、この頃まだ顔を見せていたムラさんが、そう言ってケラケラと笑い聲をあげた時だった。正一が勢いよく立ち上がり、顔をあらぬ方へ向けて大聲をあげた。
「ええい畜生! どいつもこいつも嬉しいことばかり言いやがって、今夜は本當にもう店じまいだ! 酒代はいらねえから、みんな、とことん飲んでってくれ!」
そう言うとコップ酒を手にして、それを高々と頭上に掲げる。それから極まったという素振りいっぱい、下を向き、震える聲で「乾杯」と言った。すると申し合わせていたように、一糸れぬ乾杯の聲が店中に響き渡る。
この瞬間、剛志の心も震えまくった。熱いものがグッとこみ上げ、気づけば目を開けていられない。慌てて顔を両手で覆い、そっと涙を拭き取った。
ちょっと酔っ払って眠くなったな……。まさに、そういうじを意識しながら、目では周りの視線に気を配る。が、幸い誰も見てなどいない。正一も違う方に目を向けていて、店はさっき以上に楽しげなのだ。
最弱な僕は<壁抜けバグ>で成り上がる ~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~【書籍化】
◆マガポケにて、コミカライズが始まりました! ◆Kラノベブックスにて書籍版発売中! 妹のため、冒険者としてお金を稼がなくてはいけない少年――アンリ。 しかし、〈回避〉というハズレスキルしか持っていないのと貧弱すぎるステータスのせいで、冒険者たちに無能と罵られていた。 それでもパーティーに入れてもらうが、ついにはクビを宣告されてしまう。 そんなアンリは絶望の中、ソロでダンジョンに潛る。 そして偶然にも気がついてしまう。 特定の條件下で〈回避〉を使うと、壁をすり抜けることに。 ダンジョンの壁をすり抜ければ、ボスモンスターを倒さずとも報酬を手に入れられる。 しかも、一度しか手に入らないはずの初回クリア報酬を無限に回収できる――! 壁抜けを利用して、アンリは急速に成長することに! 一方、アンリを無能と虐めてきた連中は巡り巡って最悪の事態に陥る。 ◆日間総合ランキング1位 ◆週間総合ランキング1位 ◆書籍化&コミカライズ化決定しました! ありがとうございます!
8 188【書籍化決定】婚約破棄23回の冷血貴公子は田舎のポンコツ令嬢にふりまわされる
【第十回ネット小説大賞受賞。11月10日ツギクルブックスより発売です!】 侯爵家の一人息子アドニスは顔よし、頭よし、家柄よしのキラキラ貴公子だが、性格の悪さゆえに23回も婚約を破棄されていた。 もうこれ以上婚約破棄されないようにと、24番目のお相手はあえて貧しい田舎貴族の令嬢が選ばれた。 そうしてやってきた令嬢オフィーリアは想像を上回るポンコツさで……。 數々の失敗を繰り返しつつもオフィーリアは皆にとってかけがえのない存在になってゆく。 頑ななアドニスの心にもいつの間にか住み著いて……? 本編完結済みです。
8 82【WEB版】身代わりの生贄だったはずの私、兇犬王子の愛に困惑中【書籍化】
11月11日アリアンローズ様より【書き下ろし2巻】発売! 伯爵家の長女ナディアは、家族から冷遇されていた。実母亡き後、父は後妻とその娘である義妹ジゼルを迎え入れ溺愛し、後妻はナディアを使用人以下の扱いをしていた。そんなとき義妹ジゼルに狂犬と呼ばれる恐ろしい王子の侍女になるよう、國から打診がきたが拒否。代わりにナディアが狂犬王子の生贄として行くことになった。そして噂通りの傲慢な態度の狂犬王子クロヴィスは、初対面からナディアを突き放すような命令をしてきた。ナディアはその命令を受け入れたことで、兇犬王子は彼女に興味を示して―― ◇カクヨム様でも掲載 ◇舊題『身代わりの生贄だったはずの私、狂犬王子の愛に困惑中』※狂犬→兇犬に変更
8 74DREAM RIDE
順風満帆に野球エリートの道を歩いていた主人公晴矢は、一つの出來事をキッカケに夢を失くした。 ある日ネットで一つの記事を見つけた晴矢は今後の人生を大きく変える夢に出會う。 2018年6月13日現在 學園週間ランキング1位、総合23位獲得
8 162異世界落ちたら古龍と邪龍の戦いに巻き込まれまして・・・
この物語は、勇者召喚に巻き込まれ そのあげく古龍と邪龍の戦っている真っ只中に落ちてしまった一人の異世界人の物語である おそらく主人公最強もの、そしてスーパースキル「ご都合主義」が 所々に発生するものと思われます
8 163俺の妹が完璧すぎる件について。
顔がちょっと良くて、お金持ち以外はいたって平凡な男子高校生 神田 蒼士(かんだ そうし)と、 容姿端麗で、優れた才能を持つ 神田 紗羽(かんだ さわ)。 この兄妹がはっちゃけまくるストーリーです。
8 57