《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第4章 1963年 プラスマイナス0 - すべての始まり 〜 5 常連客と「おかえり」(4)
5 常連客と「おかえり」(4)
なんという偶然か、それからあっという間に近寄ってきて、
「旦那、トイレかい? トイレならあっちだよ」と、廚房脇にある扉の方を指差した。だから慌てて首を振り、そのままさっきの臺詞を口にしようと思うのだ。
ところが正一の聲が先に響いて、思わずその臺詞を呑み込んだ。
「それじゃあ旦那、ちょっといいかな……」
正面の席にストンと座って、
「もうすぐ息子が戻ってくるだろ? 俺はそん時、なんて言って迎えてやればいいのかな?」
小さな聲でそう言ってから、大騒ぎしている連中に目を向ける。
「こんなことあいつらには聞けねえしさ、どうかな? 旦那なら、なんて言ってやる?」
すぐに剛志の方に顔を戻して、そんな言葉を真顔で言った。
あいつは最近むずかしい。何を言っても返事はせいぜい頷く程度。そんな息子にこんな時、どう言ってやればいいか? と、剛志の顔を覗き込んだ。
その瞬間、剛志の脳裏に過去の記臆が浮かび上がった。と同時に忘れ去っていたまでが蘇り、それからそんな記憶に引きずられるように、ただただ素直に思ったままを聲にした。
「おかえりって、ただ、そう言ってあげれば、……いいと思いますよ」
――実際あなたは、俺にそう言ったんだよ。
「そうだね……、そうだよ。おかえりって、ただそう言ってあげればいいんだよな。うん、その通りだ。俺はごちゃごちゃ考えすぎだな、いやあ旦那、ありがとう! 助かったよ!」
急に聲まで明るくなって、剛志に握手を求めて手を差し出した。
そうしてこの後すぐに、十六歳の剛志が恵子と一緒に現れる。當然店は大騒ぎとなって、そのドタバタに紛れて剛志は店を抜け出した。テーブルに千円札を一枚殘し、その上にジョニ黒を重石代わりに重ねて置いた。
二十年前のうろ覚えだが、真っ先にアブさんがジョニ黒を見つけて、正一が気づいた時には半分くらいになっている。
――それでアブさんはその千円札を、十六歳の俺に、コソッとくれたんだ。
「出所祝いだから取っとけって、後でオヤジさんには、俺からちゃんと言っとくからよ」
あの時そうは言っていたが、どうせ忘れてしまったに違いない。
そんなことを考えながら、多ほろ酔い加減で川沿いの道を歩いたのだ。すると次から次へと新たな思いが浮かび上がり、剛志は途中何度も立ち止まっては考える。
この時代で千円といえば、握り壽司なら五人前だ。ラーメンだったら何十杯だし、もちろんやきとり屋の勘定としては不釣り合いも甚だしい。
――もし、アブさんが千円札のことを伝えていたら、きっとあの親父のことだから、今度會った時に何か言ってくるだろうな……。
二十年前にも現れていた三十六歳の自分は、次の日に、正一から何か言われたんだろうか? 
そんな疑問が浮かび上がって、そうしてやっと剛志は気がついた。
もし今夜、剛志が金を払わずに、さらにあのウイスキーを置いてこなければ、今この時こんなことを考えてはいない。同じように、あんな助言をしなければ、正一はきっと別の言葉を十六歳の剛志にかけたろう。
――結局、俺があれを言わせたんだ。
ただおかえりと、伝えればいい。そんな助言をまともに信じ、そっくりそのままを口にした。
そんな安易な言葉をけて、今頃もう一人の剛志は思っているはずだ。
やっぱり、あいつは俺なんかより、この客たちの方がずっと大事なんだと……。そうして彼はこれ以降、ますます店の客のことが嫌いになった。
ちょうど正一の手が差し出されたあの時、いきなり扉がガラッと開いて、そこに十六歳の剛志が立っていた。想像していた以上にガリガリで、あれが俺か……? そう思って正一を見ると、彼はチラッとだけ息子の方に目を向けてから、
「あれが、俺の自慢の息子、剛志ですよ、旦那……」
そう言ってすぐ、また正面にいる剛志の方に向き直った。それからはまさに記憶の通りで、大騒ぎの中、彼は店からコソッと抜け出したのだった。
幼女無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族の幼女になって【英霊召喚】で溺愛スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】
【サーガフォレスト様から1巻発売中&続刊決定!吉岡榊先生によるコミカライズ準備中!】 私は勇者パーティーのリリス。その勇者に裏切られて倒れていた私を助けてくれたのは魔族の四天王。そして、彼らの好意もあって魔族になったんだけど…。その時の手違いで幼女化してしまう。 「おい、邪竜を倒してこいって言ったよな?」 「けんぞくに、なるっていうから、ちゅれてきたー!」 そんな幼女が無雙する反面、彼女を裏切った勇者パーティーは、以前のような活躍もできずに落ちぶれていく。 そして、私を溺愛する父兄も「こんな國、もう知らん! 我が領は獨立する!」と宣言する。 獨立後は、家族で內政無雙したり、魔族領に戻って、実家の謎を解いたり。 自由気ままに、幼女が無雙したり、スローライフしたりするお話。 ✳︎本作は、拙作の別作品と同名のキャラが出てきますが、別世界(パラレル)なお話です✳︎ 舊題「幼女無雙 〜勇者に裏切られた召喚師、魔族の四天王になる。もう遠慮はなしで【英霊召喚】で無雙します!〜」 © 2021 yocco ※無斷転載・無斷翻訳を禁止します。 The author, yocco, reserves all rights, both national and international. The translation, publication or distribution of any work or partial work is expressly prohibited without the written consent of the author.
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