《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第2部 第17話 茶飲み話だよ。みんな集まれ。Ⅰ
相変わらずのミナトゥ村。ちょうど僕が赤ちゃんモードになっていた時に、浜さんと桃山さんが訪れてきてくれたんだよ。ラポルトのメンバーが向こうから來てくれたのは初めてのパターンだ。
‥‥‥‥なんかひと悶著あったらしいけど、それについて誰も僕に教えてくれない。
解せぬ。
‥‥‥‥うん。この「解せぬ」って、一回言ってみたかったんだよ。
それで、大人數になったし、みんなで夕ご飯を食べる。プチ宴會だ。久しぶりに仲谷さんの味付けのゴハン食べたいし。
ちなみに、ゴハンの準備にる前に、寢る場所の配置をみんなで相談した。――え? そんな事わざわざ? と思うなかれ。さいはて中コンビが來たので、ミナトゥの僕の家は、かなり手狹なのだ。
「‥‥あれ? ひめちゃんは土間じゃあ? ‥‥‥‥あ、今人間だった」
という僕の失言でひめちゃんがガチ泣きしちゃったので、怒った麻妃の急提言だ。
桃山さん「別に私はどこでも。あ、じゃあ私が玄関近くに行こうかな?」
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浜さん「ひめさんはどこ寢るんですか? やっぱ‥‥暖斗くんの‥‥‥‥」
麻妃「ほら、ひめ、泣き止め。いいよね? ひめっちの希イチバンに聞いてもらって? いいよね? ほら。‥‥‥‥だからひめ、泣き止めって」
ひめちゃん「うぇぇぇん。ふええぇぇん。ぐすっ」
エイリア姫「まあ! 普段から王宮の寢室より狹い空間に3人寢泊まりしていたのに、7人‥‥ですか。――これが噂に聞く、『雑魚寢』というものかしら。楽しみだわ」
仲谷さん「意。姫様があちらの世界で興味を持たれていた、庶民、その中でも底辺の者どもがいたす就寢方法。男りれて寢れて、狼藉を働く者が後を絶たず。不詳わたくしめが姫様を雑魚寢からお守りいたします」
僕「‥‥‥‥‥‥‥‥あの~。今回も僕の意見は、聞いてすらもらえないみたいだね~~~」
で、玄関近くから順番に。
桃山さん、浜さん、僕、姫ちゃん、麻妃、エイリア姫様、仲谷さん。
で決まった。なんか奇跡的にお互い「お隣り」に気を使わなくていい配置だ。
食後。
「やっぱり仲谷さんの味付けは面白いなあ。よっ! 『斜め上の味付け師』」
「私はただ、仲谷家の家庭の味を再現しただけで」
「ご苦労様でした。春(やよい)。疲れていたでしょうに」
「いえ。姫様がご所とあらば」
「皆さん。喜んでいただけたようで何よりです。この春(やよい)の出地域では、割とポピュラーな味付けなんですよ。‥‥‥‥そう言えば、さる國の姫君も絶賛していましたね。あなた達もよく知る姫君。『この甘辛いのがまた何とも』と」
「へええ。この味異世界ならでは、じゃなかったんですね。へえ」
「な、仲谷さんの故郷の味付けだったと」
「そう言えば、ヤナーアッラーヤ村はやけに甘かったしね。ね? 仲谷さん」
「あ、ひめちゃん泣きやんでる」
「ひひ。『泣き病んでる』だろ」
みんなでお茶を飲みながら、こんな會話をしている。僕は思わず獨り言ちた。
「なんか賑やかでいいね」
その言葉に麻妃が反応する。
「なんだ? ぬっくん家はいつも集中方式(セントラル)で賑やかじゃんか?」
「いや、最終決戦前のラポルトを思い出したんだよ。あの頃は演習演習で、チームワークを高めようってよく時間を合わせてみんなで夜ご飯食べてたじゃん」
「そうだったね。合宿みたいだった」
「‥‥‥‥いいなあ。私も本當は參加してたんだよね」
ひめちゃんが言ったセリフに姫様と仲谷さんが即応して。
「「申し訳ございません」」
「あっ! いえ! 私そういうつもりじゃ。ぬっくんからその時の事聞きたいだけで」
ひめちゃんはのけ反って顔の前で手のひらを必死に振っていた。
「‥‥‥‥話そうか。ここには姫様とひめちゃん以外はラポルトメンバーだし」
そうだった。あっちの世界でずっとひめちゃんと會ってなくて、こっちでやっと再會したくらいだから、ラポルトでの僕らの大冒険はまだ話してなかったね。じゃ‥‥。
「でもさあ。あらかたの事はウチが話してあるから。今さらひめに話すネタあったかな?」
僕が語るつもりになってたから思いっきり肩かしだ。なんだよ~麻妃。
「おおう。ぬっくん話す気満々だったみたいだねえ。‥‥ああそうだ。あそこのくだりは? ひめが『機械ものはよくわかんない』って言って割した部分」
「あ、そうね。私まだそこ聞いてない。できればぬっくん本人から聞きたいなあ」
「あのくだりですか。なるほど。ひめさん。男はおしなべて武勇伝は話を盛る方向にあります。己の武勇を誇るために。是非、『話半分』の脳フィルターをかける事を推奨したします」
‥‥エイリア姫様の妙な予防線で一瞬で話しづらくなったけど、まあいいか。ひめちゃん僕に寄ってきて興味津々だし。
異世界の夜は早い。魔法やろうそくの明かりはあるんだけど、やっぱり電気みたいな文明はないからね。暗くなったら寢るのが基本だよ。
みんなで片づけをして7人、川の字になって寢た。ちゃぶ臺とかも々片付けてスペースを作ったんだけど、やっぱりこの家じゃ手狹だ。お互いの距離がかなり近くなった。
僕の右隣りは浜さん、左隣りはひめちゃん。
そこでさっきの話の続きをする事になった。ひめちゃんがコッチ向いて食いつき気味なのが気になるけど。暗い部屋に彼の大きな目が輝いて見える。――――あっ! 麻妃! 今ひめちゃんの背中押してコッチに寄せようとしたろ? 腕見えたぞ。
‥‥‥‥まあいいや。それで――ああそうだ。ガンジス島の戦いで、病院南方に敵が現われた所から、だね。
「えっとね。最終決戦でさ。僕らの前に現れた敵がヤバかったんだ」
※「お? また脇道かと思ったら本題か!」と思ったそこのアナタ!!
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