「……ここどこ？」

目を覚ますとまず、見慣れない天井が目にった。

とりあえず自分の家ではないらしい。

ベッドから起きて周りを見渡すが、見たことのない家ばかりである。

ボーっとする頭で必死に記憶を辿ると、自分が信號待ち中に倒れたことを思い出した。

あの後、病院に運ばれたのかな？

とじたが周りの家、部屋の雰囲気を見る限り病院でもない様子だ。

「んん？」と、どこか違和を覚えた。

そして、違和の正を確かめようとベッドから起き上がろうとした時に気付いた。

……手足が小さい？　まさか‼　と思い、慌てて近場にあった鏡臺の鏡をのぞき込んだ。

「誰、コイツ⁉」

思わずんでしまった。

鏡に映っていたのは白銀の髪に紫の瞳が似合う綺麗な顔だった。

まず間違いなく俺ではない。

俺はこんな形じゃない。

何がどうなったのか、頭を抱えていると後ろからの聲が聞こえた。

「リッド様、目を覚まされたのですね！　すぐ、皆様にお知らせしてきます！」

俺を見るなり、大きな聲で言い放ったはすぐにどこかに行ってしまった。

というか恰好がいわゆる「メイド姿」だったので、衝撃をけ呆気に取られてしまった。

「何がどうなって……ん、リッド？　……グッ！」

呟くと同時に頭に激しい痛みが走り、頭の中で自分と誰かの記憶と験が混ざり合っていくのをじた。

世界がグルグル回る。

気分が悪くなり吐きそうになるが、し時間が経つと頭の中がクリアになり落ち著いてきた。

そして、俺は誰に言うわけでもなく呟いた。

「ハァ…ハァ…そうだ、リッド……‼　俺……じゃない、僕はリッド・バルディアだ……‼」

◇

「ふむ、に異常は無いようですね」

醫者らしき人が、僕の目のきや、腕、足など全のきを細かくチェックすると呟いた。

「何もないと思いますが、何かあればすぐご連絡を下さい」

診察が終わると醫者は立ち上がり部屋から出て行った。

「リッド様、ご無事で何よりです。しかし、いきなり庭で倒れられたので何事かと思いましたぞ」

僕がさっき目覚めた部屋には數名の男が集まっている。

でも、顔と名前がうまく繋がらない。

僕は困った表をしながら言った。

「心配をかけて申し訳ないです。ええと……」

「執事のガルンです」

執事のガルンと名乗った彼は、白髪に黒い瞳、眼鏡をかけた４０代後半ぐらいのダンディなじの人だった。

「ごめん、し混しているみたい。ガルンさんも皆さんもご心配とご迷をおかけしてすみませんでした」

ペコリと頭を下げながらお禮を伝えると、ガルンを含め後ろにいるメイド達が目を丸くしてしまった。

ガルンは驚いた様子だったが、咳払いをすると微笑みながら僕に優しく言葉を掛けてくれた。

「ゴホン……リッド様、ありがたいお言葉を頂きありがとうございます。しかし、執事やメイドにそのような言葉は使うべきではありません。いつものように私はガルンとお呼び下さい。ですが、リッド様のお言葉は大変うれしく存じます」

「うん、気を付ける。ありがとう、ガルン」

僕の言葉に満足した様子のガルンは何かあればすぐに知らせるようにと、呼び鈴を近くに置いてくれた。

そして、メイドと共に僕が寢ている部屋から退室した。

部屋に一人だけになった僕は、布団の中に潛り込み頭を抱えて呟いた。

「僕は乙ゲーの世界、しかも悪役モブとして転生してしまったのか……‼」

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【お知らせ】

2022年7月8日、第10回ネット小説大賞にて小説賞を賞致しました!!

本作品の書籍化とコミカライズ化がTOブックス様より決定!!

書籍が2022年10月8日にて発売致します。

現在、TOブックスオンラインストア様にて予約付中です!!

※コミカライズに関しては現在進行中。

【その他】

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こちらの件に関しては作者では対応致しかねますので恐れりますが予めご了承下さい。