《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》転生(2)

僕が転生した「リッド・バルディア」は前世の記憶にあるゲーム「ときレラ!」に登場する脇役の悪役モブである。

「ときレラ!」はシンデレラストーリーなのでメインヒロインの邪魔をする役目のいわゆる悪役令嬢がいる。

その取り巻きの中にいる悪役モブの一人が僕「リッド・バルディア」だ。

本編だと名前が出てくるだけで立ち絵すら存在しない。

だが、最後は悪役令嬢の共犯者の一員として斷罪され、裁かれる、追放される、戦爭で戦死する、処刑、と散々な目に遭うのである。

リッドの名前はゲームにでは一文程度しか出ないのに。

僕は乙ゲームの本編はあまりプレイしてない。

では、何故リッドのことを覚えていたのか?

それは「ときレラ!」のやり込み要素にある。

全クリ、フルコンプするとおまけ要素で「フリーモード」が登場するのだ。

その際「全キャラ開放」ということで本編に「名前があるキャラクター全員」の育ができるようになる。

通常プレイ時には主人公キャラ達しか使えないという制約があるのだが、やり込み要素のフリーモードでは使えるキャラが大幅に増えるので楽しさが倍増する。

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キャラごとに設定されているパワーバランスも絶妙で、これも本編がおまけと言われてしまった原因の一つだ。

そして、ゲームの「ときレラ!」で優先的に育して使っていたのが、今の僕自である「リッド・バルディア」だった。

「……リッドなら頑張れば、この先はなんとかなるかも知れない……‼」

布団からし顔を出して天井を見つめながら、僕は期待に満ちた表をしていた。

実は「リッド・バルディア」はフリーモードで「化けるキャラ」だからだ。

「ときレラ!」の世界においては「魔法」が存在する。

魔法を使用する為に重要となるのが「屬素質」と言われているものだ。

ゲームではキャラごとに屬素質は決まっており、リッドは初期能力こそ最低の設定をされているが、全種類の屬素質がある遅咲きタイプだ。

主人公達は長補正があるので、比較的すぐに強くなれる。

彼らは屬素質の數がなくて、使える魔法の種類がないのが特徴だ。

その為、隠し要素の攻略においては屬魔法の種類が足りずに難しい場面が出てくる。

だが、全屬魔法が使える鍛え上げたリッドがメンバーにいるだけで、隠し要素の攻略難度が大分変ってくる。

しかし、初期能力が低いので鍛え上げるのは非常に面倒なので、リッドを実際に使う人はやり込み派しかいなかった。

「地道にコツコツするのは好きだし、リッドなら屬素質も全種類あったはず。まずは、現狀確認をして、今後のの振り方を考えよう。とりあえず、悪役に関わらないようにして真っ當に生きていこう」

僕はそう決心すると、ベッドの近くに置いてあった鈴を鳴らした。

それからしすると「失禮します」と黒髪でオレンジの瞳をした、小柄の可いらしいメイドが部屋にってきた。

ドアの前で軽く頭を下げて控えるような立ち姿をしているが、その様子はしの怯えと張が伝わってくるじがした。

「……そんなに、張しなくても大丈夫だよ。意識は戻ったけどし確認がしたくてね。……僕は今年で7歳だったよね?」

「いえ、先月に6歳になられたばかりです」

「そ、そうだったね。あとね……」

自分の年齢、父親、母親、國の名前など確認していくと「ときレラ!」の世界であることを再認識していった。

「……リッド様、やはりおの調子が良くないのではないでしょうか? よければ、再度お醫者様をお呼び致しますが……」

は不安そうな顔で僕を見ていた。

あまりに変な質問ばかりしたので心配させてしまったらしい。

「心配させてごめんね。なんか急に庭で倒れて気を失ったせいか、ちょっと不安になってね。大丈夫だよ。ありがとう」

僕の返事に彼は、し安心したようでホッとした表を見せた。

しかし、やはり何か張というか怯えられている印象がある。

どうしたのだろう?

と思った瞬間、リッドの記憶が蘇る。

軽い頭痛で、額に手をやると彼が「リッド様?」と近寄り不安そうな顔で俺をのぞき込んだ。

そうだ、そうだった。

僕、リッドは最近だと何かあれば、すぐにメイドやらに當たっていたことを思い出した。

「……僕は馬鹿だな」と靜かに呟くと、彼を見ながら優しく言葉をかけた。

「……心配ない。大丈夫だよ。それより、今まで辛く當たってごめんね」

僕の言葉を聞いて、彼は目を丸くして驚いた表をしていた。

「いえ、そんなことは……」

「ううん、僕が今まで皆にしていたことは、褒められたことじゃないと思うから……」

の言葉に僕は、首を軽く橫に振りながら返事をしていた。

「……お気持ちだけで十分です。ありがとうございます」

言葉に戸いを隠せない彼だったが、最初に僕に対して抱いた怯えと張した様子はしなくなっていた。

「あ、そうだ。名前を教えてもらってもいい?」

「……ダナエと申します」

「ダナエ、いい名前だね。これからよろしくね」

僕は彼との會話に首をし傾けて「にこっ」と笑顔を見せた。

ダナエは僕の顔を見ながら「可い笑顔……」と小さく呟いたあと「ハッ」としてから頭を下げながら言った。

「し、失禮致しました‼ こちらこそよろしくお願い致します……‼」

い笑顔か…… 確かに鏡臺の鏡で見たリッドの顔は可かった。

きっと、笑顔も可いのだろうなと思うと可笑しさがこみ上げてきて「クスクス」と笑ってしまった。

その様子をダナエはきょとんとした顔で見ていた。

僕はあらかた質問を聞き終えると「ありがとう」と言ってダナエにペコリと頭を下げた。

は僕のその様子に手をバタバタさせて、「頭を上げてください」と慌てていた。

ダナエが退室すると僕は次にすべきことを考えていたが、気付くと深い眠りに落ちていた。

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これからもどうぞよろしくお願いします。

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