《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》帰り道
「うまく、いきましたか?」
別邸の馬車に向かって歩いていると、ルーベンスが心配そうな顔をしながら聲をかけてきた。
「うん。想像していたよりも喜んでくれたし、これからはクリスティ商會と々出來そうで楽しみだよ」
「おお、それは良いですね。ご無理だけはされないようにして下さいね」
僕がし浮かれていると思ったのか、ちょっと釘を刺された。
まぁ、まだまだ前途多難な狀況だから、浮かれている余裕はないけどね。
何もしないと待っている未來は追放、処刑などおっかないことこの上ない。
脳裏に最悪の將來がよぎると、背筋がゾッとしてがし震えた。
「あら? どうかされましたか?」
「いや、大丈夫だよ」
「そうですか、し日が落ちてきましたので寒いときは仰ってくださいね」
「ディアナ、ありがとう」
僕が震えた様子を寒さのせいだと思い、聲をかけてくれたらしい。
優しい護衛っていいな。
「……ん?」
道を歩いていると、前方に僕よりし小さいの子がいた。
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高級なじの洋服を著ている様子から、どこかの令嬢と思う。
の子はし怯えた様子で周りを見渡していた、その姿を見ていると張が伝わってくる。
貴族の令嬢が迷子になったらあんなじだろうか?
どちらにしても、そのままにはしておけない。
僕は護衛の二人と一緒に、の子に近づくと怖がらせないように「大丈夫?」と聲をかけた。
驚いた様子で僕達に振り返った彼は褐のに紺の髪、吸い込まれるような紅い瞳をしていた。
近くで見ると、すごく可いの子だった。
「あ……」
「ごめんね、いきなり聲をかけられたら怖いよね?」
「い、いえ。大丈夫です……」
すごく怯えられているのがわかる。
僕ってそんな怖い顔だっけ? 鏡があったら覗きたい。
彼はかなり警戒していたが、僕達が辺境伯所屬の騎士団所縁であることを伝えた。
困っているのであれば力になりたいと説明した。
彼は張した様子で事を話してくれた。
一緒にこの街に來た人達と、気付いたら離ればなれになってしまったらしい。
「やっぱりか……」と思いながら他の人達と離れ離れになったしまった所に、僕達が彼を案することにした。
幸い、彼と離れ離れになった人達はすぐに見つかった。
恐らく他國の人達で、彼の従者なのだろう。
従者と思われる人たちは皆、彼と同様に褐をしていた。
彼が一人で町中に立ちすくむ姿を見つけて心配になり聲をかけた。
狀況を聞くと一人にはしておけず、心配だったので護衛をしながら従者の皆さんを探していた、と伝えた。
すると、が僕の前に出てきてお禮を言ってから頭を下げた。
「ありがとうございます。本當に助かりました」
「いえいえ。頭を上げて下さい。困っているの子を助けるのは當たり前のことですから……」
僕の言葉を聞いて、迷子のの子は顔を赤らめて俯いていた。
僕に頭を下げていたは頭を上げると、迷子のの子に振り返り近づくと険しい顔で強めの聲をだした。
「お嬢様、一人で勝手に行かれては困ります‼ 本當に心配したのですよ?」
「ごめんなさい……」
迷子のの子は、「シュン」としての言葉に頷いていた。
二人のやりとりから、迷子のの子はどこかの令嬢で間違いないみたいだった。
「じゃあ、またね。迷子にならないように気を付けてね」
「は、はい。ありがとうございました」
迷子のの子とに一禮してから「じゃあね!」と言って別れた。
今度こそ家の馬車まで歩き帰途についた。
◇
馬車で屋敷に帰る道の途中、ルーベンスはリッドに聲をかけた。
「リッド様、迷子のの子に名前聞かなくて良かったのですか?」
ルーベンスは迷子のの子とリッドのやりとりを見た時、將來とんでもない「男」になりそうだな、とじていた。
恐らく、リッド本人はその気がない。
ただ、リッドの顔は他人から見て、とても綺麗で整っている。
服裝次第での子にも見えるかも知れない。
そんな、リッドが間近に迫ってきて「大丈夫?」と言われたら、彼と同い年ぐらいの子供なら誰でも固まってしまいそうだ。
ルーベンスがそんなことを考えながら、リッドの言葉を待っていたが返事がない。
「……あれ?」
ルーベンスは気になって、そっと馬車の中を覗くと「スースー」と寢息を立てていた。
リッドの無防備な寢顔はとても可らしい。
ディアナもそのことに気付いたようだが、口元を両手でおさえて「か、可い‼」と目が爛々となっていた。
彼の様子と表を見て、ルーベンスは「おいおい」と心の中で呟いた。
「……リッド様が寢ている間に、屋敷に戻るかね」
ルーベンスはそう言って馬車を屋敷へと走らせた。
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