《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》魔力回復薬
サンドラから魔力測定の取り扱い、特に報洩については気を付けるように苦言をうけたが、有用についてはすぐ理解してくれた。
それから早速二人で、魔力回復薬の末と錠剤作りに取り掛かる。
「いまはまだ月草しかありませんから、相乗効果とかも狙えません。とりあえず、月草を生で食べる。乾燥させて末にする。ゆでて食べる。を順番に試して一番効果がある方法を探しましょう」
「……わかった。やろう」
月草はえぐみが強くてまともに食べられるものじゃない。
だが、「母上のためだ」と意気込み実験に取り組んだ。
その日、一日かけて取り組んだ結果。
月草を生で食べる:魔力回復効果=20
(生で食べるのはえぐみが強すぎてきつい。だが、頑張ればいける。おかわりは絶対いらない)
ゆでて食べる。:魔力回復効果=10~30
(無理、一番無理。ゆでた結果、えぐみに匂いも加わってまずげんなりする。そして、草の養分が溶け込んだも飲まないといけない。を飲み干さないと効果が下がる)
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乾燥させて末にする。:魔力回復効果=50
(一番飲みやすくて効果も高かった。末は水で一気に飲み干せば大丈夫。でも、口の中で広がると、生で食べるよりきついかもしれない。サンドラに飲み方も関係あるかもしれないから、すぐ飲まずに口の中で転がして。と言われた時の僕は真っ青だったはずだ)
「うん、とりあえず、にしてから錠剤にすればナナリー様でも大丈夫そうですね。お疲れ様です。リッド様。」
「……サンドラ先生、この恩と恨みは忘れませんからね。うっぷ……」
サンドラは僕が薬を飲むときに毎回、目をキラキラさせていた。
そして、「味は、味は? 味はどうおいしい? 私のをれたのよ?」とかめちゃくちゃおどけて楽しんでいた。
一方の僕は、それに反応出來ないぐらい月草のまずさに顔が真っ青になっていた。
もしこの味のまま、ドリンク剤とかになったら魔力回復と同時に力とやる気が削られて、役立ちそうにない。
絶対、味にこだわる様に指示、いや命令を下そう。
僕はそう心に誓った。
「あ~、そんなふうに仰るなら教えてあげません」
「なんですかそれ。何を教えないのですか?……うっぷ」
結局、サンドラは何も教えてくれなかった。
「どうせ、今日明日にはわかるでしょうから」とかなり楽しそうな笑顔をしていた。
嫌な予しかしない。
だが僕もそこまで突っ込む気力がない。
そんな、僕の様子をみるとサンドラは意地悪そうな笑みを浮かべヒントをくれた。
「う~ん、そうですね。メルディ様に話をきけばわかると思います。一度話をしてみてください」
「え? メルに? この場にいないのに?」
「はい。多分、メルディ様が一番わかるかと」
僕がわからなくて、メルがわかることってなんだろう?
そんなことを考えていると、サンドラは「では、今日はこれで失禮致しますね」と帰っていった。
なんだったのだろう?
そう思いながら、訓練場から屋敷に移すると偶然にもメルが出口で迎えてくれた。
僕は「メル、ただいま」と聲をかけていつも通りハグの姿勢をする。
「にーちゃま‼ おかえりなさ~……!?!?!?」
「ん?」
メルが僕に駆け寄ってくる途中で「ピタッ‼」ときが止まった。
「メ、メル?」名前を呼びながら、恐る恐る近づくとメルは後ずさりして離れる。
そして、メルの目元に涙が溜まり溢れて頬を伝う。
可い顔がくしゃくしゃに歪む。
僕は何事かと揺したその時、メルが屋敷中に響くほどの大聲でんだ。
「にーちゃま、くさい‼ こんなくさいにーちゃまは、メルのにーちゃまじゃ、ないの‼」
「なっ‼」
メルは思いっきりぶと僕からにげてみるみる遠ざかっていった。
メイドのダナエが苦笑しながら、僕に一禮してメルの後を追いかける。
その様子を見て、し茫然としてからハッと気づき周りを見渡すと、メイド達は皆遠巻きに離れて苦笑いをしている。
すると、鼻と口元をハンカチで押さえたガルンがやってきた。
「リッド様、大変申し訳ありませんが、その香りはいささかきつすぎます。まず、お屋敷の外で水浴びをするのがよろしいかと。その後、お風呂を用意致しましょう」
「……わかった。水浴びをしてくるから、すぐ風呂を用意してくれ」
屋敷の外で水浴びしながら、僕は屋敷の外であるにも関わらず、怒りのあまりにんでしまった。
サンドラァーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼
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