《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》ナナリー・バルディア

ナナリーは自分の病気の名前は知らない、原因不明の病気と説明されている。

だが、どんな病気にしても確実に死に向かう、死病であるとすぐに理解した。

毎日、から「何か」が抜け落ちて行く、そんな覚がずっと続いているのだ。

それは、コップの底にヒビがあり、そこから數滴ずつ水が落ちていく、そんな覚だった。

最初は気だるさから始まり、風邪でも引いたか、疲れが出たのかな? と思ったが、數日後にはベッドから立ち上がることも出來なくなってしまった。

夫のライナーは、辺境伯の立場も使い、出來る限りの手を盡くしてくれた。

だが、どの醫者でも原因も病名もわからなかった。

いや、恐らく判明はしているのだ、夫か醫者の判斷で私ににしているのだろう。

夫のライナーは帝都の仕事が忙しくなり、部屋に來る日はすこしずつ減っていった。

だが、とても気にかけてくれて毎日、必ず手紙を書いてくれた。

帝都であったこと、屋敷の外の様子を外に出られなくなった私にしでも伝えようとしてくれた。

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普段、仏頂面の彼らしくない行に自然と手紙を読む顔は微笑んでいた。

だけど、夫の手紙からは時折、私と會うのを避けているとじることがあった。

彼は私のことを凄くしてくれた。でも、だからこそ、私が死病に向かっている姿をれることができず、苦しんでいる。

彼が私をしてくれたように、私も彼をしている。

だから、私もいまの弱っていく姿を見せたくはなかった。

そこで、彼には弱音も何も言わないようにした。

私はこんな、わけもわからない病気に負けるものかと意志を強く持った。

私に出來ることは、數滴の水が落ちていく覚をしでも遅くなるように、ひたすら自分の中の覚に集中することだった。

日々、弱っていく自分を何とか出來ないか? と考え、水が落ちていく覚に集中すると、気のせいかもしれないが、水が抜け落ちて行く覚が、しだけ遅くなった気がしたのだ。

それ以來、起きているときは必ず水滴の覚に集中してしている。

寢る時は、ぎりぎりまで集中する。

だが、その反なのか、いつも寢起きは地獄だ。

寢苦しさで目が覚めると悸が激しく、息をするもの億劫になるほどだ。

そして、その地獄は日々激しくなっている。

リッドやメルのことを考えるといつもが張り裂けそうになる。

リッドはとても賢い子供だった。

絵本を読むとすぐ文字を理解した。

そして、一度読んであげた本の容はすぐ覚えてしまう。

人の視線やその場の雰囲気を察する力。

ちょっとした運ならすぐにこなしてしまう、能力。

親バカかもしれないが、「天賦の才」を持って生まれた子供だと思った。

だが、私が発病した時のリッドは誕生日が近づいていたが、まだ「5歳」だった。

私がベッドで寢たきりになると、不幸にも私が「天賦の才」と見込んだ才能が、リッドに私が死に向かっていること。

そして、恐らく回復方法がないということを直させてしまった。

私がどんなに明るい顔をしても、聲をかけても、必死に絵本を読んでもリッドの顔が明るくなることはなかった。

そして、リッドは部屋に來なくなった。

リッドが部屋に來なくなり悲しんでいると、代わりにメルが來てくれるようになった。

だが、彼はいつも泣いていた。

理由を聞くとリッドが荒んでしまい、メルディに辛くあたるようになったと聞いた。

私はその時、メルディを力強く抱きしめて「ごめんね。ごめんね……」と泣きながら謝った。

メルディは私が泣いている理由がわからないようだった。

でも、私の悲しさだけが伝わり「まま、ないちゃだめだよ」と言って私と一緒に泣いてくれた。

その日からメルは毎日、私のところにきた。

恐らく、荒んだリッドに會いたくない一心でここに逃げてきているのだろう。

私は、毎日が締め付けられた。

何故、私だけではなく、大切な子供たちの心まで、この病は蝕んでいくのか。

悔しくて毎日泣きながら、ひたすら耐えた。

私が出來ることは、この病にしでも打ち勝つことだったから。

耐え忍ぶ日々が続いたある日、メイドのダナエからリッドが庭で倒れたという話を聞いた。

私はすぐにも駆けつけたかったが、腹立たしくもが言うことを聞かない。

私は心配しながら、ベッドで報告を待った。

その日のうちに、リッドは意識を取り戻したとダナエが報告してくれた時はホッとしてでおろした。

だが、ダナエはリッドの様子がし変わったという。

荒んだ様子が消え、とても落ち著いており、まるで大人と話しているようだというのだ。

私は変わったリッドの様子を直接知りたかったが、彼が來ることは恐らくないと諦めていた。

だが、リッドはその翌日に私の部屋を訪れてくれた。

すると、リッドは私の顔を見るなり、涙を流して服の袖で顔を拭った。

何か調が良くないのかと心配で聲をかけ、近づこうとするががいうことを聞かず咳込んでしまった。

その時、リッドは「母上‼」とんで、私に寄り添い背中をさすってくれた。

リッドの顔つきを見ると今までと全然違うことに驚いた。

まるで、何か憑きでも落ちたように明るく、以前のような笑みが戻っていた。

彼は部屋を出ていく前に私の手を力強く握ってくれた。

私はリッドが部屋を出て行った後に一人、涙を流した。

私のせいで荒んだリッドが立ち直ってくれたことが嬉しかった。

そして、私がいなくなることであの笑顔をまた奪ってしまうのではないか? そう思うと、また涙が止まらなくなってしまった。

數日後、いつも通りメルがやってきた。

兄が庭で倒れて、意識を取り戻したことは知っていたようだが、相変わらず會いたくはない様子だった。

だが、今のリッドであれば絶対、メルに辛く當たることはない。

そう確信して、メルにあるお願いをした。

リッドに會ってきて、その様子を教えてしい。

メルは、最初は嫌がったが「私がけない」ことの理由を強く言うと、子供ながらに渋々と言った様子を出して、リッドを探しに行った。

そのあと、メルが私に會いに來てくれたのはその翌日だった。

メルはとても嬉しそうに「にーちゃまが、えほんをたくさんよんでくれたの‼」と喜んでいた。

それから、リッドがメルに辛く當たることはなくなった。

メル本人やダナエの話を聞くと、むしろ家族としてとてもしてくれているようだった。

その話を聞いた時、私のせいで心を病み、荒んでしまったリッドが立ち直った。

そして、家族を良い方向に導こうとしてくれていると私は確信した。

私も諦めかけていた気持ちに、人知れずも気合をれた。

「諦めるものですか……リッドが立ち直ったのに、母親である私が、病などに負けるわけにはいきません。必ず打ち勝ってみせます……」

私は聲を震わせながら一人、ベッドの上で呟いていた。

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