《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》レナルーテ王都
「レナルーテ王都が見えてきました」
馬車の外にいるディアナが僕たちに目的地間近まで來たことを教えてくれた。
僕は、馬車の窓からレナルーテ王都を見た。
お城がある。
うん、和城だ。
なんとなくそうかなと思っていたけど、遠くから見ても中々の迫力だ。
城の周りには町があるから、城と城下町ってじだ。
僕が馬車の窓から王都を眺めていると、後ろから父上に聲をかけられた。
「リッド。レナルーテとマグノリアでは當然だが常識が違う事が多々あるだろう。足をすくわれることの無いように心せよ」
「はい。承知致しました」
父上は厳格な顔をしているが、投げかけてくれる言葉には心配が含まれていた。
そんな、父上に僕は笑顔で力強く返事をした。
その返事に満足した様子の父上は小さく頷いた。
城下町にる前には関所と同様に検問があったが、すぐに通された。
マグノリアから僕達が來ることは當然連絡がっていたのだろう。
すると、検問所にいたダークエルフの兵士の一人が、ルーベンスに何か話しかけている。
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彼は兵士の言葉に首を縦に振るとすぐ馬車の窓に近づき父上に報告した。
「彼が、城まで先導するそうですが、よろしいでしょうか?」
「うむ。任せる」
父上の言葉を、先程の兵士にルーベンスが伝えると再度、馬車がき始めた。
このまま、城に向かうのだろう。
馬車は先導してくれる兵士の後を追う流れでレナルーテの城下町を進んでいく。
馬車から街並みを見ると不思議とどこか懐かしい。
木造の家に瓦屋が多いかな。
そして、通り過ぎるダークエルフ達の和洋折衷の裝。
達は袴に靴、他にも著を著ている人。
さすがに髪は普通にしているけど。
男も著が多い。
時折、兵士の方や僕達が著ているような服の人もいて、まさに和洋折衷と言ったじだった。
しかも、ダークエルフがその姿でいるというのがまた目新しく、見ていて飽きない。
目をキラキラさせて馬車の外を眺めていると、「そろそろ、城に著きます」とディアナの聲が聞こえてきた。
馬車の窓から前を見ると、城が大分近くまで見えてきた。
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城の外周を囲うように水堀があるようだが、いま進んでいる門の近くは空堀のようだ。
當然、水堀と空堀の壁は石垣になっている。
馬車が進む正面にある、城門は今までの関所よりでかい。
その門の前で馬車は一旦停止した。
僕は城の知識なんてほとんど持っていない。
でも、その城を間近でみると嘆の聲をらしていた。
「すごい、迫力…… 高い石垣だなぁ…… 」
「うん? リッド、お前「石垣」を知っているのか?」
僕の「石垣」という言葉に父上が反応して怪訝な顔をしていた。
マグノリアには石垣がないからだ。僕が知っていたことにし驚いた様子だった。
「え? えーと、レナルーテの資料を読んだ時に知りました」
「そうか、レナルーテの城はマグノリアとはまったく違うからな。見分を広める良い機會だ。しっかり見ておきなさい」
「はい、わかりました」
僕はそれらしいことを言ってその場をやり過ごした。
しかし、日本人の記憶を持った僕が異世界でこんな和城に來る機會がくるとは思わなかった。
し慨深くてした。
その時、城の城門が左右に開き始めた。
そして、そのまま中にり馬車は城を進んで行く。
城の中に行くかと思ったが向かった先はマグノリアにある屋敷によく似た建だった。
すると、先導していた兵士が振り返り、僕達一団に向けて大きな聲で言った。
「こちらが皆様のお休みになられる迎賓館になります。いま、係の者を呼んでまいります。々お待ちください」
彼はそういうと一禮をしてから、屋敷の中にった。
すると、すぐに見慣れたメイド姿をしているダークエルフの達が來られて僕達の荷を迎賓館に運び始めた。
僕と父上も馬車から降りた。
僕は「うーん」とをばす。
父上は首をコキコキとして、自分自で肩をもんでいた。
すると、し年齢をじさせるダークエルフが一禮をしてから聲をかけてきた。
「ライナー様、リッド様、遙々レナルーテまで來て頂き謝いたします。私、今回皆様のお世話と迎賓館の管理、責任者を致します、ザック・リバートンと申します。以後、よろしくお願いいたします」
ザックと名乗ったダークエルフは腰がらかく、とてもじ良い人だった。
ガルンと似ているかもしれない。
僕はそう思いながら笑顔で返事をした。
「はい。こちらこそよろしくお願い致します」
言い終えるとペコリと一禮した。
その様子にザックはし驚いた様子だったがすぐ平常に戻る。
どうしたのかな?
対して父上はザックに軽いじで挨拶をした。
「こちらこそ……また、よろしくお願い致しますぞ。ザック殿」
「はい。ライナー様もお久しぶりでございます」
ザックは父上に一禮する。というか、父上は「また」と言った。知り合いなのだろうか?
僕は二人のやりとりを不思議そうな顔で見ていた。
それに気づいた、父上が説明をしてくれた。
バルスト事変の時に帝都とレナルーテの報のやりとりを主にしていたのは父上だったらしい。
確かに、隣國だし當然と言えば當然だ。
「その時に、ザック殿には々世話になったのだ」
「いえいえ、我らダークエルフの同胞が帰って來られたのはライナー様のおかげと、私は思っております」
「私は伝書鳩の役目をしたに過ぎません。すべては陛下同士でお決めになったことです」
ザックは父上の言葉に含みのある笑顔で返していた。
そして、彼は僕に目線を変えると微笑みながら父上に向かって言った。
「しかし、ライナー様のご子息がこんな素直で可らしい子とは思いませんでした」
「……素直で可いだけでは、ないがな」
父上は意地の悪い顔をして返事をすると僕をチラっと見た。
「アハハ……」
飴玉のことに持っているのだろうか?
と乾いた笑聲を出していた。
すると、ディアナの聲が聞こえてきた。
「ライナー様、必要な荷をすべて迎賓館に移させました」
「うむ、ご苦労。では、部屋に行こう」
父上が返事をすると、合わせてザックが「部屋にご案致します」と先導してくれた。
僕と父上は別々の部屋に案される。
迎賓館の中は和式かな?
と思っていたが普段過ごしている屋敷とそう変わらなかった。
ザック曰く、「迎賓館なので、出來る限りマグノリアに近い形にしております」ということだった。
部屋にり、ザックから一通り部屋の説明をけた。
そして興味深い一言に僕は食いついた。
「マグノリアでは珍しいかもしれませんが、迎賓館には溫泉があります。一度、お試しになられますか?」
「え? 溫泉があるの⁉」
僕が予想外に食いついたことにし驚きの表をしたザックだったが、その後も説明を続けてくれた。
男別の大浴場があるので、そこであればいつでもることが可能なのだという。
僕の中で迎賓館が溫泉旅館になった瞬間だ。
「うん。じゃあ、あとでらせてもらうね」
僕がそういうと、溫泉にりたいときはお聲かけ下さいと言われた。
その後、ザックは一禮すると部屋から出て行った。
彼が部屋から出ると、とりあえず僕はベッドに仰向けで寢転んだ。
「はぁ~、馬車はもうコリゴリだよ……」
最初に比べれば、クリスにもらった飴、道がし平らになったことで途中から多ましになった。
それでもきつかった。
すでに帰り道のことで気が重い。
すると、ドアがノックされたので返事をしたところ、クリスが部屋にやってきた。
彼はし心配そうに僕の顔を見ながら言った。
「馬車の酔いは大丈夫でしたか?」
「うん。クリスにもらった飴玉のおかげですごく助かったよ」
「そうですか。お力になれて良かったです」
彼は安堵の表を浮かべていた。
飴玉の効果を確認だけじゃないよね?
「うん。心配してくれてありがとう。それより、どうしたの? 何か問題でもあったかな?」
「いえ、そうでありません。私たちも迎賓館に案して頂いたのは大変栄です。ただ、今後のことを考えるときづらいので、私たちは城下町で宿を取ろうと思います」
なるほど。確かに今回、クリス達にお願いしているのは新たな商流づくりだ。
拠點となるべき場所がレナルーテ城だと、都度出りするのも大変だろう。
僕はクリスを見て頷くと言った。
「わかった。し寂しいけどしょうがないね。父上とレナルーテの人達には伝えておくから、何かあればすぐに報告してね」
「わかりました。では早速、移して商會を何軒か回ってみますね」
「うん、お願いね」
僕の返事を聞くと、クリスは一禮して部屋から出て行った。
すると、れ違いでメイド姿になったディアナが部屋にやってきた。
「うん? ディアナどうしたの?」
「ライナー様に言われて護衛を兼ねて、同室に居るよう指示をけました。恐れりますが、「空気」とでも思って頂ければ大丈夫です」
「あ、そう……」
ディアナは「空気とでも」というが、腰に帯剣した直立不のメイドが部屋にいる存在はすごく気になる。
でも、もう馬車の疲れが限界に來ていた僕は、ディアナに言った。
「はぁ……し寢るから、何かあったら起こして」
「はい、リッド様」
そして、僕はすこしだけ仮眠をとることにした。
最後まで読んでいただきましてありがとうございます!
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