《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》レナルーテ・リッドの次撃(3)
「さて、何故リッド殿の負けなのかな?」
僕が挙手をして負けを認めたことで、前試合を縁側で見ていた華族達からどよめきが起こった。
レイシスは「認めないぞ‼ こんな終わり方‼」と怒っていた。
でも、実力差を認めて引くことも時には必要だ。
あのまま、続けても彼の自己満足で終わってしまう。
それに、ザックと話した彼の改心の問題もある。
多は響いた気はするが、まだまだ足りない。
僕達はいま本丸殿の中で最初に案された表書院にいる。
他の華族はいない。
いるのは僕とレイシス、エリアス王とリーゼル王妃、そして父上だ。
僕達二人はエリアスの前にレイシスと二人で並んで片膝をつけて頭を垂れている。
父上は僕の橫にいるが厳格というより今日は、疲れたような顔をしている。
それより、王になんて答えるかな。
僕は思案してからおもむろに言葉を紡いだ。
「……それは、エリアス陛下が一番おわかりかと存じます。レイシス王子と私の試合を見て、どう思われたか是非お伺いしたいです」
「……クッ」
隣にいるレイシスが悔しそうな聲をだした。
エリアスはその様子を鋭い眼でみる。
そして、そのまま僕を見てから吐き捨てるように言った。
「レイシスの完敗だ。最初は諦めずに戦うさまも良かったが、途中からはただ負けたくないと意固地になっているだけであったな。リッド殿が恐らく何度か敗北を認めるように進言したはずだ。レイシスどうだ? リッド殿からあったのではないか?」
エリアスの指摘はレイシスの心に鋭く突き刺さる。
確かに最初は挑戦だった。
だが、途中からは負けを認めたくないだけだった。
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リッドが致命的な攻撃をしてこないことがわかっていたからだ。
それを、恐らくここにいた誰もがわかっていたのだ。
レイシスは理解してを小刻みに震わせながら顔をあげエリアスに返事をした。
「……父上の仰る通りです。リッド…殿に勝てないとわかり、最初は挑戦をしていました。ですが、途中からは自らのプライドを守るために戦っておりました。リッド殿は……手加減をして下さっていたので、それを気づかぬうちに……利用していたのだと思います」
言い終えるとレイシスは力なく頭を下げた。
その様子を見たエリアスは大きなため息をついた。
「はぁ……お前はもうし聡明であったと思うが、何故そこまで意固地になったのだ?」
「……そうです。前のあなたはもっと、人の意見を聞いておりました。試合前にいきなり、自分が挑戦すると言い始め、リッド殿を待たせた挙句に自分だけ稽古著で挑むとは何事ですか?」
エリアスの言葉に続くように、王妃のリーゼルもレイシスを案じて思わず口を出したようだ。
そうか、試合前にリーゼル王妃がめていたのはレイシスが急に僕の相手を名乗り出たからか。
僕は試合前の景を思い出して納得した。
でも、そうなると王妃はノリスの影響を息子がけていることを知らないことになる。
そして、レイシスも伝えていないのだろう。
両親の言葉にレイシスはただ、俯いて黙っているままだ。
このまま黙するつもりだろうか。
すると、エリアスが僕に鋭い眼を向けてから質問をしてきた。
「しかし、リッド殿は何故あのような試合をしたのだ? 貴殿の実力であればレイシスを気絶させることはたやすいはずだ。それを、見方によってはまるで何かを教え、諭すような試合であった。どういう意図があったのだ?」
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エリアスの言葉にリーゼルは目を丸くした。
父上は首を橫に振るだけ。
レイシスは苦蟲を噛み潰したような顔をしている。
恐らく、本人は理由がわかっているのだろう。
でも、本人からは言うつもりはないらしい。
ならば、子の不始末は親の不始末になることを教えよう。
僕はエリアスの顔を見て言葉を紡いだ。
「……僭越ですが、人払いをお願いしてもよろしいでしょうか。父上も席を外してください。私とエリアス陛下、レイシス王子、リーゼル王妃の四名だけで話したいことがございます」
父上は僕の言葉を聞くとスッと立ち上がり、僕に近づくと耳元で小さく呟いた。
「中途半端にするぐらいなら徹底的にやれ」
それだけ、僕に聞こえるように言うと襖をあけて部屋の外に出て行った。
父上も何か知っているのかな?
僕がそんなことを考えている間に、エリアスは兵士を呼び人払いするように命じた。
これにより、誰からも邪魔もされない。
「これで、よいか? では、理由を聞かせてもらおう」
僕自から言う前に、レイシスに最後の機會を與える意味であえて無言の時間を作った。
橫目で彼の様子を見ると、下を噛みしめ震えているようだった。
し、靜寂の時間が流れる。
だが、レイシスは言葉を言い出せなかった。
言いだそうとした雰囲気はあったが、結局、下を噛みしめ黙をしている。
わかっているだろうに。
僕はこの時、レイシスが年相応の子供にしか見えなくなった。
そして、そんなレイシスの心を弄んだノリスに嫌悪を抱くのをじた。
だが、彼の今後の為にもいまは心を鬼にすべきだろう。
「……では、申し上げます。彼は試合開始の前に私にあることを言いました」
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「あることだと?」
エリアスの雰囲気が変わる、それは王として威圧、貫祿というべきか部屋の雰囲気も合わせて厳格なものになった。
僕はその威圧に気圧されず、申した。
「はい。レイシス王子はまず『尾を巻いてマグノリアの田舎に帰るのだな』と私に仰いました」
彼の言った言葉を伝えた時に、エリアスの顔の眉間に皺がよった。
そして、リーゼル王妃は目を丸くしている。
レイシス王子は俯きながら震えているだけだ。
僕はさらに続けた。
「いま、お伝えした言葉はまだ、子供同士の言い合いであると理解しました。ですが次に王子の言った言葉は看過できませんでした」
「レイシスは……レイシスはなんといったのですか……?」
意外なことに僕の言葉を聞きたがったのは王妃のリーゼルだった。
それは、自分の子供をする目。
僕の母上と同じで我が子を案じている目だった。
リーゼルの雰囲気に、心苦しい気持ちもあるが父上の言った通り、中途半端にするぐらいなら徹底的にすべきだ。
と、心を鬼にして容赦はしない。
「レイシス王子が言った言葉をお伝え致します。『お前の母親は長い期間、病に伏せっているそうではないか? そもそも、病気の一つも治せない病弱な母親を持つお前に剣など握れるのか? 剣を持つより、母親のおっぱいでもしゃぶっているのがお前にはお似合いだぞ?』とこのように仰いました」
僕の言葉を聞いた王妃は驚愕した顔をした後、嗚咽を出して涙を流し始めた。
エリアスは僕の言葉を聞いても冷靜な様子を崩さない。
彼はレイシスに目をやると、重々しく問い正した。
「レイシス、いまリッド殿が言ったことは本當か?」
「……」
エリアスの問いにレイシスは黙ったまま、俯いている。
だが、それはこの場に置いて相手の怒りを買うだけだった。
その姿を見た時、リーゼルとエリアスは僕の言ったことが事実であると理解した。
そして、エリアスが聲を発した。
「この、癡れ者が‼ レイシス、貴様はこの國の王子であり、言には責任が伴うと以前から教えていたはずだ‼ それがなんだ、同盟國の貴族の息子であり、妹の婚姻候補者に向かいなんたる口の訊き方か‼ 恥を知れ‼」
その怒號は恐らく本丸殿の中に響いたと思うほどの大きさである。
僕が冷靜に人払いした意味は?
と、思ってしまったがここはり行きを見守ることにした。
「……」
それでも、レイシスは沈黙をしている。
彼の何がそこまで沈黙を守らせるのか?
だが、その態度は先ほど同様にさらにエリアスの怒りを買った。
「そうか、口もきけぬと申すのだな……ならば、その首はいらんと見える‼」
エリアスはそう言うと、彼が座っていた後ろに飾ってある「刀」らしき、というか刀を手に取った。
そして、勢いそのままに刀を抜いて刃先をレイシスの俯いた顔先にゆっくり向けた。
すると、レイシスようやく顔を上げて口を開いた。
「……申し訳ありません。リッド殿が言いましたこと、すべて事実でございます」
「ようやく、口を開いたか。では何故そのような世迷言を申した‼」
王妃のリーゼルは顔を隠し嗚咽をらしている。
レイシスは刀の刃先を顔の前にもって來られているが、エリアスの目を見據えて話し始めた。
「父上、ファラはまだ6歳でございます。そのようなき子供を婚姻させるべきではありません。それにさせるにしても、マグノリアの皇族とさせるべきです。それこそがレナルーテの未來と妹が幸せになる道なのです……‼」
レイシスの言った言葉は恐らくノリスが刷り込んだことだろう。
ひょっとすると、レイシスの格からこうなることまで見越していたのでは?
と、思うほどレイシスはノリスに心酔していたのだろう。
おそらく、今の言葉でエリアスも気付いた様子だ。
だが、王としての立場がレイシスを許すわけにはいかない。
「この、癡れ者が‼ 貴様はその言葉の意味を真に理解して言っているのか‼ 王族とは人ではない‼ 國を回す歯車になるべき存在だ‼ それが王族に生まれた者の務めだ‼ 貴様は妹の為といっているが、皇族との婚姻が本當に妹の為になるとおもっているのか⁉」
「皇族はマグノリアで最高位の位でございます。王であればその位を頂くべきでございます」
エリアスの迫力に負けず、レイシスははっきりと言葉を紡いだ。
しかし、その言葉を聞いたエリアスは、首を橫に振ってから吐き捨てた。
「淺はかだ‼ 貴様は何も自分で考えておらん‼ マグノリア帝國はわが國より國土が大きく、國として強かだ‼ そこに妹を送るだと? 貴様は妹が可哀想だといいながら、権力の為に、レナルーテ以上の伏魔殿、歯車とならねばならない世界に妹を送り込もうとしているのだぞ‼」
「そ、そんな……噓です、マグノリア帝國の皇族に嫁ぐことこそ、妹の幸せに繋がるはずだと……」
「貴様は自分で何も考えておらん‼ その証拠に我が言葉に返せる、言葉を持っておらぬではないか‼ どこぞの、け売り言葉などは王子が使うべき言葉ではない‼」
「……」
レイシスはエリアスに指摘されたことで自分が妹のためと言いつつ、結果は権力に繋がっている矛盾に気付いたのだろう。
その瞬間、レイシスは泣き始め、自分の愚かさを真に自覚した。
そして、エリアスの刀を避けながら僕に姿勢を向けると、畳に頭を付けながら謝罪の言葉を並べた。
土下座である。
「リッド殿、大変申し訳ありませんでした。私が、私が淺はかでありました。他人の言葉に踴らされ貴殿に言ってはならない言葉を浴びせました。本當に申し訳ございません‼」
僕はあまりの修羅場に呆気に取られていたが、レイシスの謝罪の言葉で一瞬だけ我に返った。
「いや、そこまでしなくても……」
僕の前で土下座しているレイシスに優しく聲をかけようとするが、王にさえぎられた。
「レイシス、これはもはや貴様が謝ってすむ問題ではない、わかっているな?」
「はい、承知しております……」
僕の言葉を聞かずに話を進める二人に、僕はまた呆気に取られた。
何をするつもりだろうか?
そう思って怪訝な目でレイシスを見る。
すると、僕に対して彼は優しく言った。
「リッド殿であれば、妹をきっと幸せにして頂けると思います。どうか、妹をよろしくお願いいたします……‼」
「……へ? は、はい」
いきなりの優しいレイシスでびっくりしながら僕は返事をした。
すると、彼は微笑み、その場で正座をして姿勢を正した。
そして目を瞑り、何やら覚悟の雰囲気が流れている。
「……父上、ご迷をおかけしました」
「癡れ者が……‼」
エリアスはレイシスの橫に立ち、刀を上段に構えている。
やばい、これはあれだ。
時代劇で見る切腹的なやつだ。
僕が咄嗟に聲を出そうとすると、先に王妃のリーゼルがエリアスの足にしがみついた。
「エリアス陛下‼ レイシスはまだ子供でございます‼ 間違いを起こして當然でございます‼ どうか、どうかご慈悲をお願い致します……‼」
リーゼル王妃は言葉を並べながら、レイシスを守る様に彼らの間にり土下座をして、エリアスを必死に止めようとしている。
レイシスはその母親の姿をみて、涙を流して嗚咽をらす。
そして震える聲で、リーゼルに言った。
「母上、良いのです。私はそれだけのことを致しました。その罰はけねばなりません」
「レイシス……」
覚悟を決めたレイシスは母であるリーゼルを抱きしめる。
そして、お互いに涙を流して今生の別れというべき雰囲気となっていた。
その後、レイシスはエリアスを見據え、言った。
「父上、最期のお願いがございます」
「……なんだ」
「母上のことをよろしくお願いいたします。エルティア様と同様に大切するように、心からお願致します……」
レイシスの言葉を聞いたリーゼルは驚愕を隠せず、また嗚咽をこぼして泣き始めた。
エリアスはすべてを理解した。
そして、忌々し気に「……あの老獪め」と小さく呟くと、レイシスに向かって言った。
「リーゼルもエルティアも大切な妻だ。一度たりともどちらかに傾斜したことはない。レイシス、貴様は……踴らされたのだ」
レイシスもエリアスの言葉で察したのだろう。
だがその顔は死を覚悟しているせいか、涼しいもので、エリアスの言葉にも優しく返事をした。
「さようでございましたか。ですが、そうだったとしても、私のしたことが帳消しになることはありません」
「その意気やよし。では、いくぞ……‼」
エリアスは刀を振り上げ集中し始める。
レイシスは覚悟を決め姿勢を正している。
リーゼルは嗚咽をらしてしゃがみ込み泣いている。
いま、まさにレイシスに斷罪の時が訪れようとしていた……‼
その時、修羅場の雰囲気に飲まれていた僕はハッとした。
違うこれは僕が思っていた狀況と違う‼
咄嗟に大聲でんだ。
「エリアス陛下、お待ちください‼ 僕はレイシス王子にそのような処罰は求めておりません‼」
僕の言葉にエリアス、レイシス、リーゼルのきが止まった。
この場を収拾するためにどうすべき考えながら急いで言葉を紡いだ。
「そ、そもそも、僕がレイシス様にあのような試合をしたのは悔い改めてもらう為であり、決してこのような斷罪を求めていたわけではありません‼ それに、レイシス王子はファラ王の兄上です。つまり、ご縁を頂いた折には我が兄となるお方です。そのような方をこんなことで失いたくはありません‼」
僕の言葉を聞いて、三人とも雰囲気がし変わった。僕はさらに言葉を続けた。
「それに、レイシス様とのやりとりは私とこの場にいる皆様しか知りません。だからこそ、父上にも席を外して頂いたのです」
僕の言葉を聞いたエリアスの表にし迷いが見て取れる。
僕はさらに畳みかける。
「そ、そうです。今回の件を不問とする條件として何點かお願いがございます。それを聞いてからレイシス様の罰を決めて良いのではないでしょうか? 僕としては將來の兄となる方の命より、これからの繋がりを大切にしたいのです」
エリアスは僕の言葉を聞きニヤリと笑みを浮かべる。
そして、刀を鞘に納めて最初に居た場所に戻り、椅子に腰をおろすと言った。
「よかろう。條件とやらを申してみよ」
良かった、恐らくエリアスも落としどころを探していたのだろう。
というか、ひょっとして僕が言い出すのを待っていたのかな? まさかね。
僕はし思案してから、條件を言った。
①ファラ王との婚姻を認めてしい
②商流の後ろ盾
③レイシスの罪を不問
とりあえず、いま思いつくのはこんなものだった。
実際、現時點でレナルーテに求めることなんてない。
ただ、現狀の問題解決の案としては良いだろう。
僕の條件を聞いた、エリアスは怪訝な顔した。
殘りの二人は驚愕していたじだ。
特に③を言った時にリーゼル王妃が泣いていたのが印象的だった。
するとエリアスが僕を見て言った。
「……商流と言うのは、バルディア領で有名になっている、クリスティ商會のことだな?」
「はい。その通りです。商流はお互いの発展に必ず繋がります。ですが、レナルーテでは新參の商會に厳しい部分があると伺ったので、エリアス陛下に後ろ盾になって頂きたいのです」
エリアスは「ふむ」と頷くと僕に鋭い眼を向けて言った。
「わかった。商流の件は任せてもらおう。今度、商會の代表を連れてきなさい」
「ありがとうございます‼」
僕は一禮をしてお禮をいった。
そして、次の質問がエリアスから投げかけられる。
「レイシスの罪を不問というのはどういう意図かな?」
「意図などありません。ただ、自分の兄弟になるかも知れない方を失いたくないだけです。それに、レイシス様は悪い影響をけただけです。先ほどの皆様のやりとりをみればレイシス様が聡明であることは明らかです」
これは本心だ。
レイシスはゲームの攻略対象なのでそもそも失うわけにはいかない。
でも、彼自優秀であることは確かだと思う。
思い込みに囚われなければ。
「ふむ。レイシス、貴様はどう思う」
レイシスは先ほどのやりとりで僕に土下座してからは、畳の上でずっと正座している。
すると、姿勢はそのままにをエリアスに向けるとレイシスはおもむろに言った。
「……はい。このような過ちを犯した私に、このような恩赦を與えて頂き、服致しました。私は剣だけでなく思慮深さ、そして人としての大きさもリッド様には敵いません。もし、機會を頂けるのであれば、一からやり直したい所存です」
エリアスはレイシスの言った発言の容や言い方などに、今までとは違う目つき。
言うなら父上に近い目をしてレイシスを見て言った。
「ようやく、憑きが落ちたようだな。今のお前であれば、もう大丈夫だろう」
「……父上」
「よし。リッド殿たっての願いでもある。この件は不問と致す。だが口外は當然止だ。よいな?」
僕を含めたエリアス以外の三人はその言葉を聞いて、一禮して意志表示をした。
「うむ。では、娘との婚姻の件だが、リッド殿はこの條件で良いのか?」
「はい。エリアス陛下、リーゼル王妃、レイシス様に認めてもらえれば、今回の婚姻は決まったも同然と思っております」
僕の言葉を聞いても、何か釈然としない様子のエリアス陛下に僕はある言葉を言うことにした。
「エリアス陛下、お耳をよろしいでしょうか?」
「うん? よかろう、くるしゅうない、近う寄れ」
僕はエリアス陛下に近づき、耳元である言葉を言った。
すると、エリアス陛下の目が丸くなり、厳格な表が崩れ大笑いを始めた。
その様子を見ていたレイシスとリーゼル王妃は呆気に取られていた。
エリアスは笑いが落ち著いてくると言った。
「クックク、そうか、そうであったか。それであればそうだろうな。よし、娘との婚姻を認めよう。だが、今すぐ発表はできん。これも、この場にいる者だけの話とする」
エリアスの言葉に一禮で意思表示をするが、僕は父上にだけは伝えたいと話して了承をもらった。
これで、前試合は終わった。
僕はそう思っていた。
だが、僕たちの話が終わって外に出ると、ファラ王と護衛のが待ち構えていた。
そして、僕とエリアス陛下の二人に向けてファラ王は言った。
「リッド様、どうか私の護衛である「アスナ・ランマーク」と一試合して頂けないでしょうか⁉」
「へ……?」
レナルーテでの前試合はまだ終わっていなかったらしい。
最後まで読んでいただきましてありがとうございます!
もし、しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、
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評価ポイントはモチベーションに直結しております!
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これからもどうぞよろしくお願いします。
【10萬PV!】磁界の女王はキョンシーへ撲滅を告げる
世は大キョンシー時代。 キョンシー用の良質な死體を生産するための素體生産地域の一つ、シカバネ町。人類最強である清金京香はこの町でキョンシー犯罪を専門に扱うプロフェッショナルが集うキョンシー犯罪対策局に所屬し、日夜、相棒のキョンシーである霊幻と異次元の戦いを繰り広げていた。 そんなある時、雙子の姉妹の野良キョンシー、ホムラとココミがシカバネ町に潛伏した。 二體のキョンシーの出現により、京香は過去と向き合う事を余儀なくされていく。 ざっくりとした世界観説明 ① 死體をキョンシーとして蘇らせる技術が発明されています。 ② 稀にキョンシーは超能力(PSI)を発現して、火や水や電気や風を操ります。 ③ 労働力としてキョンシーが世界に普及しています。 ④ キョンシー用の素體を生産する地域が世界各地にあります。 ⑤ 素體生産地域では、住民達を誘拐したり、脳や內臓を抜き去ったりする密猟者がいつも現れます。 ⑥ そんなキョンシーに関わる犯罪を取り締まる仕事をしているのが主人公達です。 ※第一部『シカバネ町の最狂バディ』完結済みです。 ※第二部『ウェザークラフター』完結済みです。 ※第三部『泥中の花』完結済みです。 ※第四部『ボーン・オブ・ライトニング』完結済みです。 ※第五部『ブルースプリングはもう二度と』完結済みです。 ※第六部『アイアンシスターを血に染めて』開始しました! ※エブリスタ、ノベルアップ+、カクヨムでも同作品を投稿しています。 試験的にタイトルを変更中(舊タイトル:札憑きサイキック!)
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