《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》リッドの多難(2)

「兄上、す、しお待ちください」

「うん? わかった。ここで待っているからって良くなったら教えてくれ」

僕は今、レナルーテに來て最大の危機を迎えている。

ファラ達に城下町に出る為の相談をしたら、何故かファラの護衛としてメイドに変裝することになってしまった。

そして、メイド服に著替えたところ、なんとレイシスが來てしまったのだ。

「……リッド様、私の後ろに隠れていてください」

「わ、わかった」

ディアナは僕を隠す様に立ってくれた。

ファラはアスナと目配せをすると頷いてから咳払いをして、襖の向こうにいるレイシスに返事をした。

「ゴホン、兄上どうぞおりください」

「急にすまない。失禮する」

レイシスはファラの言葉に返事をすると、スーッと襖を開けた。

そして、部屋を見渡すと怪訝な顔をして言った。

「おや、リッド殿がいないようだが?」

「あ、あの、リッド様は先ほど帰られました……」

ファラはし落ち著かない様子で答えた。

その様子にレイシスの怪訝な表を崩さずに、ディアナを見ると言った。

Advertisement

「……ディアナ殿はリッド殿の護衛ではないのですか?」

「兄上、私が引き留めたのです。帝國の文化を伺いたくて、そしたら、リッド様は用事があるということで先に戻られました。ディアナさんにだけ殘ってもらったのです」

レイシスはファラの言葉に訝しんだ様子でディアナに尋ねた。

「ディアナ殿が殘られたということは、リッド殿はお一人で迎賓館に戻られたのですか?」

「いえ、リッド様は別の騎士ルーベンスが來て、迎賓館に先にお戻りになりました」

「そう……ですか」

ディアナの言葉を聞いて、レイシスは思案顔をしてから呟いた。

「……わかりました。リッド殿にはまた後日、ご挨拶するようにお伝え下さい」

「承知いたしました。リッド様に申し伝えます」

良かった、助かった。

僕はディアナの後ろに隠れて何とかなったと安堵した。

だが、レイシスは思いもよらぬことを言った。

「……ちなみに、先程からディアナ殿の後ろにいるメイドはどなたかな?」

「へ……? 兄上、そのようなメイドこの部屋にはどこにもおりませんよ?」

「……居ないも何も、そこの鏡に映っているではないか」

その言葉に僕は「しまった‼」と心の中でんでいた。

僕はレイシスの指摘で気付き、橫を見ると確かに鏡に僕が寫っていた。

レイシスの居る場所からは僕が丸見えである。

僕は、がっくりと項垂れた。

だが、ここでディアナが機転を利かした。

「……レイシス様、申し訳ありません。この子は『ティア』と申しまして、まだ侍の見習いになります。本來、このような場に連れて來る者ではないのですが、ファラ王と年齢も近いので、リッド様がお連れになったのです」

「……ふむ。マグノリアの侍見習いか。面白い、ティアといったか。私の前に來なさい」

な、なんということだ。

僕は侍見習いとしてこの場に來たことになって、何故かレイシスの前に呼ばれてしまった。

僕はおどおどしながらディアナを見ると、彼は「頑張れ‼」と言っている気がする。

こうなればヤケだと僕は覚悟を決めて、レイシスの前にもじもじと恥じらいながら進んだ。

僕はバレないかドキドキしながら、レイシスを見上げた。

すると、レイシスの顔が赤くなっているような気がした。

その時、ディアナが後ろから僕に聲をかけてきた。

「ティア、レイシス王子にご挨拶をなさい。やり方は教えたはずです」

「へ……?」

そんなこと教えてもらったことがない。

すると、ディアナは僕の橫に來ると挨拶、カーテシーをレイシスに行ってから言った。

「ティア、私のようにしなさい」

「は、はい」

僕はもうどうにでもなれと、ディアナの挨拶を見様見真似で行った。

すると、慣れてないきのせいかよろめいてレイシスに向かって倒れ込んでしまった。

「あ‼」

「……‼ だ、大丈夫か?」

「申し訳ありません、大丈夫……です」

レイシスは倒れそうになった僕をサッとけ止めてくれた。

自分なりに聲をし変えていたが、ばれないかドキドキである。

一方のレイシスはし恥じらうような顔をしている気がする。

どうしたのだろう。

すると、ディアナが僕に向かって言った。

「ティア‼ 何をしているのですか⁉ レイシス王子、申し訳ありません」

ディアナは僕に注意すると、レイシスに向かい一禮をした。

僕も慌ててレイシスから離れると同様に一禮した。

その様子を見たレイシスが言った。

「い、いや。私も、その、すまなかったな」

レイシスはしおどおどしながら、よくわからないけど僕達に何故か謝った。

すると、後ろからファラの聲が聞こえた。

「兄上、そろそろ、よろしいのではないでしょうか? 私達だけでしか出來ないお話もありますので……」

「あ、ああ、そうか。それはすまない。では、ディアナ殿、ティア、失禮する」

そういうとレイシスは部屋から退室した。

そして、足跡が聞こえなくなると僕はその場でへたり込み大きなため息を吐いた。

「はぁー……びっくりしたぁ……まさか、レイシス王子が急に來られるとは思いませんでした」

「……兄上もリッド様を心配されていましたから、気になっていたのだと思います」

そうか、そういえば僕が気絶した場にはレイシスもいたのだ。

今度、改めて挨拶をしたほうが良いかもしれないな。

しかし、途中からレイシスの反応がおかしかった気がする。

そう思っていると、今までずっと黙って様子を見ていたアスナがため息を吐いて言った。

「リッド様は、レイシス王子をどこまでも振り回すお方ですね……」

「へ……?」

僕はアスナの言った意味がわからず呆気にとられた。

すると、ファラが空気を変えるように、咳払いをした。

「ゴホン。兄上の訪問でし驚きましたが、城下町に行きたいと思います。リッド様、良いでしょうか?」

「はい。私が行きたいと最初に言いましたので、是非お願い致します」

「わかりました。では、私とアスナもすぐに準備を致しますので、しお待ちください」

ファラはそういうと、部屋の奧にっていった。

しすると、ファラとアスナは和洋折衷の袴を著てきた。

ファラはし恥じらった様子で僕を見ると言った。

「……どうでしょうか? 初めて著るのですが、似合っているでしょうか?」

「……はい。とてもお綺麗です」

ファラは言葉通りとても可くて綺麗だった。

僕の言葉にファラは顔を赤らめながら、耳を上下にかして喜んでいる様子だった。

アスナも綺麗だが、相変わらず腰には刀を帯刀しており、剣士と言ったじである。

「ゴホン……では、參りましょう」

咳払いした、ファラの一言で準備の整った僕たちは本丸殿を出て城下町に向かうのであった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!

もし、しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。

評価ポイントはモチベーションに直結しております!

頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張る所存です。

これからもどうぞよろしくお願いします。

    人が読んでいる<やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください