《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》新たな出會い

「ディアナ殿、是非今度、手合わせ願いたい‼」

「……アスナ殿、申し訳ありませんが謹んでお斷り致します」

「アスナ、ディアナ様が困っていますから……」

僕達はまだドワーフ姉弟のお店にいる。

先ほどの店に來た三人組の下卑た男達はディアナが吹っ飛ばした……ではなく、追い払った。

戦いぶりにしたアスナが手合わせを申し込み、ディアナが斷って、ファラが止める。

そのような構図が、先ほどからずっと繰り返されていた。

僕はその様子を呆れて見ていたが、そこにエレンが話しかけてきた。

「ティア様……だっけ? 君のメイドのお姉さんすごいね。あんなやつらでも、腕が良くて僕達は結構怖かったのに、あんなに簡単に倒しちゃうなんてさ」

「ディアナは普通のメイド兼護衛……だと思う」

ディアナは暗も使えるらしいが、黙っておこう。

それよりも、エレン達の今後が気になった。

「エレン、彼らはどうして君を連れて行こうとしたのだろうね? 返済期日はまだあるんでしょ?」

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「……そういえば、そうだね。以前も來たことあるけど、あんなことを言われたのは初めてだよ」

僕はあのモヒカン男が言っていた言葉を思い出していた「マレインの旦那が急いでいる」と言っていたはずだ。

アスナの言う様にノリスと繋がりがあったなら、ひょっとすると立場が危うくなっているのかな?

どちらにしても、エレンとアレックスをバルディアに連れていくために避けては通れない道だ。

僕は小さく頷くとエレンに向かって力強く言った。

「エレン、僕達をマレインの屋敷に案してくれないかな? 君たちの借金を返さないといけないしね」

「……うん。じゃあ、僕が案するね。アレックスは片付けと留守番お願いね」

は僕に返事をするとアレックスに向かって言った。

「わかった。姉さん、気を付けて」

僕はまだ繰り返しループしていた三人に聲をかけて、僕達は新たな目的地のマレインの屋敷に向かった。

マレインの屋敷はエレン達の店からちょうど反対方向にあり一旦、町を経由する必要があった。

僕達はもと來た道を戻る流れでいま、町まで戻って來た。

「ファラ、大丈夫? ごめんね。沢山、歩かせてしまって……」

「大丈夫です、リ……じゃなくてティア。これぐらいは何ともありませんから」

ファラはし耳を上下にかしながら返事をしてくれた。

その様子に僕が安心したときだった。

前方で騒ぎが起きているようで大聲が聞こえてくる。

なんだろうと思ったその時、騒ぎの一団の中から小さな黒い影が飛び出して一目散に僕に向かってきた。

そのきを察知したディアナは僕の前に出て、その影を捉えようとした。

だが、なんとその影は彼きを見切って、そのまま僕のスカートの中にった。

「なっ‼」そのきに僕とディアナは驚愕の表をした。

すると、影のき追ってきた男達は僕達の前にやってきた。

彼らは人族で服裝もレナルーテとは違うものだ。

彼らは僕のスカートの中に影がったのを見ていたようで高圧的に言ってきた。

「嬢ちゃん、そいつはここら辺では有名なマレイン様のペットなんだ。早く返してくれねぇか?」

男達は僕に近づくといきなりスカートをめくり上げようとした。

それを見たディアナは容赦なく、その男の顔に拳を叩きこんだ。

「ぐぼぁあああ‼」

スカートをめくり上げようとした男は毆られた衝撃で吹っ飛んだ。

そして、道の真ん中で気絶した様子だ。

そんな、彼らにディアナは軽蔑の目を向けて言い放った。

「……いきなりのスカートをめくり上げようとするとは何事ですか?」

僕は心、ではないけど。と思いつつも同意した。

いくら何でも初対面の相手にやることが無禮すぎる。

その時、隣にいるファラから黒いオーラをじた。

これは、僕が何度も経験しているものと瞬時に悟った。

恐る恐る隣にいるファラを見ると、頬を膨らませ可い顔をしながら怒っていた。

ファラは黒いオーラを出しながら、アスナに指示をした。

「アスナ‼ あの無禮者たちを敗致しなさい‼」

「承知致しました‼」

その時、僕は急いでアスナに言った。

「殺しちゃダメだよ‼」

「ティア。私も行って參ります」

「へ……?」

僕はアスナに言ったつもりだったのだが、ディアナはアスナの後を追いかけて男達に向かって行った。

男達も気絶した仲間に目がいっていたが、アスナとディアナのきに気付くと怒號をあげた。

「……‼ なめんじゃねえぞぉお‼」

彼らは飛び込んでくる二人を返り討ちにしようと迎え撃った。

そして、數分後……

「ご、ごめんなひゃい……ゆるひて、くらはい」

「はい? 何を言っているのか聞こえませんね?」

許しを請う、男の聲にディアナは止めの拳を彼の顔にぶち込んだ。

同時にその場に、鈍い音が響く。

その後、彼はしゃべらなくなった。

僕は首を橫に振りながら呆れた様子で言った。

「やり過ぎだよ。殺しちゃダメだって……」

「ティア様、大丈夫です。息をしておりますから、死んでおりません」

ディアナはニコリと笑顔で言うが目が笑っていなかった。

その時、別の男の悲鳴が聞こえてきた。

「も、もう勘弁してれぇええええ‼」

「……この程度で音を上げるとはけない‼ 貴様らはそれでも男か‼」

アスナはびながら男の服だけを刀でひたすら切り裂いている。

僕が父上にけた膽力訓練と似ているかもしれない。

気付くと男達はアスナに服だけを斬られてパンツ一枚だけになると、その場でへたり込んで気絶してしまった。

アスナはその姿をみると、刀を鞘にしまい吐き捨てるように言った。

「ふん、三下が……」

「アスナ、さすがです‼」

アスナの活躍にファラは喜んでいる様子だった。

アスナとディアナの活躍を見ていたエレンは、青ざめた顔で僕をゆっくり見ると言った。

「……君たちは何者なの?」

「ごめん。それはまだかな」

さすがにメイド服を著た狀態で、エレンに正を明かしたくはなかった僕はごまかした。

男達が全員気絶すると、様子を見ていた町の人達が喜んだ様子で話しかけてきた。

「あんた達、やるねぇ‼ あいつら倒してくれてせいせいしたよ‼」

「そうだぜ。あいつらはことあるごとにマレインの名前を出してくるんだ、いい気味だ‼」

どうやら、マレインとその仲間達はこの町では嫌われているらしく、僕達の行は好意的に見ていてくれたらしい。

ファラはあまり褒められたことがないのか、恥ずかしさで赤面している様子だった。

その時、僕は騒の原因となった存在がまだスカートの中にいたことを思い出した。

そっとその場からくと、スカートの中から二つの影が出てきた。

現れた姿に皆の注目が集まると、僕とディアナ以外の全員が目を丸くして驚いていた。

その様子に二つの存在も驚いたのか、片方が上目遣いをしながら「ンン~……」と可い聲で鳴いた。

もう片方は靜かにしておりく気配は無い。

ちなみに僕がその姿を見て最初に思ったのは、黒貓とスライムだった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!

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