《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》報集約
「……クリス様、どうしてこちらに?」
「私は、この先にある鍛冶屋のジェミニ販売店に興味がありまして、今向かっているとこなんです」
ディアナの言葉にクリスは軽く返事をした。
しかも、この先にあるジェミニ販売店に向かっているという。
なんという偶然だろうか。僕はディアナの後ろに隠れながらクリスにバレないように必死だ。
その時、エレンがクリスの言葉に嬉しそうに反応した。
「僕達のお店に興味持ってくれたのですか⁉ ありがとうございます‼」
「あら? あなたはジェミニ販売店の方ですか?」
彼の言葉に、クリスは意外そうな表で返事をすると、にこりと笑顔になり言葉を続けた。
「私もジェミニ販売店の方にお會い出來て嬉しいです。良ければ一度お話できないでしょうか? 実はある方がドワーフの技者に興味がありまして、エレンさんやアレックスさんにとっても悪い話にはならないと思うのです」
エレンは嬉しそうな顔をしたが、僕をチラっと見るとクリスに向かって小さく首を橫に振ってから申し訳なさそうに言った。
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「……ごめんなさい。実はバルディア家に所縁のある方から、先にお話を頂いておりまして、もうそちらに行くと決めたのです」
「そうでしたか、それは殘念です……って、バルディア家に所縁のある方ですか⁉ 差支えなければ所縁のある方の名前を伺ってもよいでしょうか? ひょっとして、ディアナさんですか?」
クリスは見事なノリ突っ込みをしながら、エレンとディアナに視線を送った。
ディアナはそれとなく視線を外しているが、エレンは彼の質問に対して普通に答えた。
「いえ、ディアナさんではなく、そちらの『ティア』様からです」
「へ……? 『ティア』様ですか……?」
クリスはバルディア家のほぼ全員と面識がある。
そして、バルディア家に『ティア』という名前の人がいないと知っている。
クリスの表は途端に訝しさと怪訝に満ちた表になった。
「……ディアナさん、『ティア』様ってどなたでしょうか……?」
「はぁ……まさか、こんなことになるなんて思いもしませんでした。『ティア』様、クリス様にご挨拶をお願い致します」
ディアナは諦めた様子でため息を吐くと、後ろに隠れていた僕をクリスの前に出した。
裏切り者めぇえ⁉
僕は諦め悪く俯きながらクリスの前に出た。こんな姿を知り合いには絶対見られたくなかったのに……
クリスは僕が俯いているせいで、すぐに誰かわからずキョトンとした表をした。
すると、しゃがみ込んで僕の顔を彼は覗いた。そして、表は驚きに変わっていく。
「へ⁉ なんでここにメルディ様が⁉ いやでも、髪が違うし……」
まさかの第一聲がメルと間違われた。
でも、確かに似ているし、僕が裝しているなんて思わなかったのだろう。
僕はがっくりと諦めた顔をして、呟いた。
「……メルじゃないよ。僕だよ、クリス」
「……⁉ あなた様は……‼ ゴホン。な、なんで、そんな恰好をしているのですか⁉」
彼は一言で僕の正がわかったらしい。
名前を出さないように咳払いをしてから、彼は驚愕した顔をしながら小聲で僕に尋ねた。
「はぁ…… 実は、城下町にどうしても出たいと相談したら変裝に丁度いいメイド服があるからって言われてその流れでね……」
「……よくわかりませんが、大変そうですね。でも、仰って頂ければ私の商會の従業員としても変裝は出來たと思いますよ……」
「……⁉ 言われてみればそうだね。次からはそうするよ……」
彼の一言に僕はさらにがっくりした。
何故、気付かなかったのか。
城下町に出て探索することだけは、最初にクリスに相談すれば良かったのだ。
その後、ファラとは別に城下町に行こうとえばこんな格好にならずに済んだはずだ。
でも、これも後々はきっと、良い思い出になるはずだ。
僕はそう思うことにした。
クリスとひそひそ話をしていると、後ろから心配そうなファラの聲が聞こえてきた。
「……ティア様、そちらの方はどなた様でしょうか?」
「あ、ごめん。紹介するね。こちらはバルディア領でお世話になっている、クリスティ商會の代表のクリスだよ」
僕はファラに會話の流れのままにクリスを紹介した。
クリスはしゃがんだ狀態からスッと立ち上がると、ファラに向かって丁寧に挨拶をした。
「ご挨拶が遅くなり申しわけありませんでした。私はバルディア領でクリスティ商會の代表をしております。クリスティ・サフロンと申します。以後、お見知りおきを頂ければ幸いです」
「あ‼ あなたがクリスさんですね。私はファラ・レナルーテと申します」
「私はファラ・レナルーテ様の専屬護衛をしているアスナ・ランマークと申します」
クリスはファラとアスナの挨拶を聞いて固まった。
そして、ゆっくり僕に視線を送って來た。
その目線に僕は乾いた笑みを浮かべて返した。
クリスは々察してくれたようで、額に手を當てながら「はぁ……」とため息を吐いてから、僕に質問を投げかけた。
「それで、皆様は結局こちらで何をされているのですか?」
「あ、実はね……」
「……なるほど。マレイン・コンドロイですか」
「うん。彼のところに行って、エレン達の借金を返さないと後からトラブルにもなりそうだからね」
僕はクリスに狀況を簡単に説明した。
彼は僕の話を興味深そうに聞き終えると、し険しい顔をしてから返事をしてきた。
「実は私もマレインの件で、リ……じゃない。ティア様に相談したいことがあったのです」
「へ? クリスも?」
その後、彼からマレインがトップにいる協會の圧力によって商流が滯って、トラブルが多発していること。
他にも彼の存在により、取引が難しいと何件か斷られたという。
だが、今日になってマレインによる圧力が急にし弱まったらしい。
「実は、エレンさんのジェミニ販売店もすぐに行こうと思ったのですが、レナルーテの商會の方達から止められまして。あそこはマレインが目を付けているからやめたほうが良いと言われたのです。そこで、報を集めてから向かうことにしたのです」
「……そっか。マレインはやっぱり何とかしないといけないね」
クリスの説明を聞くと僕は魔の2匹にも視線を送って呟いた。
「彼らのこともあるしね……」
僕はマレイン・コンドロイをどうすべきか、思案するのだった。
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