《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》お目付け役

「リッド、お前はしやり過ぎている自覚はあるか?」

「……と申しますと?」

何となくわかる気がするが僕は怪訝な表をしながらあえて聞いた。

その時、ディアナはし目を丸くしながら僕を見た。

父上はため息を吐きながら首を橫に振った。

「はぁ……そういう所だ。リッド、お前がいまレナルーテの華族達の間で何と言われているか知っているか?」

「いえ、存じ上げません……」

眉を「ピクリ」とさせた父上は、笑みを浮かべて「フフフ……」と不気味に笑っている。

「教えてやろう。辺境の神から始まって、麒麟児、有株、常識外れ、天才、逸材、等々と様々だ」

「……それは、何とも過大評価を頂いている様子ですね」

聞かされた言葉の羅列に僕は顔を引きつかせながら返事をした。

ファラと顔合わせの時に行った、弁論、武、魔法の披が原因であることは容易に想像がついた。

父上はそんな僕を見ながら不敵な笑みを浮かべている。

「挙句の果てにこれだ……」

言い終えると父上は機の上に置いてあった封筒を手に取った。

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呆れた様子で封筒を自の顔の橫でちらつかせてから、僕の前に無造作に置いた。

怪訝な表をしながら僕はその封筒を手に取った。

「その封筒の中は將來的に、お前の側室になりたいと裏に屆いた書類だ」

「へ……? ええぇえええ⁉ 僕はまだ子供ですよ? それにファラ王との婚姻の件でこの國にきたのですよ‼ それなのに側室としての縁談とは厚顔無恥が過ぎますよ⁉」

衝撃的な言葉に僕は驚愕して手に取った封筒をその場に落とすと、勢いよく立ち上がった。

何を考えているのか?

仮にも自國の王と婚姻するかもしれない相手の側室になりたいなど、バルディア家を無節とでも思っているのか?

現時點では失禮にも程がある。

「はぁ……この封筒を送って來た華族共はザック殿曰く『ノリス』一派の連中らしい。彼らは今回の一件でエリアス陛下とザック殿から睨まれているからな。なりふり構わずという所だろう……相手の怒りを買うとも気付かない程にな……」

珍しく、父上の表と話す言葉の中に怒気が含まれているのがすぐに分かった。

しかし、彼の失腳による余波がまた來るとは思わず、僕は怪訝な表になりながら父上に質問した。

「……では、縁談の件はどうされるおつもりですか?」

「すべて斷るにきまっているだろう。ザック殿にも相談してある。然るべき対処をしてくれるそうだ」

僕は父上の言葉に安堵する表を見せながら、ソファーに座った。

父上は僕が座ると同時に険しい顔をしながら言った。

「だがなリッド、これはお前がやり過ぎたせいでもあるのだぞ?」

「やり過ぎたせいですか……?」

僕はきょとんとした表をしながら返事をすると、父上はそのまま言葉を続けた。

「そうだ、お前が弁論、武、魔法とその才能を多くの者に見せ過ぎたのだ。特にノリスを前に見せた魔法。あれはやり過ぎた。エリアス陛下が緘口令を出したが、あの魔法を手にしたいと思う者は多いはずだ。恐らく、カペラが狙っている報の一つだろう」

父上の言葉に僕はサンドラに言われたことを思い出して反省していた。

「魔法の仕組みは門外不出」だと言われていたのに、軽率にも人前で使ってしまった。

それにより、僕の注目度はさらに上がり縁談やらカペラが送り込まれたということだろう。

「……その顔、しは自分がやり過ぎたことを理解してくれたようだな」

「はい……申し訳ありませんでした」

僕が反省した様子を見て父上は安堵したような表を浮かべた。

そして、ディアナに目線を移して言った。

「ディアナ、今の話で大わかったと思うが、リッドは加減を知らずにやり過ぎる所がある。お前は今後、諫める立場でリッドを支えてしい。その為なら多の発言は不問にする。やってくれるな?」

ディアナは父上の言葉を聞くと丁寧に返事をした。

「承知致しました。ライナー様の信頼にお応え出來るよう、リッド様を誠心誠意お支え致します」

言い終えると彼は父上と僕に向かって一禮した。

その様子を見た父上は頷いてから、彼の顔を上げさせた。

「うむ、よろしく頼む」

ディアナは父上に頷くと、僕の前に跪いた。

そして、先程のカペラ同様に従者としての忠誠を誓ってくれた。

「私はリッド様に命を賭してお仕えいたします」

僕はその様子にし驚いたが、すぐに微笑みながら返事をした

「改めてこれからよろしくね。ディアナ」

こうして、僕にカペラとディアナという二人の従者が一日で出來たのだった。

その様子を見ていた父上は咳払いをしてから、し険しい顔をした。

「ゴホン……さて、話はこれで以上だが別件で二人に聞きたいことがある」

「なんでしょうか?」

僕とディアナは顔を見合わせてから返事をした。

「……『バルディアに忠誠を誓う暴力メイド』と『生意気なチビメイド』とはお前たちのことだな……?」

「な、なんのことでしょうか……?」

平靜を裝いながらも、冷や汗をかいていた。

ちらっとディアナを見ると、彼にしては珍しくサーっとの気が引いて真っ青になっていた。

「マレインの屋敷付近で捕らえられた珍妙な三人組がしきりに、そいつらにボコボコにされたと言っていたそうだ。ザック殿が実に愉快そうに話していたぞ。さぁ、説明してもらおうか?」

「……承知致しました」

その後、僕とディアナは父上に事を再度、説明する羽目となり二人そろって大目玉を食らった。

ディアナは父上に、「今回は不問とするが次回から『お目付け役』としてちゃんと自重しろ‼」と言われてシュンとなっていた。

僕は「いくらファラ王の提案とはいえ、貴族の嫡男がメイドに変裝するとは何事か⁉ 自分の立場をもっと考えろ‼」と怒られ続けて、げっそりとなっていた。

でも、このことはファラには黙っておこうと思う僕だった。

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