《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》の伝道師と他國の中心でぶ騎士

「なぁ、ルーベンス。お前このままでいいのか?」

「なんだよ、ネルス。藪から棒に……」

ルーベンスは今、レナルーテの本丸殿前にいた。

他の騎士達數名と、主人であるライナー達が出てくるまで待機をしている狀態だ。

そんな中、ルーベンスの隣にいた騎士が気だるそうに話しかけてきた。

彼の名前は「ネルス」ルーベンスやディアナの馴染だ。

彼らと同じ茶の髪と青く細い目をしている細の騎士だ。

ネルスはルーベンスに話を続けた。

「……お前な、ディアナの事に決まっているだろう? リッド様が背中を押してようやく付き合い出したと思ったのに、お前ら全然進展していない気がするのだが? どうなのだ?」

「な⁉ こんな所で言うことじゃないだろ‼」

彼の言葉でルーベンスは顔を赤くしながら小さな聲で抗議した。

だが、その様子にネルスは呆れた顔をしながら言った。

「はぁ……そういう所だよ。大、この程度の冷やかしでそんな反応なんかしたら、何も進展してないと言っているのと変わらないぞ? お前とディアナを応援すると決めた、俺達の気持ちも考えろ。俺を含めてお前を見ている騎士は皆、合が悪くなりそうだ」

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周りにいる騎士達もネルスの言葉に聞き耳を立てているようで、靜かに頷いていた。

彼は畳みかけるように言葉を続けた。

「大な、騎士団所屬のの子なんてディアナしかいない。つまり紅一點だぞ? ディアナがお前を捨てるとは思わんが、ディアナを狙っている騎士は沢山いる。そんな騎士達がお前らを見守ったのは、ディアナがお前に対して一途だったからだ。わかるか?」

周りの騎士達はネルスの言葉に無言で頷いている。

その姿を見たルーベンスはバツの悪そうな表をしながら言った。

「それは……何となくじてはいたのだが、やっぱりそうだったのか……」

「鈍い‼ 鈍すぎる‼ 何故、お前は剣や戦いにおいてはとんでもなく鋭いのに、ディアナの事になるとこんなにも鈍なのだ⁉ この、鈍ヘタレ騎士め‼」

ネルスの言葉は辛辣だが、本気で言っているわけではない。

自分達を心配して言ってくれているとルーベンスは理解している。

だが、「鈍ヘタレ騎士」という言葉にはし憤りをじた。

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「……確かに、俺は沙汰が苦手だ。だからと言って、そんな言い方はないだろ?」

しは怒ったか? だがな、俺はもっと怒っているんだぜ、ルーベンス。俺とお前とディアナは昔からよく一緒に遊んだ仲だ。お前だけがディアナに好意を抱くわけじゃないんだぜ?」

「……な…に?」

彼の言葉の意味に気付いたルーベンスは揺した。

ルーベンスはいつもネルスにディアナの事を相談していた。

彼が彼に好意を抱いているなんて知らなかった。

気付いてもいなかった。

ネルスはそんなルーベンスを見かすように言った。

「だから、俺は怒っているんだよ。お前達、二人が付き合い始めたと聞いて「これで、諦められる」と思ったのに、お前たちは全然進展していない。このままだと、俺だけじゃない。ディアナを狙っている他の騎士も彼に対してき始めるぞ? それでもいいのか?」

「……良くない。絶対にディアナは渡さない‼」

ルーベンスはネルスに対して睨みを利かせながら、力強く言った。

彼は熱くなり過ぎているのか、馬鹿デカい聲でんでいることに気付いていない。

熱くなっているルーベンスをネルスはさらに挑発した。

「ふん。じゃあ、どれぐらい好きかこの場にいる、俺達に言えるのか? 鈍ヘタレ騎士様?」

彼の安い挑発に普段ならルーベンスは乗らないだろう。

だが、ネルスがディアナに対して好意を抱いているかもしれないという焦燥から、熱くなり過ぎているようだった。

目の前に佇むネルスと、無言でこの様子を見ている數名の騎士達を見回すとルーベンスは深呼吸をした。

「……ああ、言えるさ。俺は剣ぐらいしかない不用な男だ。だから、こんな風にしか言えない…… 俺はディアナが好きだ‼ 誰よりもしている‼ 俺はディアナがしい‼」

ルーベンスが言った後、その場に靜寂が訪れた。

だが、一つ訂正しておこう。

彼は「言った」のではない。

戦闘の最中でも聞こえるような、騎士団仕込みの馬鹿でかい怒號で力一杯んだのだ。

何も知らない人からすれば何事かと思うだろう。

彼の発言を目の前で聞いたネルスと數名の騎士は耳がキーンとするような覚を覚えていた。

その時、ネルスと數名の騎士はルーベンスの背後に現れた人に目を丸くした。

「……そんなにそのディアナという人が好きなのですか?」

「ああ‼ 俺はディアナを世界の誰よりもして……」

ルーベンスは背後からの質問に力一杯答えようとして言いながら振り返るが、途中で言葉を失った。

そこに居たのはディアナだった。

は咳払いをしてから再度、質問をした。

「コホン……もう一度はっきりとお願いします」

「……その、俺はディアナを……世界の誰よりもしてい……る」

先程の勢いは何処に行ったのか、ルーベンスは真っ赤になりながらディアナに気持ちを伝えた。

ディアナは聞き終えると、ルーベンスのの中に飛び込んだ。

「ルーベンス、ありがとう。でも、私もしてます……‼」

完全に二人の世界が出來上がった瞬間である。

挑発をしたネルスや見守っていた騎士達は、二人の世界のに當てられて全員が白い砂となり、崩れそうな勢いである。

そんな世界から、彼らを引き戻す存在がそこに現れた。

「馬鹿者‼ お前達、こんなところで白晝堂々何をしているのだ‼」

ルーベンスとディアナ他、砂になっていた騎士達は、聲と共に現れた人に驚愕した。

彼らは一瞬で直立不の姿勢になった。

そこに現れたのは、相を変えたライナーだった。

彼はルーベンスとディアナを睨むと、呆れが混じったような聲で怒鳴った。

「お前達はレナルーテの中樞の本丸殿の前で何をんでいるのだ‼ 屋敷中にお前達のやりとりが響いていたのだぞ‼ ルーベンス、ディアナ‼ お前たちはリッドからの命令があるだろう‼ さっさと行かんか、馬鹿者‼」

「は、はい‼ すぐに行って參ります‼」

ライナーの言葉に驚きながらもディアナとルーベンスの二人は、城下町に向かって嬉しそうに走っていった。

殘った騎士達に待っていたのはライナーの怒りだった。

「……さて、誰だ? ルーベンスの馬鹿を挑発した男は?」

無言の騎士達は皆、スッとネルスを指差した。

「な⁉ 皆も聞き耳立てながら楽しんでいたじゃないか⁉」

ネルスと周りの騎士達のやり取りにライナーの怒りは頂點に達した。

「この、馬鹿者共がぁ‼」

この日以降、レナルーテに二つの噂が流れるようになった。

一つ、バルディア騎士団には「他國の中心でぶ騎士」がいると國中の達の間で話題になった。

二つ、ライナー・バルディア辺境伯は「他國の中心でぶ騎士」を従える「の伝道師」である。

余談だが、この噂は消えることはなかった。

レナルーテ國では、有名な伝話として人々の間で語り継がれることになる。

結果、この噂を機にレナルーテの達の間では、バルディア騎士団の騎士と縁談をむ者が年々多くなったと後年伝えられている。

また、この逸話を元にレナルーテでは後年「の伝道師と他國の中心でぶ騎士」という舞臺が作られて大好評となった。

その舞臺はマグノリアの帝都でも公演されるほどの大人気ぶりになるのだが、それはまた別のお話……

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