《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》リッド、ファラの部屋に行く

「……急にお邪魔することになって、ごめんね」

「いえ、私もお話したいと思っておりましたので……」

表書院でお互いの気持ちを告白した経緯もあり、僕とファラの間には何とも言えない気恥ずかしい雰囲気が漂っていた。

今、僕がいる場所はファラの部屋だ。

先程までは父上と同じ部屋に居たが、今後のことについてファラと話したいと思った僕は、彼に連絡を取った。

部屋に訪ねても大丈夫だろうか?

という容だったが、了承の返事をもらえたのですぐにファラの部屋に僕は移した。

ディアナも部屋に行くまでは一緒だった。

部屋に到著した後に「ルーベンスと城下町に行ってきてね」と命令を下した。

僕と彼のやりとりを見ていた、ファラとアスナは意図がわからずに不思議そうな顔をしていた。

ディアナだけはし恥ずかしそうに顔を赤くして「……承知致しました」と言うと、僕達に一禮してルーベンスの元に向かった。

部屋に著いた僕は、ファラに促されるままに椅子に座った。

Advertisement

僕とファラは今、機を挾んで互いに顔を見ながら話している。

時折、ファラの耳が上下にしだけく様子に僕はどうしても顔が綻んでしまう。

ファラも僕の顔が綻んだタイミングで、し顔が赤くなっている気がした。

「……そういえば、ディアナさんはリッド様の護衛ではないのですか? 他の方と、城下町に行かれるように指示をされていたみたいですが……」

「あ、そっか。二人はディアナに人がいる事は知らなかったのだっけ?」

「え⁉ ディアナさんには人がおられるのですか⁉」

「う、うん。彼と同じ騎士団所屬で僕に剣を教えてくれている『ルーベンス』って騎士なのだけどね」

ファラは目をキラキラさせながら僕の話に食いついた。

の傍に居たアスナも眉をピクリとさせると僕に挙手をしてから話しかけてきた。

「失禮ながらリッド様、質問をよろしいでしょうか?」

「うん。どうしたの?」

「リッド様の剣指南役かつディアナ殿の思い人とは、恐らく剣の実力も素晴らしいのでしょうか?」

Advertisement

「え? た、多分強いと思うよ? 全力でいつも挑戦しているけど、まだ一度も勝てないからね……」

僕は「勝てない」という部分に関しては悔しさを滲ませながら言った。

彼は強い。

アスナも強かったけど、ルーベンスはそれ以上に強いと思う。

普段から彼との稽古をしていなければ、アスナに対してあそこまでの善戦は絶対に出來なかった。

僕の言葉にアスナは目を爛々とさせていた。

それにしても、世界が変わってもこの手の話は皆好きなのは変わらないらしい。

アスナの場合はし方向が違う気がするけど。

僕とアスナが話終えると、ファラが怪訝な表をしながら僕に質問を投げかけた。

「ですが、何故このタイミングでお二人に城下町に行くように『命令』を下したのですか? 普通に『お願い』で良かったのではないでしょうか?」

「あー……それはね」

僕はし躊躇したが、二人はバルディア領に來るからいずれ知ることになる。

短期間とはいえ、僕と同様に二人とディアナはよく接しているから大丈夫と思い、事の経緯を説明した。

二人が馴染であり最近、人になった話。

騎士団公認の仲であったが、関係が遅々として進展しなかったこと。

先程、ディアナがらした悩みまで全部話した。

……話し過ぎたかも知れない。

二人は最初、楽しそうに聞いていた。

だが、ルーベンスが人になっても煮え切らない態度をとっていることを知ると、アスナはし憤りをじているようだった。

「リッド様、よろしいでしょうか⁉」

「う、うん、何かな……?」

アスナは怒気を込めて機を叩くと僕に強い口調で言った。

僕の話ではないのだけど……

「ルーベンス殿のその態度は頂けません‼ 男子であれば、気持ちをはっきりと相手に告げるべきです‼ それともそれがバルディア騎士団流なのでしょうか⁉」

「……バルディア騎士団流の方法があるかは知らないけど、多分ルーベンスだけが特に沙汰が苦手じゃないのかな?」

バルディア騎士団流の方法ってなんだ?

アスナの勢いに押されて、自分で何を言っているのかよくわからなくなってきた。

熱くなっているアスナを諫めるようにファラが言った。

「アスナ、熱くなり過ぎですよ。リッド様もお困りになっているではありませんか。それになんて、その、人それぞれですから、あまり私達がどうこう言う必要はないと思います……」

ファラは彼に注意しながら途中でチラッと僕を見た気がした。

だが、熱くなったアスナは彼の言葉でも、冷めきらずに話を続けた。

「姫様の仰ることはわかりますが、やはりお互いの気持ちを伝えあうべきだと私は思います。表書院でのお二人の様子が特にそうではありませんか? ディアナ殿がリッド様に悩みを吐されたのも、お二人の様子に當てられたからだと思いますが?」

「なっ⁉」

の発言に僕とファラは二人そろって「ボン」と顔を真っ赤にしながら、顔を見合わせた。

と目が合うと表書院でのやりとりが頭の中で蘇り、気恥ずかしさで発しそうだ。

ファラも僕と同様に思い出しているようで、目が合った後は両手で顔を覆いながら耳を激しく上下させていた。

「お二人を見ているとやはり、お互いの気持ちはしっかり口に出して伝えあうべきと私は思います」

「……⁉ アスナ、いい加減に……」

熱くなり過ぎたアスナの発言にさすがにファラが怒気を纏いながら注意しようとしたその時だった。

「俺はディアナが好きだ‼ 誰よりもしている‼ 俺はディアナがしい‼」

本丸殿の外から中にまでハッキリと聞こえる怒號とも言うべき聲が轟いた。

突然の出來事で僕達三人は「ビクッ‼」とが強張り何事かと構えた。

僕はその「聲」にとても聞き覚えがあることに気付いた。

「まさか、ルーベンス……?」

「え? 今のすごい聲はリッド様の仰っていた方なのですか?」

僕の言った言葉にファラが呆気に取られた顔をしながら反応した。

「多分、間違いないと思うけど…… 何をしているのだろう、あの二人……」

「……ルーベンス殿はやれば出來る方で安心致しました。しかし、この國の中樞となる本丸殿の前であのような言葉をぶとは……さしずめ『他國の中心でぶ騎士』と言ったところでしょうか」

僕とファラは呆気に取られていたが、アスナは何故か納得したような表で言葉を紡いでいた。

その時、また怒號とも言うべき聲が外から轟いた。

「馬鹿者‼ お前達、こんなところで白晝堂々何をしているのだ‼」

突然の聲に僕達はまた「ビクッ‼」とが強張り何事かと構えたが、今度は全員聞き覚えのある父上の聲だった。

父上の怒號が聞こえなくなると、僕は額に手を當てながら俯いて思わず呟いた。

「うぅ……父上まで一緒になって何をしているのですか……⁉」

立て続けに起きた出來事にファラとアスナは顔を見合わせて苦笑いしていた。

ファラは笑みを浮かべると、いま起きた出來事で僕を茶化した。

「ふふ、それにしてもルーベンスさんが『他國の中心でぶ騎士』なら、その騎士をまとめるリッド様のお父上は『の伝道師』ですね。ご子息のリッド様は……『の申し子』でしょうか?」

「ふふ、姫様はうまいことを言われますね。屋敷にいる侍たちにもその呼び方を教えましょう」

二人は悪戯っぽく笑っていた。

その様子に、僕はファラの新たな一面が垣間見えて、し嬉しいような気がしていた。

でも、僕の父上を茶化すことは彼にとっても良くない。

咳払いをすると、僕は優しく諭すように言った。

「ゴホン……いくらファラでも父上をあんまり茶化しちゃダメだよ? 近い將來、君にとっての父上にもなるのだからね?」

「……‼ そ、そうでしたね。失禮致しました……」

僕の言葉を聞いた途端、ファラは顔を赤くしながら俯いて耳を上下させていた。

その姿を見て、僕は自分の言った言葉がし恥ずかしくなり、誤魔化すように話題を変えた。

「そ、そうだ。ファラのお母さんってどんな人なの? 確か名前はエルティア様だったよね?」

「……はい、私の母上はエルティア・リバートンです」

どうしたのだろうか?

ファラは先ほどまでとは打って変わり、表し暗くなった。

アスナもファラの様子に気付いたのだろう。

咳払いをしてからファラに優しく言った。

「ゴホン……姫様、差し出がましいようですが、リッド様にはお話ししておくべきです。どちらにしてもいずれわかることです。エルティア様との件は姫様から直接お伝えするべきと存じます」

「……そうですね。わかりました。アスナ、ありがとう」

アスナに謝意を述べると、ファラは表を凜とさせてから僕を見據えると言った。

「私と母上のことをリッド様に聞いて頂きたく存じます……‼」

「わかった。ファラの母上は僕のお義母様になるものね」

の真剣な表に応えるように、僕も彼の朱赤の瞳を見據えた。

ファラは深呼吸をすると、ゆっくりとしずつ母親のエルティア・リバートンについて教えてくれた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!

もし、しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。

評価ポイントはモチベーションに直結しております!

頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張る所存です。

これからもどうぞよろしくお願いします。

※注意書き

攜帯機種により!、?、‼、⁉、など一部の記號が絵文字表示されることがあるようです。

投稿時に絵文字は一切使用しておりません。

絵文字表記される方は「攜帯アプリ」などで自変換されている可能もあります。

気になる方は変換機能をOFFするなどご確認をお願い致します。

恐れりますが予めご了承下さい。

    人が読んでいる<やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください