《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》エルティア・リバートン

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「ようやく、一つの區切りがつきましたね……」

エルティアは一人、自室で椅子に座り誰に言うわけでもなく呟いていた。

その表は普段のような冷たく突き放すようなものではなく、穏やかで優しいものだった。

だが、彼の目には悲哀のようなものが宿っているようにもじられる。

その時、部屋の外にいた兵士からエリアスが調を心配して面會したいと、取次があった。

は表を凜とさせると、その兵士に普段通りの様子で返事をした。

「わかりました。陛下をお通し下さい」

兵士に彼が返事をすると、間もなく部屋の襖が開かれてエリアスが室してきた。

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彼の室にエルティアはその場で立ち上がり、綺麗な所作で一禮した。

その姿を見た、エリアスは心配をするように聲をかけた。

「……エルティア、挨拶などは良い。それよりも調は大丈夫なのか?」

「はい、陛下。ご心配には及びません…… 本當に優れないわけではありませんので」

エリアスは彼の返事に靜かに頷きながら話を続けた。

「そうか。それなら良い…… やはり、ファラのことか? お前には苦労をかけて、すまない」

「いえ、今日のことはファラが生まれた日から、わかっておりましたから……」

エルティアはエリアスの言葉に哀しみをじさせる聲で返事をしていた。

エルティア・リバートンは元々、エリアスがい頃より彼の影であり護衛だった。

ザック・リバートン直系の筋でもあった彼はその才覚からリバートン家の次期當主として、名前が挙がるほどの実力者だった。

に転機が訪れたのはエリアスからの告白だった。

い時より、傍にいたエルティアの事が好きだ。影ではなく、私の妻として傍に居てくれ」

影として生きてきたエルティアが初めて男に告白された瞬間だった。

その時、エルティアは不覚にも無意識に耳が上下にいてしまい、ひた隠していた気持ちをエリアスに知られてしまった。

も彼に好意を抱いていたのだ。

それは、いつからなのかは覚えていない。

彼が大人になり、気付いたら彼を一人の男として意識するようになっていた。

エルティアは次期リバートン家の當主候補であり、その気持ちは永遠に蓋をするはずだった。

エリアスは告白した時に、彼の気持ちを知ることになった。

彼はザックにエルティアを妻にすると直談判した。

王家とリバートン家はと影であり、ることがあれば容赦なく影が鉄槌を下すこともある。

リバートン家は王家ではなく、國に仕えていると言ったほうが良いかもしれない。

その関係からもザックは二人に頭を抱えた。

王家とリバートン家が直接繋がることに華族達は良い顔をしないだろう。

だが、悪い話だけではない。

王家にリバートン家の直系のるのであれば、將來的にはき易くなる部分も出て來る。

最終的にザックはエリアスの意見を條件付きで聞きれた。

この時、エリアスにはまだ側室もおらず正妻候補もいなかった。

今のまま、エルティアだけを正妻候補としては華族達も黙っていない。

ザックは、エリアスにエルティアだけでなく、同時に候補者を一定數用意することを條件に出した。

エリアスはこの條件をれ、エルティア他數名の王妃候補者を選別した。

ダークエルフは出生率が低いので、王は側室を持たないと筋を殘せない可能も出て來る。

どの道、エルティア以外にも王妃候補者を用意する必要はあったのでエリアスもこれをれた。

ダークエルフの王妃は最初に王の子供を宿したがなるのが決まりである。

これは、出生率が低い為、婚姻した順番や地位だけで王妃を決めてしまうと後々、権力爭いの火種になりかねないからだ。

エリアスがエルティア含め多數の候補者と過ごし始めてから數年後、候補者の中から待の懐妊したが現れた。

名前は「リーゼル・タムースカ」、華族としては歴史とそれなりの力を持っている「タムースカ」のであった。

國は喜びの聲で沸いた。

エリアスとエルティアもリーゼルの懐妊を喜んだ。

だが、懐妊したリーゼルはとても複雑な思いを抱えていた。

エリアスとエルティアが両想いであることを知っていたからだ。

理由はもう一つあった、リーゼルは自分が王妃のではないと思っていたからだ。

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