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「わからない…」

「え?」

「今でも…殿下のことを考えるとが締め付けられるんです。でも…」

ずっと彼のことばかり追いかけていた前世。

今世で會ってまた…をしてしまった…のだろうか?

されたいと努力してましたわ。日々。けど葉わなかった。それが辛いから今世ではもういいのです。」

語ったファビアをじっと観察するように見つめていたディエゴはしばらくしてフッと笑った。

「そうか。婚約しているのではないのか?」

「滅相もありません。わたしが王妃になるなどもうあってはならないことですわ。」

「ではお前は…今世で懺悔をしたいと…そういうことだな。」

「ええ。ですから…まずは陛下を助けたいのです。ご病気で亡くなられたのだと思っていたのにそうではなく毒殺なのだったら防げますもの。犯人を探さなくては…。これでもわたし、ガーディアンをしていますから。」

ディエゴは力説するファビアにフッと笑った。

「そのことなんだがな…部下に調べさせたら、あの2人のうち外部のものはカンディアナから來た商人だった。とんぼ返りで國に戻ったようだから今カンディアナの部下に調べさせている。」

「まあ。世界中に部下がいらっしゃるの?」

「基本だろう?ガーディアンの危機管理能力が甘すぎるだけだ。俺は無駄な戦爭はやめたが、民が疲労している國や腐った國があったら迷わず戦爭を仕掛ける。民を幸せにしたいからな。」

「そうですわね。腐った國は潰すべきです。」

かつてガーディアンがそうであったように。

「この國も今はいいがこのままではいずれそうなる。なったときには俺は迷わず攻める。そのためにスパイも仕込んである。」

ディエゴの言葉にファビアは言葉に詰まり、そりゃそうですわね…と心の中で思った。

この國はこのままではダメになる…。

ファビアが王妃にならなくてもそうなるおそれがあると…ファビアもほんとのところは心の奧で懸念していた。

「お前が今世でガーディアンのために懺悔したいというように俺は、困った民を助けることが使命だと思ってる。そのために俺にできることは戦爭をしてその領地を奪い、復興させることしかないんだ。そうやって生きるしか俺は知らないからな。」

そう語るディエゴの表し寂しそうに見えてファビアは自分もし寂しそうに笑った。

「ひとつ転生してよかった思えることがある。」

「なんですか?」

転生してよかった?

わたしもそういうこと。あるかしら?

そうだわ。

「お前に…會えたことだ。」

「え?」

「ずっと興味があった。だから去年の舞踏會でわざと近づいた。部下に王宮を調べさせていたところだったんだ。そしたらお前がフラフラと回廊を出てきた。なんと言っても前世で生きるのをやめたくなったのはお前が原因だからな。」

ではあのときの聲は、カンディアナ語だったけど、ディエゴ殿下の部下だったのね。

「けど、お前は…」

そこでディエゴはクスクスと肩を震わせて笑う。

「あまりに思っていたやつと違っていて…會うたびに興味が湧いて…」

そして顔を上げた。

「まあ…飽きないやつだなって思ってるわけだ。」

「はあ。」

飽きないとはよく言ったものだ。

失禮ね。

を共有できることがわかってさらに離れられそうにないが…」

「そういえば手を繋ぐと能力を共有できるのですか?」

事実今もつないでいるから、ファビアも気配を消せている。

「ああ。それは戦爭中に知った。部下とどうしても著してしまったときにどうやら2人とも気配を消せてるってね。」

手だけではないってことね。ならどこでもいいのか…。

それに…

そうね…

前世のことを話せるのは殿下しかいないわ。

「これからも付き合ってもらうぞ。戦爭をしないと退屈でな。お前がいないと楽しくないんだよ。」

「まあ。失禮ですわ。」

プンッと頬を膨らませてディエゴを見上げると、ディエゴはフィッと橫を向いた。

「まあそういうことだ。今日は遅いからそろそろ帰る。明日また來る。アルフォンソ王の報を持ってきてやる。」

「ありがとうございます。」

ディエゴが窓から去った後、ファビアがひとりごちた。

「わたしも思ったんだけどな。あなたに會えて、よかったって…。」

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