《【完結】悪と呼ばれたもと王妃はもうも結婚もコリゴリなのです》アーグフルト皇子

3日ぶりの更新です。

明日から5日連続更新予定です。

「ふらふらと王宮中を毎日、何を嗅ぎまわってる?!」

王宮に來て2週間。農園から図書館、資料館、各省庁などまわれそうなところはだいたい回ったかなと思えたころ、バラ園でかぐわしいバラの香りに癒されていると、後ろから男の聲がした。

この聲は…。

「アーグフルト皇子殿下。」

深々と禮をし、カーテシーの挨拶の姿勢をとる。

「王宮を全部掌握しようとしてるのか何か知らないが。」

話し続けるので、ファビアは顔をあげた。

アーグフルト皇子は皇后に似ている。

黒に近い茶の巻きに茶い瞳。

顔立ちもしい皇后とよく似ていて冴え冴えとしている。

ディエゴのような妖艶な気があるしさではなく、冴え冴えとした冷たいしさを持った皇子だった。

歳はファビアと同じ18歳のはずだ。

「掌握などととんでもございません。ミルアー帝國が現代的ですばらしいという噂はガーディアンにもとどろいておりましたからとても興味を持って見學させていただいていただけですわ。」

「見學だと?」

「はい。見學していてわかりましたのですけれど、職員たちがとても皇族に謝をしており、とても慨深かったですわ。フェルナンデス皇家はとてもすばらしい一家ですわ。」

「すばらしい?」

アーグフルトの眉がつりあがる。

「ええ。民に謝される皇族なのですからすばらしいと思います。アーグフルト殿下も…。」

そうだ。実際アーグフルトについても好意的な態度がとても多かった。

「とても薬草學に通されているとお聞きしました。溫室の職員が言っておりました。アーグフルト殿下が庶民の病のために薬草を市場にも出荷されていると。3年前に流行った伝染病を救ったのはアーグフルト殿下だと聞きましたわ。」

「な、なんでお前がそれを知ってる?」

ファビアが言うと、アーグフルトは突然顔を赤くした。

おや?とファビアは思った。

この話を聞いた時、あのアーグフルトがとびっくりしたのだが…。

こんなことで顔を赤くするなんて…。

「みなが誇らしげに言うのです。アーグフルト殿下は救世主ですと。」

それは本當の話で、職員たちは口々に謝の意をこめてアーグフルトの名を口にしたのだ。

ファビアはディエゴからアーグフルト皇子から前世で毒殺されたと聞いていたし、この間の銃殺未遂も皇后とアーグフルト皇子の仕業だと言っていた。

顔合わせのときのあの態度から見ても到底民に対しても同じような態度なのかと思っていたが…民が言うのはすべてアーグフルトへの稱賛の言葉だった。

「な、なんだよ。そんなこと言ったって騙されないぞ。」

ん?

真っ赤だ…。

「事実、民はそう言っているのですもの。とても素晴らしいことだと思いますわ。」

「う、うるさい。だいたいガーディアンから來たお前など信用できるかっ!お前などっ!兄上にふさわしくないっ!」

まるで子どもみたいだとファビアはあらためて真っ赤になって怒っているアーグフルトを見つめる。

兄上にふさわしくない?

それってディエゴのことを思って発言しているように思うのだけれど…。

「アーグフルト殿下。ふさわしくなるように努力いたしますわ。微力ながら。」

ファビアが畏まって言うと、アーグフルトはふんっとそっぽを向いた。

「俺はお前が早く出ていくことを願ってる。もう話しかけるな。」

そういうと大でずかずかとその場を後にした。

なんなの。この人…。

話しかけるなって、自分から話しかけといて…。

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