《【完結】悪と呼ばれたもと王妃はもうも結婚もコリゴリなのです》舞踏會II

「こちらに挨拶に出向かなければならないところ申し訳ございません。本日は調が悪く臥せっておりまして。ご婚約のお祝いにも出向けませず申し訳ないと本人は申しておりました。どうかご容赦を…。」

「大事なわけではないのか?」

「はい。すぐに回復するとは思いますゆえ、ご心配には及びませぬ。気にかけてくださりありがとうございます。」

ビーティー公爵と呼ばれたその男は他の貴族たちのように打算だけで近づいてきているようには見えず、紳士に見えた。

ダイアナが來ていないのはもしかしたら仮病なのかもしれない。

ディエゴがファビアを突然連れてくるまではダイアナが最有力の婚約者候補だったと聞く。アーグフルトもそう言っていたではないか。

ディエゴが心配そうに聲をかけるところを見るとディエゴも無下にしていなかったと見える。

前世ではディエゴの皇太子妃だった人だ。當然ディエゴにも想いがあるのだと思う。

どんななんだろう。。。。

やっぱりダメ。

わたしってば嫉妬深いだわ。

そのままつくり笑顔で挨拶を全部済ませたら、ファビアはディエゴに斷ってお手洗いへ向かった。

心の中に芽生え始めた自分の嫉妬心をなんとか落ち著かせようとする。

お手洗いから出ると、ファビアはし風にあたろうと、バルコニーへ向かった。

今頃ディエゴは他の令嬢たちとダンスに興じているところだろう。

戻ったらまたイライラしてしまうわ。

はぁー。

自分が嫌になる。

わたしってばどうしてこんなに嫉妬深いのかしら…。

「変わってないわよね…わたし。」

「何してるんだよ。こんなところで。」

ぼそりとつぶやいたら、にょきっとカーテンの隙間からから涼し気なイケメンが顔を出した。

「わっ!」

アーグフルトだ。

「びっくりするではありませんか。」

「何が変わってないんだ。兄上のところをなぜ離れる?お前は兄上の婚約者だろ。」

不機嫌そうな顔でじっと見降ろされる。

だいたいこの人なんでこうもタイミングよく現れるのかしら。

あ、そういえばこの人。ダイアナ嬢のこと最初いろいろ言ってたわよね。

のこと知ってるかもしれないわ。

「あのう…。」

「なんだ?」

相変わらず不機嫌そうだ。

「アーグフルト殿下はダイアナ嬢のことご存じなのですよね?」

「は?」

「いえ。今日いらしていないようですので…。どうされたのかなと…。」

と、アーグフルトの顔がニヤリとゆがんだ。

「おまえもしかしてダイアナ嬢と兄上の事を知りたいのか?」

「え?」

「図星だな。」

にやにやと笑うその顔は明らかにファビアより優位に立てたことを楽しんでいる表だ。

「最初にアーグフルト殿下がおっしゃったから気になるだけです。ディエゴ様ともしかしたら…昔いろいろあったのかなって…。」

もじもじしながら聞くと、ふんっとアーグフルトが鼻をならした。

「兄上とダイアナ嬢は馴染だ。小さいころからずっと一緒にいたといってもいいくらいな。」

「え?」

馴染…。

「正確には、兄上達3人というべきか。ディエゴ兄上、ゲイリー兄上、イアン兄上だ。イアン兄上の母君とダイアナ嬢の母君が仲がよかったとかそんなんだったと思うぞ。まぁゲイリー兄上はほとんど療養中で中には加わっていないかもしれない。俺は年が離れていたからほとんど遊んでいないがな。」

ディエゴとゲイリーとイアンは同い年だ。アーグフルトはファビアと同じ18歳でディエゴたちより3つ下だからあまり遊びには加われなかったのだろう。

「まぁその中でダイアナ嬢はずっとディエゴ兄上を慕っていたし、いずれは皇太子妃になると思われていた。お前とはちがって皇太子教育もけていたしな。なのにお前が現れた。そりゃいい気持ちにはならないだろう?」

「そう…なのですか…。」

「それにもう年齢も結構…兄上たちより1つ上だったと思うな。だから他にも貰い手がないだろうって言われてる。まぁ全部おまえのせいってことだ。」

うっ…。

アーグフルトに聞いた自分がバカだったと思うけど、彼なら包み隠さず事実を話してくれると思ったのだ。実際そうだったし。

けど、聞くとつらい…。

「ごめんなさい。」

思わず、俯いてしまった。

「は?何謝ってるんだよ。」

アーグフルトがまたふんと鼻をならした。

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