《社畜と哀しい令嬢》しい青
その時の私は灰の世界を生きていた。
も音もない、分厚い曇りガラスを隔てたような世界に閉じ篭っていたのだ。
お母さまの葬儀の最中も、ただ進行していくのを眺めていた。
すると誰かが私の手を握った。
突然訪れた暖かさに、私はびくりと震える。
この溫もりを私は知っている。けれど、今は思い出したくなかった。
だから私は顔を上げることもせず時が経つのを待っていた。
「玲奈さん」
次に聲が聞こえた。
世界を閉じていたはずなのに、その聲ははっきりと耳を通る。
「……はい……」
かろうじて返事はできたけれど、私はその人の顔を見ることができなかった。
「僕を見て」
がかった世界の中で私は思う。
優しく呼びかけるこの聲は、誰だっただろう。
どうして何も聞こえないはずなのに、この人の聲はこんなにも鮮明に聞こえるのだろう。
「こっちを向いて」
穏やかで優しい聲と共に、握られた手は離されて頬に當てられた。
じわり、じわりと頬から熱が広がる。
心許なくなった私は思わずその人を見つめた。
その瞬間、を失っていた世界に、しい青がし込んだ。
強くて優しい、深い深い青。
その青の瞳が私をまっすぐ見つめていた。
「泣いていいんだ」
しい青の瞳が私を抜く。
「悲しんでいいんだ。んだっていい。ここには僕しかいない。だから」
言葉を聞きながら優しく抱きしめられて、私は頭のどこかで青の瞳が見れなくて寂しい、と思う。
「を抑えたら、ダメだ」
何を言われているのかすぐには理解できなかった。
理解できないのに、涙が溢れた。
思考よりも先に心が悲鳴をあげた。
手も足も震えて、縋り付くように目の前の彼にーー憲人さまにしがみつく。
「おかあ、さまが……」
「うん……」
「あんなに笑っていたのに……もう、會えない」
言いながらお母さまの笑顔を思い出して、嗚咽を堪えられなかった。
「どこにも、いないんです、どこにも……」
溶け出したと共に、逃げていた現実が押し寄せる。
「私は、1人になってしまいました」
お母さまに、もう二度と會えない。
笑いかけて貰うことも、抱きしめて貰うことも、名前を呼んで貰うことも、できないのだ。
私をしてくれた人が、いなくなったのだ。
本當に、本當に一人になってしまったのだ。
孤獨に潰されそうになって、おかしくなりそうになった私を支えるように、憲人さまは私を強く抱きしめた。
「僕がいる。僕が君を支える。君は1人じゃない。……1人に、なってはいけない」
私は思わず息を飲んだ。
世界に一人になってしまったと思っていた。
お母さまがいない世界で、一人孤獨に死んでいくのだと思った。
それなのに、憲人さまは一緒に歩いてくれるのだろうか。
こんな、なにも持たない私なのに。
一緒に歩いてくれるのだろうか。
「ありがとう、ございます」
本當はこんな言葉なんかじゃ足りなかった。
けれど哀しみと喜びが押し寄せて、そう言葉にするのが一杯だった。
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