《社畜と哀しい令嬢》相談
『智子さん
お久しぶりです。
とは言いましても、10日ほどしか経ってないのですが……。
智子さんとお話しできなくて、時間がとても長くじてしまいました。
文章褒めてくださってありがとうございます。
インターネットで検索しただけなので、全然凄くないです。
でも智子さんに褒められると、が暖かくなります。
端末の件ですが、里に壊されてしまいました。
とても怒っていて、止めることができませんでした。なぜそこまで里が怒っていたのかは分かりません。
あと、智子さんの夢は現実かもしれません。その日私は何故か智子さんが側にいるような気がして、勇気が湧いてきました。
それで思い切ってメールをしたのです。
私に力をくださり、ありがとうございました。
ところで、智子さんが私の中學校に來るというのは本當でしょうか?
とても、とても嬉しいです!
容は分かりませんが、可能ならぜひ立候補させて頂きたいです!
智子さんと會えるだなんて夢のようです。
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アドレスは、智子さんへの返事で合ってます。
私はあの人を、家を、捨てます。
本當でしたら、端末が壊されたは日にお伝えしたかったのですが……
今は時間がないため、ここで失禮します。
明日、またこの時間にご連絡します。
智子さん、大好きです。
宮森玲奈』
玲奈に返信した翌日、智子は個人端末に屆いたメールを読んで號泣した。
「くううう! ぐすっ! 玲奈ちゃん! 玲奈たん! れいぽん!! 可い! 天使! 私も大好き!!」
ぐすぐすと遠慮なく泣いているが、ここは自宅ではなく會社である。
とは言ってもいつもの作業室なので人はいない。
ーーいや、今日は1人ではなかった。
「智子ちゃん、そんなに泣いたら目の赤みとれないわよ」
智子に呆れたようにティッシュ箱を差し出したのは販売促進デザイン部の富永だ。
「だっで! 聞いてください!玲奈ちゃんは健気で腰も丁寧で13歳とは思えないんですよ! クソ可いんですよ!?」
「あーはいはい分かった分かった」
「真面目に聞いてくださいよ!!」
「聞いてるわよ。じゃなきゃこの繁忙期の晝休みにここにいるわけないでしょう」
「うっ……ごもっともです。ありがとうございます」
イベント企畫部の智子が忙しいという事は、販促部の富永が忙しいのは必然だ。イベントがあれば販促が発生するからだ。
しかも富永は智子よりも役職が上の係長のためをかけて忙しい。
「さんは私なんかより休めてないのにごめんなさい」
「あら、休みはちゃんととってるから大丈夫よ。私はね、誰にも、たとえ社長にでも休みを奪わせないって決めてるのよ」
悪どい笑みを浮かべる富永を智子は尊敬の眼差しで見つめた。
「ひ、さん素敵! その姿勢を私も貫きたいです! 今度伝授してください!!」
「ふふふ。いいわよ。その代わり強靭な神を持たないとダメなんだからね」
「はい!!!」
是非とも見習いたいものだと智子は敬禮をしながら返事をした。
「ーーと、また話が逸れちゃったわね。それで
なによ。昨日言ってた頼みって」
昨日は富永が鬼のように忙しかったせいで、端末アプリにメッセージをれることしか出來なかった。
殘業確定のこの時期に富永と話すなら晝休みしかない。ただこの晝休みも、日によってはとれないらしいが。
「あの、玲奈ちゃんの件なんですが実は々と進んでまして…」
言いかけて智子は言い淀んだ。
富永とは會社ですれ違う際に、玲奈の最新報はちょっとだけ話していたが、玲奈と繋がった事は話していない。
會社の廊下でするような話ではなかったのと、上手く説明できる自信が無かったからだ。
しかしこれから頼む事を考えれば、言わないわけにはいかない。
「短いのと長いのだったらどっちですか」
「短いの」
「ですよね。お願いしたい事なんですけど、鷹司家と接する方法を知りたいんです。以前、調べにお詳しい方がいらっしゃると聞いたので、お金かかってもいいので、お願いできませんか?」
「……なんで?」
「玲奈ちゃんをあの家から出すためにくからです」
堂々と宣言した智子を見て富永はこめかみに指を當てた。
「智子ちゃん」
「はい」
「彼が現実にいるって確かに言ったけど、それは難しいでしょう。彼はあなたを知らないのよ?了承も無しでいたら犯罪だって分かってる? 仮に了承があったとしても難しい問題なのに」
変なれ込み方をして道を外す気なのか、と問うような富永の鋭い目付きに、智子は急いで首をふった。
「いえ! あのっ実はですね、玲奈ちゃんからは家を捨てるって言質とったんですよ」
「は?」
智子の言葉に富永はぽかんと口を開けた。
「いえ、あの2人でベロンベロンになった夜、何故か玲奈ちゃんと繋がりまして。そこから流が始まったんですよ〜。すごくないですか〜?奇跡っていうかあ〜」
あっけらかんと何でもありませんよ〜大したことありませんよ〜という態度で智子が答えるとら富永は目頭を抑えて俯いてしまった。
「あ、あの、さん?」
「……智子ちゃん」
「は、はひっ!」
「長いので」
「はいい!!」
僅かな殺気を出しながらくように言われた智子は姿勢を正してあれから起こった事を富永に聞かせたのだった。
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