《腐男子先生!!!!!》33「一緒に牢屋にろう」

冬休みが終わり、休みあけのテストも終える頃には、毎日學校がある日常にが慣れてきた。

テストの採點と返卻も終えて完全に日常が戻ってくると同時に、朱葉の放課後も生準備室に顔を出しはじめる。

「さっむう~~」

失禮します、と外の寒さから逃げ込むように部屋にると、桐生はいつものようにタブレットに向かっていた。その肩越しに、外を見て。

「わー寒いわけだ……」

と朱葉がいう。ん? と桐生が振り返って、「げ」と骨に嫌そうな聲を出した。

「雪かー……」

の空から、ちらちらと白い影が降ってくる。

「つもりそうですね。帰り電車大丈夫かなぁ」

「やばいな、週末……」

「あ、センター試験ですよね?」

「いや、イベント回し橫浜から池袋チキチキチキンレース」

「仕事!! して!!!!!!!」

一生かかってる人だっているんですよ!? と朱葉がつっこめば

「今年は三年生のもちがないんで~」

と言いながら、桐生はいそいそ乗り換え案とにらめっこをはじめた。リスクマネージメントに余念がない。

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まあ、確かにこの時期、現場りの最大の敵は悪天候による通麻痺と、インフルエンザくらいだろう

「あ、それから早乙くんこれ」

差し出されたのは、CDROMと、昔懐かしい、寫真屋でもらうような封筒だった。

「?」

ディスクにはなにも書いていない。同人誌でもなさそうだし、焼いてくれたアニメというわけでもなさそうだ。なんだろう? ととりあえず封筒の中を開いて。

「!!!!!???」

びっくりして閉じた。

「えっ、ちょ、まっ」

頬を真っ赤にしてぱくぱくと金魚みたいにかす。言葉が出ない。

「秋尾から」

「わかるけど!!」

は、あの正月一件の、寫真だった。

「さすがにキングよく撮れてる」

「いや! キングさんの寫真めっちゃ嬉しいけど! めっちゃ綺麗だけど! なんか見えた! 今なんか見えたよ!?」

自分が、一緒に寫ってるやつ。しかもなんか加工もしてある気がした。そうじゃないと、こんなに、自分は、綺麗じゃない。

「元データはロムにもってるから」

「そうじゃなくてな!?」

ぷるぷる震えながら朱葉が言うと、桐生が合掌する。

「しばらくキング、あんまり子との合わせに出てなかったから眼福でした」

「いやいや!? いやいや!?」

バン、とテーブルを叩いて、この際他のあれこれを見なかったことにして、朱葉が座った目で言う。

「先生もらったでしょ」

「え?」

目をそむける。そむけた視界に無理矢理るようにして、

「先生も、もらったんじゃ、ないの!?」

キングだけじゃない、自分の、寫真を。

「なんのことかな?」

返答が白々しい。誤魔化す気があんのか、と朱葉は思う。

「正直に言わないなら年賀狀返して」

「スミマセン最高でした年賀狀の隣に飾ってあります」

ほらーーーーーーーーーーー!!!! と朱葉が悶絶する。

「やばくない!? 先生やばくない!? 先生がこれ、変死した時に部屋に踏み込まれて壁に生徒の巫寫真ってあったら最高にやばくない!?」

「いや殺さないで」

「それどころか……児がポルノの二次元法案が可決させたら……」

ぷるぷると子鹿のごとく震える朱葉に。

「そうなったら、仕方ない。早乙くんも同罪として……」

桐生が目を細めてキメ顔で言った。

「一緒に牢屋にろう」

「いーーーやーーだーーーーーー」と朱葉が座りこんで嘆く。なにがいやなのかわからない。々いやだけど、そうじゃなくて、どうでもよくて、とにかくかなり、恥ずかしい。

「まあ、それは置いておいて、」

真顔になった桐生が淡々と言う。

「俺になにかあったら一応秋尾に頼んであるので、早乙くんは薄い本の関連もらっていってくださいね。あとイベントのチケットとかもまとめて置いてあるから。発券出來ないものはもう、供養だと思ってそのままにしておいて」

「そんな縁起でもない……」

と思わず言うが、その一方で、大事なことだなとも思う。

自分が死んだら積み荷はどうなるだろう。夏がなんとかしてくれるだろうか。々見られたくないものもある。すごく下手だった時期の落書きとか。あとまあちょっとあれがそれな絵とか。先生には絶対に見せられない。この男にだけには、絶対にだ。下手したら飾られる。

でも、秋尾さんも迷なことだろう、と朱葉が思う。先生のお世話なんかより、キングのお世話していたいだろうし、わたしだってキングのお世話がしたい。

そう思っていたら、いたく真剣な目で。

「でも年賀狀は一緒に燃やしてしい」

そう言うから。

「いや、その前に、先生の部屋に飾ってある寫真燃やしてもいいですか? 今。たき火しよう」

今すぐ積み荷を燃やしましょう、と結構真剣に突っ込んだのに、「雪止まないかな~」と誤魔化された。殺意。

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