《辺境育ちな猿百合令嬢の憂鬱。〜姉の婚約者に口説かれました。どうやら王都の男どもの目は節らしい〜》(11)ストレスと散歩
王都は今日もいい天気だ。なのに、私はとぼとぼと歩いていた。
最近、セレイス様の事でストレスを抱えている。
あの人は侯爵家の坊ちゃんのくせに、妙にフットワークが軽い。ゼンフィール侯爵家でのお茶會以來、毎日お姉様のご機嫌伺いにくるようになった。
「リリーと一緒にいる時のオクタヴィアは、とても生き生きしているよ。そのせいかな、いつもより気楽に話せる気がする。もしかしたら、僕たちは思っていたよりずっと気が合うのかもしれないね」
セレイス様はそんなことを言っているから、誰も不審に思わないらしい。
ぞっとするほど調子がいい人だ。
しかもこの人、お姉様と話しながら、ふと私を見て笑いかけたりする。
無理に私に話を振る必要はないのにね。私が顔をひきつらせながら何か応えるたびに、うっとりと見なくてもいいんですよ?
……もう、毎日疲れる。同席しなくて済むのなら、どれだけいいか!
でも、お姉様とセレイス様はまだ結婚していない。だから二人が會う時には、妹の私が同席しなければいけないのだ。
Advertisement
私がいない間はどうしていたのかと言うと、王都在住の親戚の人たちに同席をお願いしていたらしい。親戚と言っても基本的には他家の人。毎日暇なわけではないし、拘束時間は短くないし、謝禮を用意しなければならないし……と、いろいろ面倒があった。
だから、まだぎりぎり子供の年齢で、オクタヴィアお姉様の妹である私は、同席者としては最適なんだとか。
まあ、それはわかる。
わかるけど……セレイス様の視線が不快だ。日々熱がこもっていく気がして耐え難い。
最近は、ちょっとお姉様が離席したら、その直後にするっと近くに來る。し離れたところから見ると、きっと同席させられている婚約者の妹に気を遣っているだけに見えるだろう。姑息すぎる。
もちろんお姉様もセレイス様に気を遣っているようで、訪問を聞くとどんなに忙しくても飛んでくる。おかげでクズなセレイス様と二人きりで過ごす時間がなくて助かるんだけど、それだけ気を使っているんだなと実するというか。
もしかしたら、一時的な熱病みたいなものかもしれないから、あまり失禮な態度は取れないし。
セレイス様は、顔立ちも整っているし、王都の有力者である侯爵家の方だし、態度だって禮儀正しくて想が良くて、とてもじの良い爽やかな人なんだけど。
……私は神様で、本當はドレスの裾に口付けをしたいらしい。それをすると流石に周囲にバレてしまうから、階段を降りる時にさりげなく私に手を差し出して、手にれたと言って喜んでいる。
メイドがお菓子を追加で持ってきてくれなかったら、そのまま手を握られていただろうし、私はセレイス様を蹴り上げていた。
どこを、とは言わない。庶民育ちを甘く見ないでほしい。
本當に、もうさぁ……勘違いしないでくださいよ?
私はオクタヴィアお姉さまのために同席しているんだからね? 神の微笑み? お姉様のために微笑んでいるだけだから。そこも勘違いしないでくれるかなぁ!
葉う事なら、視界にもれたくない。
というか、お姉様に魅力をじない時點で許しがたい。そのきらきらした黒い目は節ですかっ!
……という心のびをに貯め込み続けたせいで、私のストレスは人生最悪レベルだ。
その憂さ晴らしに、ちょっと屋敷を抜け出してお散歩を決め込んでも許されると思う。一応、お姉様宛に手紙を置いてきたし、護用の魔道もにつけている。
一人で軽なお散歩を楽しむくらい、許してもらえるよね。……はぁ。
「何か面白い事ないかなぁ……」
お姉様の存在でも癒しきれないこの苦しさを、どこかにぶつけたい。
そう、ぶつけたい。
心にめるなんて、私の格に合わないのだ。
せめて木に登りたい。高い木に登って、小鳥や蟲に和んで、王都の風景を眺めたら元気になるかもしれない……。
うん、悪くないな。
「……よし、木を探そう!」
突然閃いた目的に、足が急に軽くなった。
うつむき勝ちだった顔をあげ、登り甲斐のありそうな大きな木を探す。
でも、ここは王都。木々はそれなりにあるものの、これというほど大きな木は見當たらない。普通の木ならアズトールの屋敷の庭にもあるから、それより大きくて枝の張りが良い木があれば……。
「お、あの木はいいじ!」
私は足を止めた。
高い塀の向こうに、巨大な木が見える。住宅街の中にあるにしては、大きすぎるほどの木だ。庭木としてはびすぎている。その分、枝が私好みによく張っていた。
改めて見回すと、その木のある場所は高い塀に囲まれていた。公園ではないようだ。個人のお宅なら木登りは無理だな。
でも諦めきれずに、塀に沿って道を歩いてみた。
この辺りは、商人階級の住宅地らしい。
でも……それにしては長く続いている塀は高すぎる気がする。
ぐるりと歩いているうちに、この塀に囲まれた場所は廃屋っぽいことにも気が付いた。
私が見初めた大木以外にも、び放題な木がある。石積みの塀は所々で壊れていて、その壊れた隙間から見える空間は、私の背丈以上の雑草が茂っていた。
正門と思しき場所は、鎖と板とで厳重に封鎖されている。
たぶん裕福な大商人が貴族を真似て、こっそり豪華に作ったお屋敷と言ったところだろう。
でも門の封鎖すら壊れかけているところを見ると、すでに住む人がいなくなって十年以上は経っていると推測できた。
これで今も人が住んでいるのなら、よほどの変わり者だ。
本來の目的だった大木より、訳ありっぽい家本の方が気になってきた。だから、さらに周りを歩いていく。
と、その時。
不審な人を見つけた。
お月様はいつも雨降り
僕の部屋に見知らぬ企業から一體の少女型の人形が送られてきた 人間のように話す僕の過去を知る人形 彼女と出會ったその日を境に 僕の日常は少しずつ変わっていった 多分、それは破滅に向かって
8 106血が繋がってないからあなたに戀してもいいよね
頑張ってみましたが変だと思います そんなでも見てくれたら嬉しいです
8 67超絶美人な女の子が転校して來た。
歴史に詳しいこと以外には何も取り柄がない主人公の クラスに突如超絶美人な転校生がやってくる。 そして運良く席が隣に。主人公と転校生はどうなって行くのか………
8 149先輩はわがまま
岬次郎(さきじろう)は、一人暮らしの大學二年生。 それなりに満喫していた大學生活で、彼には悩みがあった。 それは、わがままで自分勝手な先輩、間宮御子(まみやみこ)に事あるごとにちょっかいを出される事。 しかし、そんな先輩の様子がおかしい? 果たして、先輩と次郎に何があったのか! わがままで自分大好きな年上の先輩とのドタバタ日常ラブコメディー! 毎日更新中!
8 137僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜
僕の幼馴染で姉的な存在である西田香奈は、眉目秀麗・品行方正・成績優秀と三拍子揃った女の子だ。彼女は、この辺りじゃ有名な女子校に通っている。僕とは何の接點もないように思える香奈姉ちゃんが、ある日、急に僕に急接近してきた。 僕の名は、周防楓。 女子校とは反対側にある男子校に通う、ごく普通の男子だ。
8 133獻身遊戯 ~エリートな彼とTLちっくな戀人ごっこ~
女性なら誰もが惹かれるイケメン銀行マンの穂高清澄(ほだかきよすみ)は、『ミスターパーフェクト』と呼ばれている。 取引先の社員である日野愛莉(ひのあいり)は、ひょんなことから彼とエッチをする関係になってしまった! トラウマから戀愛ご無沙汰だった二人は、胸をきゅんきゅんさせながら手探りの戀人ごっこにハマっていき──?
8 56