《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》1
素樸な窓から朝日が差し込み、ベットに眠っていたを夢から引き戻した。
「ふわぁ~…今日もいい天気」
他に誰もいない、決して広いとは言えない部屋で獨りごちたは、元(・)伯爵令嬢だった。
みすぼらしい部屋で朝の支度を始めた彼を見て、そう思う人はまず居ないだろう。
の回りの支度を整え、二階にある自の部屋から出て、下へと降りていく。
降りるにつれ、味しそうなパンの匂いが漂ってきた。
下に降りると、2人の老人が忙しくき回っていた。
「おはよう。おじいちゃん、おばあちゃん」
そんな2人をみて、彼…クーリアは朝の挨拶をわした。
この2人はクーリアの実の祖父母にあたる。こじんまりとしたパン屋をたった2人で切り盛りしているのだ。
「おや、おはよう。今日は早いね。さぁ、おじいさんを手伝ってきておくれよ」
「分かった」
祖母に言われるがまま、クーリアはパンをせっせと焼いている祖父の手伝いへと向かった。
「おじいちゃん。これを運べばいい?」
「ああ。よろしくのう」
焼きあがったばかりでホクホクと湯気をたてているパンを、クーリアは迷うことなく陳列棚へと並べていく。
「そろそろ時間だねぇ」
祖母が壁にかけられた時計を見ながら吹く。
「じゃあ開けてくるね」
クーリアはそう言うと、店の扉の鍵を開けて、扉にかかっていた札を、開店という文字が書かれた面へとひっくり返した。
店の前には、今か今かと開店を待ちわびていた人達が列をなしていた。
そんな人たちへ、クーリアはいつものように言葉をかける。
「お待たせしました。ようこそ、ミーナパン工房へ」
これは小さな町外れのパン屋で働く、1人のの語。
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