《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》5
無屬魔法。それしか使えない者は能無し、又は『白』と呼ばれている魔法屬だ。
それ故に無屬専門の魔法書はほとんど存在しない。研究しても意味がないと思われているからだ。
クーリアが使える唯一の魔法。それが無屬魔法だった。
だからこそ、クーリアは無屬専門の魔法書が限りなくないことが不思議でしょうがなかった。そのためクーリアは獨學で勉強、もとい研究をしていた。
幸い前の家には大量の魔法書があり、それらを日々読み返すことで、その歳に見合わないほどの知識を持ち合わせていた。基本の魔法書の容ならば、一言一句違わずに暗唱できるほどに。
そうして研究を重ねているうちに、クーリアはひとつの結論に至った。
それは、全ての屬において、無屬が関係しているということだった。
それ故に、水屬の魔法や風屬の魔法などの式を多変更するだけで転用することが可能だった。
その事に気づいたクーリアは、片っ端から魔法書を読み漁った。あらゆる屬の魔法書を読み、それらをノートに書き寫しながら、無屬でも使える魔法へと作り直していった。
次第にノートは増えていき、それは無屬専門の魔法書と言っても差し支えないほどのものになっていた。
しかし、それでも飽き足らず、クーリアはこうしてお金を貯めては読んだことがない魔法書を買い漁り、日々研究を続けているのだ。
「読む?まだ他にもあるけど」
クーリアは至って自然にそう言った。だが、母はクーリア達とは違い、魔法が使えない。それはつまり、理解も出來ないということと同義だった。
「ま、まだあるの?」
容を理解することは出來なくても、それがいかに異常な事なのかは理解できたようだ。
一般的に魔法を新しく作るには、膨大な時と金がかかる。それこそ、國の一大政策にすらなるほどに。
それをたった6歳の自分の娘がなし得たのだ。それも言から、ひとつだけではないと言うことが明確に分かる。
「うん。あと…100?それ以上あるかも」
「……」
黙るしかなかった。しかし、それと同時に安堵もした。
前の父親に気づかれなくて良かった、と。
前の父親はクーリアのことを道としてしか見ていなかった。新しい魔法を作り出せると知れば、それだけを作る道として扱われていたことだろう。
ちなみにクーリアはこの時、ノートの冊數を答えていた。そのため魔法はノートと同じ數ではない。
……もっとも、1冊のノートを使い切る頃には新たな魔法が完していたので、実質ノートの冊數分魔法の數があると言っても過言ではなかったりするのだが…まぁ、遊びのような魔法もあるので、使えるのは半分にも満たなかったりする。
「ずっとこれをしてきたの…?」
「うん。だって私は…白だから」
母…フィーリヤは思わずクーリアを抱きしめていた。
それほどまでに追い詰めていたのか、と。
「わ、ま、ママ?」
「…ごめんなさいね。苦労をかけて」
「……それは私のセリフだよ」
クーリアもまた、フィーリヤを抱きしめた。
狹い部屋で、2人の親子の靜かな嗚咽だけが響いていた……
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