《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》6
コルメリア魔法學園の職員室は、北棟と南棟のちょうど間に位置する。
それ故に、行けば高確率で貴族に會う。なのでクーリアは、できる限り行きたくなかった場所でもあるのだ。
「あら?こんな所に白、がなんの用ですの?」
案の定、1人の貴族令嬢に絡まれてしまった。
白っていうことをわざわざ強調しなくてもよくない?
元まで出かかった言葉をなんとか飲み込む。言えばもっと面倒なことになるのは分かりきっているからだ。
「ちょっと。なんとか言いなさいよ」
かと言って、何も言わなかったら言わなかったで突っかかられるのだが。
「先生に呼ばれて…」
「まぁ!わたくしに口を利くなんて何様ですの!」
じゃあどうしろと?!
言えば難癖を付けられ、言わなくても難癖を付けられる。どちらの選択肢を選んでも散々な結果になる。
「おやおや。男爵令嬢ともあろうお方が、職員室の前で騒ぐのですか?」
どうやって突破しようとクーリアが考えていると、突然そんな聲が聞こえた。
「あ、えっと、その……」
その聲の主を見つけ、あからさまに慌てだす令嬢。
クーリアもその主を見つけることが出來、令嬢とは逆にし笑顔になった。
「お兄ちゃん」
その主に向かってクーリアがそう聲をかけた。
そう。先程の聲の主はクーリアの実の兄であった。
「お、おに?!え?」
その発言を聞き、さらに慌てだす令嬢。
「クー。こんな所でどうしたんだい?」
そんな令嬢を差し置いて、イケメンな兄はクーリアに問いかけてきた。
「ちょっと先生に呼ばれて…」
「また時間を忘れてたのかい?全く、クーも反省しないねぇ」
咎めるような口調ではあるが、明らかにクーリアを大切にしていると分かる口調でもあった。
「私は悪くありません」
「うーん、それはどうかな?考えてみて?いつも時間を守らない友達がいたとして、クーリアはその友達の事をどう思う?」
兄にそう言われ、クーリアはし考える。
……だが、クーリアが出した答えはとても能天気なものだった。
「なにか大切な用があったのかなぁーって」
その答えを聞き、兄は頭を抱えた。
兄はクーリアに他人の視點になって考えてもらい、自分の過ちを理解してもらおうとしていたのだ。しかも今回だけでは無い。何度も同じことをし、そしていつもクーリアの答えに頭を抱えていた。
「はぁ…クーのその優しさは素晴らしいんだけどね?もうちょっと別視點から…」
「じゃあ…忘れてたとか?」
「うん、そうだよ!その通りだよ!」
やっとんでいた答えが出たと、兄は心歓喜していた。
……だが、クーリアの次の言葉で玉砕することになる。
「でも忘れるのは人であるが故ではないですか?」
そう。記憶力というものは人によって異なるし、誰もがし前のことを覚えているとは限らないのだ。
その答えを聞き、兄は沈黙するしかなかった。
「もう、行っていいですか?」
「………ああ。行っておいで」
もうクーリアを説得することを諦めた兄は、そのままクーリアを見送った。
クーリアは、まるで凍ったようにかなくなっていた令嬢の脇を通り、ナイジェルの元へと向かっていった。
そして職員室にる寸前、クーリアはある言葉をこぼした。
「お兄ちゃんももう諦めればいいのに」
そう。クーリアのあの対応は狙ってやっていたのだ。決して馬鹿とか、天然とか、優しいからとか、そう言うことではない。寧ろわざとやっているあたり…悪魔であった。
何故そんなことをするのか。そんな理由、ひとつしかない。
──だってめんどくさいんだもん。
あれ、なんで俺こんなに女子から見られるの?
普通に高校生活をおくるはずだった男子高校生が・・・
8 112カノジョの好感度が上がってないのは明らかにおかしい
『好感度を上げすぎるとその人との関係がリセットされる。』 ある日、そんな無慈悲な呪いをかけられた彼は、戀人も友達も一切いない哀しい學園ライフを一人謳歌していた。どうせ消える関係に期待するなんて馬鹿らしい。そうのたまい、人と深く関わること自體を拒否してきた彼だったが、突然転校してきた少女や、様々な人々と接していく中で、彼は少しずつ変わっていく。 呪いと過去が交錯する中、彼は何を望み、何を失い、何を摑みとるのか。 ※カクヨムにも連載中です。
8 145本日は性転ナリ。
如月瑠衣(きさらぎ るい)は、ごく普通の男子高校生として代わり映えの無いつまらない毎日を送っていた。 しかし"ある日"を境に、その"代わり映えの無いつまらない毎日"は虛実が混じり合って作られた"幸せで平穏な日々"だったのだと思い知らされる。 幼馴染の"高梨莉結(たかなし りゆ)に手を借りつつも、男に戻る事の出來るその日まで女としての生活を送る事となった瑠衣。 これは"性転"してしまった瑠衣が、様々な"モンダイ"に見舞われながらも、周りの人々との出會いによって"本當の自分"を見つけていくストーリー。 興味を持って頂けたら是非一話だけでも読んで下さい。つまらないと思った方は、良ければその理由などもコメントして頂けたら、出來る限りの改善をしていきたいと思います。 未熟者が書いた素人小説ですが、創造をカタチにしていく勉強の真っ最中なので、是非溫かい目で見守ってください。 古い話から常時改稿していますが、途中から読み進めるのが嫌になるような文體になるかもしれません。 それは、この「本日は性転ナリ。」が、攜帯小説を始めてから、初めて完結まで続けられた作品なので、未改稿部分はルールや小説執筆の常識等も知らないままに思い付く事を書き毆ったからです。笑 今でも"改稿"と言える程の事は出來ていないかも知れませんが、以前と比べて確実に読み易く直せていると思いますので、是非改稿後の方も読んでいただけると幸いです。 この小説を執筆するにあたって、読者の方々に大変勵まされております。この物語が続いているのはその方々が居るからです。 本當にありがとうございます。
8 161病気の私に舞い降りた突然の戀 〜実録戀物語〜
吉田由奈26歳 うつ病持ちでドクターストップで働けない彼女の唯一の趣味、それは配信アプリで配信をして、ファンのリスナーと他愛もない話をして過ごす事、そんな彼女に突如現れたリスナーSEROと言うニックネームを持つ佐々木涼太20歳との出會いで彼女は涼太との出會いで少しずつ変わり始める実話を元に描かれた戀愛物語
8 188社畜女と哀しい令嬢
まあまあな社畜の日永智子は戀愛には興味が持てず、1人で趣味に沒頭するのが好きだった。 そんなある日、智子はドラマが観れる端末アプリで番組表には載ってない不思議なドラマを見つける。 ドラマに映し出されたのは1人の孤獨な美しい少女、宮森玲奈。病気がちの母を支え、愛人親子に夢中な父親に虐げられながら頑張る玲奈を、智子はいつしか助けたいと望むようになっていた。 そして玲奈を最大の哀しみが襲ったある日、智子はドラマの登場人物が現実に存在する事を知る。 それなら玲奈も現実に存在して、今も哀しい思いをしているのだろうかーーそう混亂していた智子に不思議な奇跡が訪れる。 しがない社畜女が孤獨な少女と邂逅した時、運命の歯車が回り出した。
8 138嫁入りしたい令嬢は伯爵の正體がわからない
男爵令嬢のコノエはある伯爵のお茶會に參加していた。 しかしニコラス伯爵を名乗る人物が三人いて…? 誰がニコラスなのかわからないまま、大勢の令嬢達との殺伐としたお茶會がはじまった。 主人公が伯爵を考察していく言葉遊びのような話なのでふんわり読んで頂けたらと思います。
8 168