《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》7

クーリアはそのまま職員室にり、ナイジェルの姿を探した。

「こっちだ」

目が合ったナイジェルから手招きされたので、面倒くさそうにしながらもクーリアはそちらへ向かっていった。

「さて。言い訳を聞かせてもらおうか」

「えっと、集中しすぎて…」

「はぁ…お前これで何回目だ?」

「7回目です」

ハッキリとクーリアはそう答えた。つまり、今までしっかりと數えていたということだ。

「數えてたってことは前も遅れてたって分かってたんだろ?」

「そうですね」

「それでなんで、次は遅れないようにしようとか思わねぇんだ?」

「思ってるんですよ?実際今日は前より3秒ほど早かったですし…」

「ほとんど変わんねぇじゃねぇかよ!」

思わずナイジェルは聲を荒らげた。しかし直ぐに周りを見渡し、他の教師へと謝りだした。基本職員室では靜かにしなければならないからだ。

「職員室では先生でも靜かにしないといけませんよ?」

「誰のせいだと…!はぁ…今度遅れたらもう図書館へ行くの許可しねぇからな」

「えぇ…」

「それが嫌ならちゃんと時間通りに戻ってこい」

「うぅ…」

「返事は?」

「…………はい」

「なら帰ってよし」

そう言われて、クーリアはものすごく機嫌が悪そうに職員室を出ていった。

「はぁ…ああいうときは素直なんだがなぁ…」

「ご苦労さまです」

南棟の教師にとって、クーリアは何かと気にかけられている生徒でもある。

……扱いずらい生徒として、であるが。

そのため、いつもクーリアの指導をしているナイジェルへと、南棟の教師は労いの言葉をかけるのが習慣のようになっていた。

「そういうなら擔任代わってくれ」

「嫌です」

「頑張って下さい」

「無事をお祈り申し上げます」

…労いの言葉はかけるが、決して手を差しべることはない。教師の誰もが擔任をしたくないのである。

「別にクーリアの擔任をすることに危険なんてねぇだろ?」

「いえ、神に危険です」

「おまっ…!教師が生徒にそんなんでいいのか?」

「良くはないんでしょうね。でも、無理です。特殊過ぎます」

「……まぁそれは分かるが」

當の本人は、そんな論爭が職員室で繰り広げられていたとは、ほどにも思っていなかった……

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