《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》10
「次からはちゃんと気をつけるのよ?」
「は、はーい」
クーリアが思う絶対に逆らってはいけない人。それがフィーリヤだった。
「時間管理はしっかりとな」
「うん」
フェルナスとの會話はないが、クーリアにとっては十分だった。なにせ、前の家では父親と楽しく會話するなど不可能だったからだ。
「まだ…こちらに移る気は無いのか?」
躊躇いがちながらも、フェルナスはそう切り出した。無論移るとは、クーリアがこの家に住むということだ。
「まだ、というか、來る気はないかな。だって私はあっちの方が好きだもん」
「そうか…」
クーリアがそう答えると、フェルナスは悲しそうな表でそう言った。
「ふふっ。まぁクーの気持ちも分かるけどね」
フィーリヤがクーリアの青い銀髪を指ですきながら、クーリアに笑いかける。
「でも、いずれはこっちに來てくれないと私が寂しいわ」
「うっ!それは…」
「ふふっ。冗談よ。あなたはあなたの好きな方で住むといいわ。でも、今日は一緒にお風呂にりましょ?」
「うん!」
クーリアは元気よく頷いた。もう15歳になったが、いつまでもクーリアは自分の母が大好きなのだ。
「私も…」
「「やだ」」
フェルナスの要は、母娘2人で卻下された。
場所は移り、屋敷の風呂場へ。
「いつ見ても大っきい…」
…ではない。浴槽が、だ。
「そうねぇ。クーはお風呂好き?」
「うーん…まぁ好き」
「そう(好きって斷言したらこの家にう口実になったのに…)」
そんなフィーリヤの心の聲は、もちろんクーリアには屆かなかった。
まずは湯船に浸かる前に、を洗う。
「洗いっこしましょうか」
「うん」
「じゃあまず髪からね」
フィーリヤがクーリアの髪を洗っていく。
「クーの髪はいつ見ても綺麗ね」
「そう?」
クーリアの髪を見ながら、うっとりとした表でそう吹いた。ちなみにフィーリヤの髪は黒だ。庶民にありふれた。
「でも、なんでクーの髪はこんななのかしら?」
「さぁ?」
実はクーリアの父親の髪は朱だったのだ。兄2人や妹はそれをけ継いでいたが、クーリアだけ違ったのだ。それも、どこからの伝なのかも分からない青みがかった銀髪。故にクーリアは別の子供じゃないかと思われてしまった。だが、フィーリヤは結婚してから家を出ることを許されず、加えて、結婚する前に異と何かしらの関係を持ったこともない。つまり正真正銘、クーリアは実の子なのだ。
「不思議なこともあるのねぇ」
「そうだね」
クーリアも不思議でしょうがない。だが、どうやっても分からなかった。本にすら載っていなかったのだ。
可能としてはママの先祖…だけど、よく分からないしなぁ…
前の父親の家系はしっかりと記録が殘っていたため、調べることができた。しかし、それに銀髪の人はいなかった。そうなると、必然的にフィーリヤの家系が関係しているはずなのだが…一介の庶民がそんな記録を持っているはずも無い。とどのつまり、髪の原因は分からなかった。
ま、いっか!
クーリアはそう思った。そもそも大して興味がなかったのだ。ちょっと気になったから調べてみただけに過ぎなかった。
「あ、次は私ね」
そんな事を思い出しているうちに、クーリアの中全て洗い終わっていた。次はクーリアがフィーリヤを洗う番だ。
「洗う…屆かない」
「あ…」
………クーリアは々平均長より小さかった。
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