《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》14

対抗戦當日。クーリアは至って落ち著いていた。

(みんなには悪いけど…そうそうに負けさせて貰わなきゃ。じゃなかったらま(・)た(・)面倒なことに…)

クーリアは元から、この対抗戦に勝つつもりは無かった。それにはれっきとした理由があったが、その事をクーリアはチームメイトに話すつもりは無かった。

「クー、大丈夫?」

「大丈夫だよ」

落ち著いているクーリアとは打って変わって、サラはソワソワして落ち著かない。張からくるものだろう。ヴィクターもイルミーナも同様だ。

……イルミーナはちょっと面白がっている節があるが。

「ではただいまより、第132回対抗戦を開催します」

學校長の言葉により、開催が宣言される。學校長の名はドリトール・マクスウェル。白髪のおじいさんだが、魔法では國で一二を爭うほどの実力者だ。

ドリトールの宣言により、辺りは歓喜に包まれる。1年に1度の大イベントだからだ。

「私たちは?」

「初戦だね」

どうやらクーリア達のチームは、初戦のようだ。

「では第1回戦のチームはこちらへ」

先生の指示により、それぞれのチームが魔法陣の上に乗る。

これは転移の魔法陣。彼らが戦うフィールドは、森林、草原、巖場、砂漠、水辺など様々あり、そのどれかにランダムで転移される。

「では第1回戦、開始!」

ドリトールの言葉と同時に、魔法陣がを放ちながら起する。

(あ、この魔法陣を研究したら、何か分かるかも)

こんな時でさえ、クーリアは研究の事しか考えていなかった。

だが、クーリアの考えは正しいと言えた。なぜなら、この長距離転移魔法陣は、今や失われたと言われている魔法で出來ているからだ。そのため、その謎を解き明かすのにはうってつけの研究材料と言える。

しかしながら、その貴重故に、中々お目にかかることは難しい。クーリアも今回が初めてだった。

(あぁ、もう転移しちゃう…これはもう1回乗りたい。よし!そのために勝とう!)

々ズレてはいるが、そのおかげで、クーリアは今からの試合に気合いをれてくれたようだった。

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