《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》25

予想通りというべきか。クーリアの祖父母はサラの家にいくことを許可した。

というかものすごく喜んでいた。

その様子を見て、クーリア、そしてサラでさえ引いていた。

「クーのおじいさん達、喜んでたね…」

「うん……わたし、そこまで心配させてたのかな?」

「……クーって今まで誰かと遊んだことある?」

「ない」

クーリアが即答した。

(それならあの喜びようも納得だわ…)

サラはすこしクーリアの祖父母に同した。

「ところで…」

「なぁに?」

「……この時間からサラの家に行くってことは…泊まり、なの?」

「もちろん」

クーリアの祖父母はそれも分かっていて、許可したのだ。もちろんクーリアも分かってはいたのだが、どうしても聞かずにはいられなかった。

……もしかしたら違うかもという期待を込めて。

それは見事に玉砕した。

クーリアの住む家から歩き始めてしばらく。もう既に日は落ち、辺りは暗くなり始めていた。

そんな時、クーリアが唐突に口を開いた。

「サラの家って…ど(・)っ(・)ち(・)の(・)?」

その言葉の意味を理解できる人は、おそらくサラしかいないだろう。

「……知ってたの?」

「まぁ多は?」

あっけらかんとそう答えるクーリアだが、サラは心とても驚いていた。

なぜなら、話したことなど1度もないからだ。

「そう……行くのは本邸よ」

「帰っていい?いいよね」

「ダメに決まってるでしょ。こら!言ってるそばから逃げようとしない!」

本邸と言う言葉を聞いた途端、クーリアは逃げ出した。

だが、格で優るサラに簡単に捕獲された。

「やだ!帰る!」

「大丈夫だって!」

なにが大丈夫なのか…。

まだ逃げようとするクーリアを、サラは引きずりながら家へと向かった。

「うぅ…」

「本、読みたいでしょ?」

「そうだけどぉー……」

クーリアが嫌がったのにはある理由があった。

無論その理由はサラも知っていた。だからこそ、大丈夫だと言ったのだ。

その理由というのが……

「サラのお父さん、いない?」

そう、サラの父親だ。

決して暴力をふるってくるだとか、下に見てくるだとか、そういう理由ではない。

ただ、その……クーリアは怒っているのだ。

クーリアはサラの父親と會ったことがある。その時のある発言で……ちょっとクーリアが傷付いたのだ。

ではない。心が、だ。

「いないよ。でも、そろそろクーも許してあげたら?」

もちろん謝ってはくれたのだが、その傷は相當深かったらしく、未だクーリアはサラの父親を許していない。というより、會うのを避けているので、そもそも許す機會がないのだ。

「……考えとく」

短くそう言い、クーリアはそのままサラによって引きずられていった…。

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