《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》26

クーリアがサラに引きずられることし。

「…そろそろ歩いてくれない?疲れた」

「…分かった」

渋々と言った様子でクーリアは自分の足で歩き出した。

今クーリア達が歩いているのは、今のクーリアの父親が住んでいるところよりも、さらに高位の人が住む場所だ。

「…場違いがすごい」

「そう?クーの容姿なら別に気にされないと思うけど」

確かにクーリアの容姿を見て平民と思う人はいないだろう。

……一応戸籍上は平民ではなく伯爵令嬢なのだが。

「ここよ…って、知ってるわよね」

「うん、知ってる」

クーリアはサラの家…本邸に來たことはない。だが、ある報筋から場所は知っていた。

「すごいね…」

半ば呆れたような聲を上げる。

クーリアの目の前にあった建。それは今のクーリアの両親が住んでいる屋敷の2倍…もしくはそれ以上の大きさがありそうだった。

「おかえりなさいませ、サラ様。おや、お客様ですか?」

サラの屋敷の玄関に立って待ち構えていた執事が尋ねる。

「そう。わたしの友達…いや、親友ね。大丈夫でしょ?」

「はい。もちろんでございます。失禮ですが、名前を伺っても?」

「クーリアです。今回はいきなりで申し訳ありません」

ぺこりと頭を下げる。

クーリアのしっかりとした口調に、執事の男し驚きを隠せないでいた。

「いえ、とんでもない。歓迎いたします」

微笑みながら執事がそう言う。

「ありがとうございます」

サラはそんなやり取りをみて、しため息をついた。

「クー…そこまで畏まらなくてもいいのよ?」

「そういう訳にはいかないから」

クーリアはこういうことはしっかりしておきたい格なのだ。

「…まぁいいけど。夕食はできてる?」

「はい。クーリア様の分も直ぐにご用意いたします」

「お願いね。それじゃあ、クーの分の食事ができるまで本でも読む?」

「読む!」

食い気味にクーリアが答える。

そのクーリアの反応をみて、サラはクスッと笑った。

「なに?」

「いや、クーらしいなぁって」

「らしいってなに?」

「気にしない気にしない。さぁこっちよ」

答えてくれなかったことをし不服そうにしながらも、クーリアはサラの後をついて行った。

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