《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》27

クーリアがサラによって案された書庫は、かつてクーリアが住んでいた屋敷の書庫の広さを、遙かに上回っていた。

「ここよ……って、聞いてないわね」

サラが振り向くと、クーリアの目線はもう既に本にロックされていた。

「クー、ある程度のジャンルを教えてくれたら案はできるけど?」

「……わたしが読むジャンルは分かるよね?」

「まぁね。聞いてみただけ」

クーリアが読む本。それは魔法書以外にない。

「でも、ちょっとは小説とかさぁ?」

「興味無いもん」

クーリアにとって、知識とならない本はあまり興味が無いのだ。

サラもそれを知っていて、敢えて言った。もしかしたら、気持ちが変わってくれるかも知れない、と…

「はぁ…じゃあこっちよ」

ため息をつきつつ、サラはクーリアを魔法書がっている棚へと案した。

「ここなんだけど…」

「………全部読んでる」

その発言を聞き、サラはし顔を引き攣らせた。

目の前にある本は、ゆうに300は超えていた。それを全て読んでいるとクーリアは答えたからだ。

そしてさらに言えば、クーリアは一目見ただけで、読んだことがある本を一瞬で把握していた。それはつまり、読んだことがある全ての本を記憶しているということと同義であった。

「まぁ、そう言うと思ってたんだけどね」

「じゃあ、他にあるの?」

「ええ……これよ」

サラがどこからともなく取り出した本。それは……

「それ……無屬の……」

…そう。サラが手にしていた本。それは無屬の魔法書だった。

「これ…どうしたの?」

無屬の魔法書は數がない。それ故に高価で手にりにくく、クーリアは読むどころか、見たことすらなかったのだ。

「手にれるの大変だったのよ」

ちょっと苦労しました、というようなじでサラが答える。だが、ちょっとどころではないだろう。

「……いいの?」

それが理解できていたから、クーリアは冷靜に尋ねた。

「いいよ。わたしは読んだから」

サラも無屬の適を持っている。読むことは無駄ではない。

「…じゃあ読ませて貰うね」

クーリアはサラが魔法書をけ取り、書庫にある機でその魔法書を読み始めた。

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