《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》83

「今日はここで野営だな」

しばらく馬車が進み、日が落ちて辺りが暗くなり始めた頃、ヴィクターがそう切り出した。

「そうね。じゃあし開けた場所に止めて」

「ああ」

ヴィクターが馬車を縦し、木々がない開けた場所へと止める。規模としては小さめだが、問題は無い。

「じゃあまずは周辺の安全確保ね。クーは食事の準備して」

「分かった」

「イルミーナも待機ね」

「はーい」

そう役割を決め、サラ、リーフィア、ヴィクターが周辺の安全確保へと向かう。

「じゃあまずは…石を並べようかな」

「力仕事はするよー」

「ありがとう」

イルミーナは辺りに散らばった中くらいの石を集め、火の周りを囲うように積み上げていく。これは火力を維持するためと、森へと飛び火しないようにする為だ。

クーリアは、イルミーナがそれらの作業をしている間に、燃やすための枯れ木を集めていた。

「よし。じゃあ火付けて」

「分かったー」

イルミーナが雷屬魔法を応用し、集めた枯れ木に火をつける。

「中々の制ね。その歳ですごいわ」

ナターシャがイルミーナを褒める。

魔法は威力を強くすることは比較的簡単だが、逆に弱くすることは難しいのだ。

「やった!褒められた!」

「はいはい。作ってくよ」

クーリアが鍋を火にかける。中には予めイルミーナが水をれていた。

「スープ?」

「はい。1番簡単で膨れるので」

食料は全て馬車に積み込まれている。と言っても、道中痛まないよう保存が効くもののみだ。なので、い干しやパンしかない。だがクーリア達は、その他に干し野菜を準備していた。

「なるほど。確かに日持ちするわね」

生野菜よりも長く日持ちするため、野営にはうってつけだ。だがその反面、スープなどにしないと食べられない。

調理はいるが、そう手間もかからないため、クーリア達はこれを準備したのだ。

干しで出を取り、干し野菜を投して煮る。後は塩で味を整える。それだけで完だ。

「質素だけど、野営で溫かい食事は嬉しいわね」

「そうですね。夜は冷えますし」

ちなみに食事は、護衛の冒険者の分も含まれている。なのでし多めにクーリアはスープを作っていた。

「帰ったわよー。周辺は大丈夫そうね」

スープがちょうど完したタイミングで、サラ達が森の奧から出てきた。

「おかえり。もう出來てるよ」

「わーい!お姉ちゃんの手料理!」

「そんな大層なものじゃないけどね……」

木の皿にスープを盛り付け、地面や馬車に座り食べ始める。

「はぁぁ…染みる」

者お疲れ様。明日も頼んだわよ」

「…言ったもんな、俺」

そう。者はヴィクターがんだので、明日もしなければならないのだ。

「…代わろうか?」

「「「「絶対だめ!」」」」

「ひうっ?!」

クーリアが代わろうかと提案すると、全員から勢い良く拒否されてしまい、思わずクーリアが悲鳴を上げた。

「な、なんで…?」

「なんでって……寢るでしょ?」

「うぐっ…」

そう。クーリアが寢てしまうことを危懼していたのだ。本人の反応を見る限り、どうやら図星だったようだ…

「という訳で明日もよろしく」

「…ああ」

「分かったー」

イルミーナはまだ元気そうだ。まぁほとんど者をヴィクターがやっていたので、當たり前であった……。

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