《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》84

食事を終え、全員で片付けを始める。まぁそこまでの片付けは必要ないので、あっという間に終わったが。

「クーは最初の見張りでいい?」

「うん、いいよ」

寢ている途中で起こされるより、最初に見張りをしてその後ずっと寢た方が楽なので、クーリアは快諾した。

「よし。終わりね」

「匂いは空に上げておきますか?」

「そうね。お願い」

辺りに漂ってしまっていた食事の匂いを、リーフィアが空へと風魔法で上げる。

「じゃあクーの次はわたし、リーフィア、イルミーナ、ヴィクターでいいわね?」

「はい」

「いいよー」

「おう」

夜の見張りの順番を決め、それぞれが行を開始する。

まずは夜に火を絶やさないよう枯れ木を追加で集め、馬車の中に布を敷く。男だけ外で寢るのは酷なので、全員馬車で寢ることになっている。

「じゃあよろしくね、クー」

「まかせて」

クーリアとナターシャ以外の全員が、馬車の中へと消える。代はおよそ1時間ほど後だ。

「ナターシャさんは寢ないんですか?」

「一応付き添いだからね。暫くは起きておくわ」

冒険者として経験が長いナターシャであっても、一晩中起きておくことはさすがに出來ない。なので、最初の方だけ起きておくようだ。

「…で。そろそろ話してくれるでしょ?」

暫く経ち、ナターシャがクーリアにそう切り出した。

「……なんの事でしょうか?」

「決まってるじゃない。魔導銃の場(・)所(・)よ」

(…バレてた)

ナターシャは晝間尋ねた時のクーリアの表から、何かを隠していることに気付いていたのだ。

「……大したことじゃないですよ」

「じゃあ見せて?」

「………はぁ」

ナターシャがこうなるともうどうやっても避けられないので、クーリアはため息をつきながら、空中に手をかざした。

「?…っ!?」

それを見てナターシャが驚きの表を浮かべる。それもそうだろう。

……突然、の粒子がひとりでにクーリアの手へと集まり、それが魔導銃を形作ったのだから。

「それは…魔法…?」

「ある人から教わりまして…でも言わないでくださいよ?」

「…そもそも言えるわけないじゃないの」

クーリアが行使した魔法は、あの森のから教わったものだ。

……だが、そもそも収(・)納(・)す(・)る(・)魔法は存在しない。しかし、それをクーリアは、やってのけたのだ。

クーリアのことを気にっているナターシャにとって、そのことを誰かに話すことなど、出來るわけが無い。話せば面倒事を招きかねないと目に見えているからだ。

「…あなたは本當に驚くことをやってくれるわね」

「…否定出來ない…」

「自覚あるのね…」

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