《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》90

し豪華な晝食を食べた後、日が完全に落ち切る前に目的地の村へと到著することが出來た。

「この村に持ってきたのは、香辛料とかなんだよね?」

「そうよ。行商人もどきをしてるようなものね」

學園を卒業後、そういった道に進む生徒もいるため、これはいい予行練習ともなっているのだ。

「ようこそ、學園の皆さん。歓迎いたしますぞ」

白髪の老人がクーリア達を出迎える。村のまとめ役。村長だ。

「わたしがこの班の班長、サラです。頼まれていたの確認をお願いします」

「はい、分かりました」

村長ともう1人の若い男。それとサラ、ヴィクターが馬車へと乗り込み、リストを見ながら積荷の確認をしていく。その間クーリア達は待機だ。

「暇だなぁ…」

「ははっ。まぁこの村には何もねぇからな」

思わずクーリアが呟き、その言葉を聞いた村の男が笑いながらそう返した。

「あっ、すいません…」

「別にいい。事実だからな。悪意があった訳じゃねぇだろ?」

「それはもちろん」

ちなみに何も無いとはいうが、大きい店などがないだけであり、小さな店は3軒ほど點在している。その店を含め、村の建はしっかりとした造りになっており、寂れた様子もない。

「まぁうちの村の特産のおかげだな。それがなきゃ、今頃とっくにこの村は無人になってただろうよ」

「ここの織は貴族などにも有名ですしね」

「そうなの?」

「……お姉ちゃん。そこら辺の知識はからっきしだよね」

「だって興味無いし」

服やアクセサリー。つまり、ファッションに関して、クーリアは興味が全く無いのだ。

「むぅ…ぜったい綺麗な服似合うのに」

「俺もそう思うがな。……この村には特産の織から作った服を売ってるところもある。寄ってみたらどうだ?」

「是非っ!」

リーフィアが食い気味に返事をする。それだけ興味をそそられる報だったのだ。

「じゃあわたしも見てみようかしら」

「あ、終わったの?」

「ええ」

「リスト確認は完了です。お疲れでしょう。食事の用意はもう出來ています。それと泊まる用意も」

「何から何まですいません」

「いえいえ。この村には若い者はないので。皆喜んで準備を行っておりましたよ」

確かに、今見た限りで村にクーリア達と同じ年齢の子供は見當たらない。単に學園に通っているだけという可能もあるが、王都で一人暮らしするしか學園に通う手段は無い。王都に住むにはそれなりの費用がかかる為、その可能は低いだろう。

つまり、言葉通りこの村には若い衆がいないのだろう。

「とりあえず服を見るのは明日ね。今日は食事を食べて寢ましょう」

リストの確認に時間を取られた訳では無いものの、もう既に日は落ちてしまっている。日程には余裕があるので、別に半日から1日ほどこの村で過ごし、疲れを癒しても問題は無い。

「では案しましょう。こちらです」

そう言って歩き出した村長の後ろを、クーリア達がついて行った。

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