《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》92

サラに引っ張られること數分。村の人に教えてもらった店へとたどり著いた。

その店の扉をサラが押して開けると…

「…わぁ」

思わずサラが嘆の聲を零す。中は決して広いとは言えなかったが、所狹しととりどりの服が並んでいた。そのどれもが丁寧に作られたと一目で分かるほどの代だ。

「あら、いらっしゃい。お土産でも買うの?」

「まぁ、そんなじですね」

「そう。ゆっくり見ていって。どれも自慢の品よ」

店主のがそう言って奧の部屋へと消えていった。その後裁斷する音が聞こえたので、おそらく服を作っているのだろう。

「じゃあ見ていこっか。…て言ってもクーの服だけなんだけどね」

「え…?」

クーリアがぽかんと口を開ける。見るとは言っていたが、まさか自分の為だけだとは思わなかったのだ。

「日頃の謝とかを含めて、プレゼントさせて?」

「わたしも!」

「……分かった」

2人してそんなことを言われては、クーリアにとって斷れるはずがなかった。

「こっちはどう?」

「こっちも似合いそうです」

お互いが服を見せ合いながら意見を言い合う。それをクーリアは、ただ見ていることしか出來なかった…

「……なんというか、著させたら著させたで危ない気がするのは気のせいかしら?」

「……奇遇ですね。わたしも同じ気持ちです」

「……それどういう意味よ」

あれこれと言い合い、結局著せてみることにした2人だったが、いざ著させてみると々と危険だということが判明した。

その危険という理由だが……

「あら。可い…というより、綺麗、かしら?」

そう。店主のが言うように、可いというより綺麗という言葉が相応しい姿だったのだ。

青みがかった銀髪と、もともとが白いこともあってか、白を基調として淡い青と深い青を組み合わせたワンピースがとてもよく似合い、左右のの違う瞳と相まって、神的な雰囲気を纏っていたのだ。

(……これ、他の男に見せられないわね)

サラが心そう呟く。ただでさえ普段の服裝で男共を悩殺しているというのに、この服裝を見たら一どうなるか。

……同であるサラですらドキッとしてしまったのだ。本気で死人が出るかもしれない。

「……買う?これ」

「……辭めといたほうがいい気がします」

リーフィアとしても、この服裝のせいで姉(クーリア)が厄介事に巻き込まれるのはまないのだ。

「え、変?」

「変じゃないけど…」

「寧ろ似合ってますけど…」

「似合い過(・)ぎ(・)て(・)る(・)のよねぇ…」

「……それ、悪いの?」

クーリアが小首を傾げる。確かに、悪いことではないのだ。…だが、論點はそこではなかった。

「……まぁ、クーなら何かあっても大丈夫だろうし、せっかくだから買っちゃおうか」

「……ですね」

「…その安心の仕方はどうかと思うんだけど?なに、わたし厄介事に巻き込まれる前提な訳?」

「「うん」」

「…………」

2人から同時に肯定され、クーリアはどう反応すれば分からなかったのだった。

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