《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》94

村を出てから數刻。晝過ぎに出発した為、そろそろ日が落ちる時刻だ。

「今日はここで野営ね」

「じゃあ止めるぞ」

ヴィクターが馬車を作し、すこし開けた場所へと馬車を止めた。

そしてまず最初にナターシャが地面へと降り立つ。

「んー…やっぱりが痛いわねぇ」

を上にばしながらそう呟く。

馬車の中はそう広くないため、大人であるナターシャにとってはしキツいのだ。

「じゃあ哨戒に行くわね。ヴィクターは休んどいていいわよ」

「分かった。ありがとう」

行きも者を擔當したのだ。これくらいは労ってあげなければならないだろう。

「クーは食事よろしく」

「……わたしだけやってないけど、いいの?」

遠慮がちにクーリアがそう口にした。哨戒に出ないのは楽ではあるが、やはり自分もした方がいいのではと思ったのだ。

「……だって、他に出來る人いないもん」

「ん?…あー…なるほど」

全員が貴族。ナターシャは冒険者だが家事能力が皆無。

……つまり、この中で料理できる人がクーリアしかいないのである。

「という訳で、よろしくね」

「…分かった」

適材適所。それぞれがそれぞれの出來ることをせばいいのだ。

……ちなみに他の班も同じようなものなので、大抵が干しなどの保存食を持參していたりする。

クーリアはサラ達を見送り、食事の準備を始めた。

「火の確保は出來たぞ」

「ありがと」

料理の準備をする間、ヴィクターには簡易のかまどを作ってもらっていたのだ。即席にしてはよく出來ているものだった。

ヴィクターは火屬の魔法が使えるので、もう既に薪に火を付けていた。

「じゃあやっちゃうね。その間休んでていいよ」

「…すまん」

調理を始めてしまえば、ヴィクターにできることは無いに等しい。し申し訳なさそうな顔をしながらヴィクターは言われた通り馬車に腰掛け、休憩をとる。

「…なんか、前と匂いが違うわね」

ナターシャが鼻をヒクヒクとさせながらそう呟く。

「はい。香辛料が余ったのでれてみました。同じだと飽きますしね」

積荷として持ってきたものだが、しだけ余ってしまったのだ。持って帰っても中途半端な量なので廃棄されてしまうだろうということで、クーリアは使うことにしたのだ。

「…味は?」

「ちゃんと考えてますよ。無闇にれたりしてません」

料理は分量と手順さえ合っていれば失敗することなどまず無い。ちゃんとクーリアは味しく作れる分量を計ってれていたので、ナターシャの心配は必要ないものだった。

「いい匂いね」

哨戒から戻ったサラが第一聲にそう口にした。

「あ、おかえり」

「ただいま」

「ただいまです。もう食べれる?」

そう言うリーフィアの視線は鍋に固定されていた。その様子を見て思わずクーリアが苦笑を浮かべる。

「食べれるよ。ちょっと味変えたから、想もしいな」

「わー!楽しみっ!」

そう言いながらイルミーナが鍋へと走って行った。

「ちょっとは落ち著きなさいよね。全く…」

「ふふっ。とりあえず、リーフ」

「はーい。上に上げるね」

リーフィアが風魔法で匂いを上へと拡散させる。

「ありがとね。じゃあ食べよっか」

「ええ」

「うんっ!」

そう言って、3人は並んで他の皆が待つ場所へと向かうのだった。

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