《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》95

夕食を食べ終え、就寢準備にる。

「じゃあ最初だけど、クー大丈夫?」

「うん、大丈夫。安心して寢てていいよ」

サラにそう言われ、クーリアは最初の見張りを引きける。クーリアの返事を聞き、サラとリーフィアが何故か小首を傾げたが、そのまま馬車の中へとっていった。

「………ねぇ」

「……はい。分かってますよ」

ナターシャの小聲の問いかけに対し、クーリアが森の方へちらりと視線を向けながら同じように小聲で答える。

クーリアが見た先は暗闇。常人の目には一見何の変哲もない、ただの森だ。

「……いるわよねぇ」

「……いますねぇ」

2人がいう、『いる』とは。

「……まぁ、狙いやすいわよね。盜(・)賊(・)からすれば」

そう。盜賊だ。

クーリア達が村から持ち帰ろうとしている織は、貴族からも人気がある代。それはつまり、それだけ価値がある代ということだ。する貴族ならば、いくら金を積んでも手にれたい。そんな貴族に売ってより多くの利益を得るには?

……そう。奪えばいいのだ。

「…でも、言わなくてよかったの?」

「…言った場合、あちらが逃げる可能がありましたからね」

逃げて貰った方が本來有難いのだが、それは被害者が移るだけなのだ。ならば、ここで捕まえたほうがいい。

なので、警戒されていることに気付かれ逃げられてはならない。だからクーリアは言わなかったのだ。

(……まぁ、気付かれたっぽいけど)

それが分かるだけお互い付き合いは長いのだ。実際、サラとリーフィアだけは小首を傾げていたので、クーリアが噓をついていることにはある程度気付いているのだろう。

「…居場所と人數、分かる?」

「…分かりますよね?」

ナターシャはドリトールと同じく全屬の魔法を扱えるが、最も得意とする魔法は風だ。なので風屬魔法の《索敵》は得意なはずなのだ。

「木々が集してて分かりにくいの」

「……まぁ、そういうことにしておきます」

ナターシャほどの実力者ならば、本來その程度問題でもないのだが……

(…絶対わたしの実力知りたいだけだよね)

まぁ、大方その認識で合っているのだろう。

「……數は5人。左3。右2」

魔力を薄く広げ、クーリアが盜賊の人數と居場所を把握しナターシャに伝える。

盜賊たちの配置からして挾み込むつもりのようだ。

「そうねぇ……ない方か多い方、どっちがいい?」

「どちらでも……と言いたいとこですけど、ない方で」

「理由があるの?」

「……目立ちたくないです」

「……見られたくないのね」

主にサラ達にクーリアは見られたくないのだ。

(……あまり、壁(・)は作りたくないから、ね)

「じゃあ任せるわね。わたしはし出(・)か(・)け(・)る(・)」

「分かりました」

まるで聞(・)か(・)せ(・)る(・)よ(・)う(・)に(・)普通の音量で話し始める。

そしてナターシャは森の中へと消えて行った。

(……さて。じゃあわたしも仕事しよっと)

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