《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》98
「…話は終わった?」
馬車から戻ってきたクーリアに対して、ナターシャがそう心配げな聲で話しかける。
「終わりました」
「そう…わたしも、出來る限り護るから」
その言葉に、クーリアはし笑顔を浮かべるのみだった。
「ところで、ナターシャさんは盜賊どうしたんです?」
「一応脇腹を剣の腹で叩いてから縛ってきたわ。ついでに連絡を済ませておいたから、多分夜明けには回収にくるわね」
「そうですか」
「そう言うそっちは?」
「これ使いました」
クーリアが腰のポーチから、あの青いがった小瓶を取り出して見せた。
「……眠り薬?」
「はい。本當は痺れ薬を使う予定だったんですけど、取り出したのがちょうどこれだったので。一晩は昏睡狀態になる薬です」
「…中々強力な薬ね」
そう言うナターシャの顔は、し引き攣っていた…。
まぁ、當然過ぎる反応ではあった。薬が付いた矢がし掠っただけでも、それだけの効果がある薬だったのだから。
「多分あっちで寢てます」
「……まぁ、ここからはわたしがやったほうが良いわね」
「お願いします。わたしはちょっと…」
「なにかあるの?」
「……聞きます?」
「ん?…あぁー…ごめんなさい。行ってきていいわよ。気をつけてね」
「はい」
タッタッタッとクーリアがナターシャに背を向け、森の中へと走って行く。
……お花をつみにということである。
「さてと。わたしも仕事しなきゃね」
ナターシャがそう呟き、クーリアが矢を放った方の森へとっていく。すると、そう進まないうちに1人の地面に橫たわる男の姿が目にった。
「……ほんとぐっすり寢てるのね」
ナターシャが男の顔を覗き込む。その寢顔はとても穏やかなものだった。矢もし腕に掠った程度で、命に関わるものではない。
「腕がいいわねぇ…とりあえず…」
クーリアの短弓の腕の良さに舌を巻きつつ、手馴れた手付きで手足を縛り上げ、近くの木に固定する。
「よしっと。あとはこれね」
ナターシャが腰のポーチから握りこぶしほどの小さな白い石を取り出し、それを両手で包み込む。
すると、次第に穏やかなを放ち始めた。
「………これくらいね」
そう言ってほのかにを放つ白い石を地面へと置いた。
これは魔獣避けの魔法石と呼ばれる魔道の一種だ。
効果としては、魔力を込めることで特殊な結界を常時展開するというもの。展開時間は込めた魔力に比例し、先程ナターシャが込めた魔力ならば夜明けまでもつだろう。その頃には盜賊を回収してもらう為に呼んだ人が駆けつけるはずなので、時間はそこまでで問題ない。
ちなみに、ナターシャが擔當した3人組のほうにもしっかりと仕掛けられている。
「さて。あと一人よ……ねぇ…」
ナターシャが言葉を詰まらせる。その理由が……
「……ほんと。々とやってくれるわよねぇ…」
大きく脇が抉られた、大木。そして、その橫で倒れる男の姿。幸い腕に刺さっただけで息はある。
「…確かに。ここまで威力があれば問題大ありね」
大きく抉れた木を指でなぞりながらそう呟く。
「はぁ…おじいちゃんに報告しとかないとなぁ」
ドリトールもクーリアの規格外さをよく知っており、それを隠す為にながら行していたりするので、ナターシャは今回のことも報告しておくことにしたのだった。
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