《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》99

ナターシャがため息をついていた一方その頃、お花をつみに向かっていたクーリアは……

「げほっ!ごほっ!っはぁはぁ…」

地面に手を付き、荒い息をしながら咳き込んでいた。

(まだ…まだわたしは…)

「げほっ!」

その時。咳と共に地面へと飛び散る、赤い

「あ…」

ポタポタと未だクーリアの口から流れ続け、地面に赤い花を次々に咲かせていく。

「はぁはぁ…ふぅ…」

何とか呼吸を落ち著かせ、ハンカチを口元に當てる。暫くすると何とか止まったようだが、白いハンカチは真っ赤に染まってしまっていた。

「…まだ、あった、かな」

ゴソゴソとポーチを探り、目當てのを探す。

「……あった。よかった…」

取り出したのは、眠り薬の小瓶よりもさらに一回りほど小さな瓶。中には白い錠剤のようなものが數粒っている。

クーリアはその瓶の蓋を開け、中の錠剤を一粒取り出すと、口に含み飲み込んだ。

「…また、頼まないと」

中の錠剤の數がなくなった瓶を見ながらそう呟き、ポーチへと仕舞い込む。

「…これは、消さなきゃだよ、ね」

地面に咲いた赤い花を見て、クーリアが呪文を紡ぐ。

「……《リバース》」

呪文が紡がれた瞬間、地面に咲いていた赤い花は、まるで空中に溶けるかのように消えて行った。

(時間逆転魔法…戻せるのは一分前後だけど、便利だな)

地面だけでなくハンカチにも掛けていたので、元の真っ白なへと戻っていた。

(証拠も消したしバレないはず…)

……だが、それこそが油斷。

「………なに、してるの」

「っ!?」

突然背後から掛けられた、し震えた聲。クーリア自神的に余裕がなく、周りの警戒を怠っていた為に、気付くことが出來なかった。

そして、振り向いた先にいたのは……

「…どう、して」

「…クーが、言ったんでしょう。もうそろそろ代だって…」

………サラだった。

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