《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》102

次の日。男子2人は晴れやかな顔で朝を迎えていた……が、ほかの面々の顔は、し暗い。

無理もない話だ。昨日の會話の容からすれば…。

「ど、どうした?」

そんな暗い様子に気付き、ヴィクターが心配そうに聲をかける。

「…何でもないよ、ちょっと夜更かししちゃって」

そう答えたのはクーリアだった。

…まぁ、寢れなかったのは確かだ。

「大丈夫か?」

「大丈夫よ。ちゃんと仕事はするから…」

「なら、いいが…無理するなよ?」

「分かってます」

そして朝食をとろうと思ったが、擔當のクーリアは疲れた様子であったが為に干しのみとなった。

「ごめんね…」

申し訳なさそうにクーリアがそう言う。

「何言ってんだよ。ずっと作ってくれてただろ。休んでくれよ」

「…分かった。ありがと」

クーリアが小さく微笑み、謝の気持ちを伝える。

そんな穏やかな微笑みを間近で見ることとなったヴィクターは、ほんのし顔を赤く染めた。

……しかしながら、サラとリーフィア、2人の睨みつけるような眼差しをけ、すぐにその赤は引っ込んだ。

「じゃあ出すぞ」

ヴィクターの掛け聲で馬車が進む。順調に進めば、今日の晝頃には著けるはずだ。

「……ボク、者臺行くね」

馬車の幌の中にいたイルミーナだったが、中の異様な雰囲気に堪らず者臺へと逃げた。

その異様な雰囲気というのが…全員、何かを考えるように遠くを見つめていたのだ。怖い、怖すぎる。

……しかし、全員が考えていたことは、ほぼ同一のことであった。

((((…絶対、見つけてみせる))))

、何を見つけるというのか。それは、昨日のナターシャの発言にあった……。

◆◆◆

「クーちゃんの命を救う、ただ1つの方法。それはね……霊を見つけることよ」

「「「霊?」」」

話を黙って聞いていた3人が、同じように首を傾げる。

霊。それは、世界の何処かに存在し、この世界を調整している存在である。しかしながら、彼らは姿を見せない。気まぐれで見せることもあるが、それもほぼ奇跡と言っていい。

「何故、霊を見つけることがクーを救うことになるんですか?」

サラの疑問は最もだ。

霊はね、魔力を糧とするの」

「魔力を…?」

「そう。だからクーちゃんには……霊と、契(・)約(・)して貰いたいの」

「「「っ!?」」」

霊と契約をわす。それは、とてつもなく稀有なこと。

一般的に霊は人間よりも力を持つ。契約するメリットが無いのだ。

……だが、メリットがあれば?

「そっか……クーの魔力量なら」

そう。クーリアは魔力崩壊病を患うほど、魔力量が多い。そして、霊は魔力を糧として生きている。その為、契約をわすならば、主がそれを與える必要があるのだ。

魔力を常に消費することにより、魔力崩壊病を抑えることが可能になる。ナターシャは、それに賭けるつもりなのだ。

……しかし、そう簡単なことでは無い。

まず霊そのものを見つけることが必要だが、それ自が困難であること。

次に、見つけたと言っても、クーリアと契約してくれるかは不明だということ。

最後に……クーリア自に危険が伴うということだ。

魔力は生命力。失えば死ぬ。もし霊が求める魔力が、クーリアの魔力量を超えた場合……待ちけるは、死のみ。

「…クーは、どうしたい?」

最悪この手段を取ったことで、まだ生きれるはずの命を落とすかもしれない。この方法を実行するか否かの判斷は、本人に任せなければならない。

「……わたしは、まだ生きたい。これからも、みんなと、一緒に…」

それが、クーリアの本心だった。

諦めて死ぬ覚悟を決めていた時に見えた、僅かな希。それに、賭けでも縋ることを決めた。

まだ、みんなと、いたいから。

「……わたしの方で目星をつけてある場所があるの。……一緒に、行く?」

「「「もちろん」」です」

皆の気持ちは、1つだった。

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