《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》106

「はぁ、はぁ…ふぅ…」

クーリアは魔獣から逃げに逃げ、命からがらを隠せる窟へと逃げ込んだ。

だが、長時間の強化しながらの全力疾走により、クーリアのはボロボロであった。

「…《ヒール》」

とりあえず、馬車から飛び降りた際に怪我をした箇所を治す。しかし、疲労は消(・)す(・)こ(・)と(・)が(・)出(・)來(・)な(・)い(・)為に、休むしか手段がない。

「とりあえず…ここは安全なはず」

魔力を広げ、魔獣が近くにいないことを確認する。暫くはここで休むことが出來そうだ。

「はぁ……帰ったらサラに怒られそうだなぁ…」

そう言いながら、クーリアは笑みを零した。この狀況でも、絶するにはまだ早い。

するとを休められることに安心したのか、クーリアのお腹が空腹を訴える。

「…何があったかな」

ガサゴソと腰のポーチを探る。見つけた食べられそうなものは、飴玉が2つに干しが5枚。

「これだけかぁ…あ(・)っ(・)ち(・)はどうだろ」

クーリアが手を地面へと向ける。すると、の粒がひとりでに集まり、1本の皮水筒とひとつの袋を形作った。

「う、うーん……まぁ、ないよりマシか」

ひとまず皮水筒を手に取り、中の水を口に含む。しだけ、クーリアのの渇きが癒される。走った後であった為に、それが心地良い。

次に袋を口を開ける。中にっていたのは4個のパンにもう1つの皮水筒。それとドライフルーツが3つ。

「……微妙だなぁ。もうちょっとれておけば良かった」

しかしながら、そう出來ない理由があった。

あのから教えてもらったこの魔法は、収納する量に応じて魔力を消費してしまう。そのため、あまり多くのものをれられないのだ。

クーリアの魔力量をもってしても、普段使いする分を殘すとなると、あまり多くは消費できない。

…ちなみに、『魔力崩壊病』を一時的に抑える為の魔力消費に利用できそうではあるが、半分以上の魔力を常に消費し続けるという行為は、神的にも疲労が伴う。

これらの理由から、あまり多くは収納できないのだ。

「…どうしようか」

これからの事を考えながら、パンを齧る。祖父が焼いたパンだが、冷えてしまっている為し固い。

それでも何とか噛みちぎり、水を口に含んで飲み込む。

「…殘りは」

クーリアが、またしても収納されているを取り出す。それは…魔導銃の弾丸だった。

クーリアは今までちまちまとそれなりの數を作ってはいたのだが、もう全部で20発ほどしか殘っていない。ここまで逃げる為に、大分消費してしまった。

「…厳しいな」

クーリアの攻撃手段は魔導銃だけではない。だがしかし、クーリアが逃げ込んだ森の奧には、強力な魔獣がひしめき合っている。魔導銃ほどの威力が無ければ、倒せない。それ故に、今のクーリアの攻撃手段は魔導銃しかないのだ。

ひとまず直ぐに使えるよう次弾を裝填しておき、5発ほどはポーチへ。殘りは収納することに。

「日が暮れそう……とりあえず窟の口を…《防》」

窟の口を不可視の壁が塞ぐ。空気は通すので、窒息の心配はない。

「ふわぁぁ…」

極限狀態であったことが原因か、強い眠気に襲われた。

《防》は者が解除するか、魔力が盡きない限り消えないので、放置していても問題は無い。

もうほとんど落ちかけている意識を何とか保ち、食料類を全て収納していく。時間が止まる訳では無いが、気溫などは一定なのでれて置いた方がいいのだ。

最後にが冷えないよう薄いブランケットを取り出し、それに包まりクーリアは意識を手放した。

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