《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》107
一方、サラ達は無事に王都へと到著していた。
「戻ったか!」
最初にサラ達を出迎えたのは、學園長であるドリトールであった。
「ええ。おじいちゃん…」
「分かっておる。急連絡は既に通達した。幸い他の班は未だ出立しておらんかった」
何も守りのない森の中よりも、村の方が安全である。その理由として、今回の校外実習の目的地の全ての村には、結界を展開することが出來る魔道が設置されているからだ。無論たまたまではなく、敢えてその場所を選んでいる。
「まさかア(・)レ(・)が起きるとは…」
拳を握り締めながら、ドリトールがそう呟く。
「アレ…?おじいちゃん、何のこと…?」
「……昔の話だ。それこそ、100年単位のな」
「そんなに昔の?」
「ああ。……およそ今から137年前、森から増え過ぎた魔獣が溢れた事があった。小型から大型まで幅広く。まさにそれは天災だった。地面を埋めつくさんとする魔獣の波は、この國を飲み込もうとした」
それは通稱………『魔の氾濫』。そう呼ばれる出來事である。
「……それが、今起きようとしているってこと?」
「まだ分からん。だが……王都近くで大型の魔獣に襲われたという報告は最近になって急速に増えてきておる。これは…『魔の氾濫』の前兆と酷似しておる」
「……當時は、どうしたの?」
今こうして生きているということは、退けることが出來たということに他ならない。ならばその方法を模倣すればよい。
ナターシャの考えは、確かに正しかった。
……その方法が、今もできる方法であったのなら、だが。
「……數多の犠牲を払ってもなお、勢いは衰えず、人々はある存在に縋った」
「…?」
「……霊じゃよ」
「「「「「っ!?」」」」」
これまで黙って話を聞いていたサラ達までも驚きをわにする。
「どう、やって」
「…當時、1人だけいたのじゃよ。霊と契約をわした者がの」
「…その人に縋ったの?」
「ああ……だが、霊の力を借りても、溢れた魔獣全てを相手取ることは出來なかった」
それ故に、ある判斷を迫られた。
「……代償魔法を、知っておるな」
「っ、…もちろん」
その言葉の意味を理解できたのは、ナターシャだけ。何故なら、その魔法は……封じられた、忌の魔法だからだ。
代償魔法。その名の通り、何かを代償として捧げることで、従來の魔法を遙かに凌ぐ効果を発揮させる魔法。その効果は、捧げた代償の大きさに比例する。
だが、他者の命までも代償として捧げることができるが故に、忌の魔法とされたのだ。
そして霊と契約をわした人は……代償魔法により自分自の命を犠牲として、霊に全てを託した。
「…そして、今のこの國がある」
「………」
知らなかった、この國の歴史。匿された真実。これをすぐに理解し、けれることは困難だろう。
「……そうまでしないと、止められなかったの?」
「ああ。……だが、我らとて簡単にやられるつもりは頭無い。今あるもの全てを使い、最後まで足掻かせてもらう」
「…じゃあ、クーは?」
ここでサラが発言する。森に1人だけ殘ったクーリアはどうなる?
「……諦めろ、と言うのは酷じゃろうな。わしはここからけんが、最大の助力はしよう」
「…今から行きます。一刻も早くクーを見つけて、連れ戻す」
その瞳には、強いが宿っていた。クーがもう既に亡くなっているかもしれないなど、全くもって考えていない。
(あの子が、そう簡単にやられるはずがないわ。絶対に)
サラには、その確信があった。だからこそ、探しに行かなければならない。待っているはずだから。
(待ってて…クー)
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