《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》109
「ん…」
窟へと差し込む淡いのが、クーリアを微睡みの中から引き戻した。もうそろそろ明け方のようだ。
「…大丈夫そうだね」
窟の口を見ながら、そう呟く。仕掛けた防魔法に損傷した様子はなく、どうやら魔獣は來なかったようだ。
クーリアはひとまずをばそうと立ち上がろうとしたが、……足が縺れ地面へと倒れ込んでしまう。
「痛っ…うぅ…」
手をついてを起こそうとするが、全に力がらない。
「…もうそろそろ、限界、かも」
クーリアには、原因に心當たりがあった。
魔力崩壊病はを蝕む。それは、靜かに、けれど著実に進行していたのだ。
以前はね上げ扉を開けることが出來なかったのも、がボロボロになり始めていたからだった。
「よい、しょっ…と」
を魔力で無理やり強化し、かす。もう既にクーリアのは限界だった。
それでも、クーリアは諦めない。諦めたく、ない。
(…サラ達が諦めていないのに、わたしが諦める訳には、いかないもんね)
転けた際に著いてしまった砂をはらい落とし、手を組んで上に向け、をばす。
「…待った方がいいのかな」
クーリアはサラがあのまま帰ったとは到底思えなかった。おそらく、王都へ到著してからしっかりと準備を整えてこちらへ向かっているだろう、と。
…流石友と呼ぶべきか。図星である。
「…いや、多分ここまで來れない」
クーリアの現在いる場所は、森の奧。ここに生息する魔獣はより強力なものが多く、ここまで來るにはそれ相応の危険が伴う。
サラ達の実力を信じていない訳では無いが、それでも難しいだろう。
「うーん…」
首を捻る。れ違いになればそれこそ最悪だ。かと言って、サラ達が危険を冒してまでこちらへと來るのを、のうのうと待つ気にはなれない。
ぐぅー…
「…ご飯食べよ」
何事も腹が減っては何もできない。とりあえず食事を取る事にする。
いパン取り出し、齧る。1個で十分だ。
「…ん?」
突然、クーリアが食べる手を止める。
「……聲?」
外から、何かの聲が聞こえる。だが、サラ達の聲ではない。それどころか…人(・)間(・)で(・)は(・)な(・)い(・)聲(・)のようで。
「…魔獣の鳴き聲…じゃないな」
明確に言葉を発している。鳴き聲とは思えない。
そもそも、言葉をる魔獣は存在しない。もし居たとすれば大発見である。
「…なに、この覚…」
クーリアには、その聲が……自分を呼んでいる気がした。
「…怪しすぎるんだけど…なんだか、嫌な気はしない」
クーリアは以前にも、この覚を味わったことがある。銀狼が怪我をしていた時だ。その時は意思そのものであり言葉ではなかったが、聞こえた聲は、その時の覚にとてもよく似ている。
「…行ってみるか」
もしあの銀狼のような存在ならば、クーリアの事を呼ぶ以上、何か助けを求めている可能がある。行かない理由は無かった。
「…もしかしたら、あ(・)の(・)人(・)がいるかもだし」
それならば送って貰える。そう考え、クーリアは聲の元へと向かうことにした。
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